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- 2011_J2_第35節・・後半には様々な変化があった・・そして鈴木隆行という感動・・(FC東京vs水戸ホーリーホック, 2-0)・・(2011年11月12日、土曜日)
- 実はこの試合、前半だけ観た時点で帰ろうとしていました。
たしかに(実力の劣る)ホーリーホックは、自分たちの限界まで頑張り、ゲームを支配する時間帯もあった。それは、それで、見所(学習機会)満載の、賞賛に値する積極サッカーだった。
ただ、それに対して、(個のチカラの単純総計と戦術的なプラスαという意味合いで!)明らかにチーム総合力が上のFC東京のサッカー内容には、とても不満だった。だからアクビが出た。
とはいっても、せっかくスタジアムまで馳せ参じたわけだから、後半の「ある程度の時間帯まで」は、しっかりと戦術的なぶつかり合いのコンテンツ(内実)を体感し、その分析もふくめて脳裏に焼き付けようと、後半も記者席に座り直すことにした次第。
そして、それは大正解だった。後半に起きた様々な戦術ドラマ(ゲームの流れの変化)には、とても興味深いコンテンツが内包されていたのですよ。
まずFC東京のプレー姿勢(闘う意志のレベル!?)の高揚。
大熊清監督が、ハーフタイムにこんなゲキを飛ばしたとか。「全員がボールを奪うところからしっかりとやること・・」。そう、守備こそ(ボール奪取プロセスを活性化することこそ!)が、全てのスタートラインなのです。その意味で、前半のFC東京は、守備のハードワークを完璧に忘れていたとも言える。でも後半は・・
そう、チームが、大熊監督のゲキに呼応し(!?)、前半と比べものにならないほど(攻守にわたって)積極的な忠実(汗かき)プレーを積み重ねることでゲームのイニシアチブを握るまでに変身していったのです。
やっと、両チーム本来の「実力差」を体感できるようになった・・。そんなゲーム展開を観ながら、不遜にも、そんなコトを思ったモノです。でも・・
そう・・ホーリーホックの鈴木隆行。
後半15分だったろうか、柱谷哲二監督が、鈴木隆行と、これまた前戦の頑張り屋、常盤聡を送り込んだのです。そして「そこ」から、明らかにゲームフローが逆流していく。再びホーリーホックが、前半の勢いを取り戻しはじめたのです。
柱谷哲二監督によれば、鈴木隆行が登場した効果は、心理・精神的なモノもそうだけれど、その最も大きなトコロは、最前線に、仕掛けの起点が出来ること・・だと言う。
そう、最前線でしっかりとボールをキープできる起点・・だからこそチームメイトも、勇気をもってサポートに上がれる・・だからこそ、前戦で数的に優位なシチュエーションを多く演出することで、組織コンビネーションにも勢いをプラスできる・・等など。
わたしは、鈴木隆行のプレーを観ながら、ちょっと感動していた。そして、2002WMでの彼の(渋く、粘り強い!?)活躍がはっきりと脳裏に浮かんだ。
この試合でも、「最前線の汗かきディフェンダー」とも呼べるような忠実なダイナミック守備と、攻撃でのポストプレーをベースに、相手のウラスペースを突くようなスルーパスや展開パスを送ったり、自身がコアになったコンビネーションを演出したり・・と、当時とまったく変わりない、まさに「これが隆行だよっ!!」ってな忠実&効果プレーを魅せつづけてくれたのです。
・・たしかに天才的なプレイヤーじゃない・・それでも、チームにとって欠くことのできない「目立たない価値」を、忠実に、そして泥臭く提供しつづけていた・・そんな鈴木隆行の「強い意志」と「究極の組織プレー」に感動しない者はいないに違いない・・
この試合を観にきて(いや・・観つづけて)本当によかった・・。心底、そう思った。
たしかに水戸ホーリーホックは、実質的なチーム総合力という視点で限界がある。それでも彼らは、「闘将」柱谷哲二というストロングハンドの下、持てるチカラを常に120パーセント発揮しようとする強い意志をグラウンド上にブチかまし続ける。とても爽快なチームじゃありませんか。
私にとっても、鈴木隆行のプレーを再び体感できたことは、自分自身への刺激としても(もちろん、継続こそチカラなりという格言の正しさを再認識できたという意味合いもふくめて!)とても大きな価値がありました。とにかく、これからも出来る限り息長く頑張って欲しいものです。ガンバレ〜〜・・タカユキ〜〜・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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