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- 2011_日本代表ビデオ再考・・まずは、本田圭佑というテーマから・・(2011年6月9日、木曜日)
- さて、ビデオを見返すことでピックアップした個別テーマのコラム。今日は、本田圭佑にスポットを当てましょう。
才能・・。たしかに彼は天から授かった優れた才能に恵まれている。ただ、サッカーは、本物のチームゲーム。そのなかで機能する才能とは、何だろう。
もちろん才能には、色々ある。
スピードなどに代表されるフィジカル能力だってあるし、心理・精神的なファクターであるセルフモティベーション能力とか、チームメイトを引っ張っていけるようなリーダーシップだって才能だよね、でも、やはり中心的に議論されるべきは、テクニックやスキルに代表される「敵対動作も含めたボールを扱う優れた能力」というファクターでしょう。
まあ、ここでは、スピードやパワー(また持久力)の優れたフィジカル能力、心理・精神的な強さ、そして優秀な「戦術イメージの量と質」といったバックボーン能力も含めたテクニック&スキルという意味合いに特化させましょう。要は、攻守にわたる組織サッカー的な意味合いでも、しっかりとした価値を創造できる「才能」という視点。
ということで、やっぱり、攻守にわたる組織プレーと個人勝負プレーの優れたバランスというテーマに収斂されてくるわけです。フ〜〜・・
さて本田圭佑。
ボールを簡単に失わない優れたキープ力・・ドリブル突破能力・・タメからのスルーパス・・などに代表される、局面での個人(最終勝負)プレーでは、疑いなく天賦の才だし、チームに貢献できるキャパは十分に備えていると思う。
・・でも、絶対的な運動量が少なすぎる・・攻守にわたる忠実な汗かきプレーがほとんど見られないし、それに対する意志も感じられない・・だから、足許パスを止まって待つというシーンばかりが目立つようになってしまう・・ボールを持っても(パスを受けても)シンプルパスは回すけれど、それに付帯すべきパス&ムーブといった忠実な組織アクションが出てこない・・だから、最終勝負シーンで仕掛ける局面ワンツーを除き、組み立てプロセスにおいて、自分がコアになって繰り出すコンビネーションは皆無・・
・・とにかく、攻守にわたる、ボールがないところでのプレーの量と質が足りない・・攻守にわたり、ボールがないところで全力スプリントするシーンを見たことがない・・全力スプリントこそ、自分が成し遂げたい目的を達成しようとする「強烈な意志」がグラウンド上に現出したプレーなのに・・
・・また、守備での実効プレーの量と質も足りない・・マークする「素振り」はするけれど、最後まで忠実にマークをしつづけるというシーンがない・・
・・今回のペルー戦で、相手に押し込まれた時間帯では、何度も、本田が最後までマークすべき相手を、タテに「行かせて」しまったことで、日本守備ブロックが大ピンチに陥った・・そんな、後方からタテのスペースへ飛び出してくる選手を、後方の選手がタイミングよくマークするコトなんて出来るはずがない・・だから本田が、最後までマークしつづけなければならなかった・・でも・・
・・チェコ戦でも、「取り敢えず」追うけれど、最後のタイミングで付いていかずに「タテへいかせて」しまったり、フリーでプレーさせてしまったり・・何度かは、全力スプリントでゴール前ゾーンまで戻るシーンはあったけれど(彼しかいなかったから戻らざるを得なかった!?)・・もちろん、自分がボールを奪い返せるシーンでは、素晴らしいボール奪取アタックの才能を魅せつける・・そして、美しいインターセプトやボール奪取プレーで喝采を浴びるわけだけれど・・フム〜〜・・
・・攻撃では、言わずと知れた、「止まって足許パスを待つ」というプレー姿勢ばかりが目立つ・・自ら(全力スプリントで!)スペースへ飛び出していったり、ボールがないところで動いて味方にスペースを作るなんていう発想は持ち合わせていない・・
・・それでも、タイミングよくボールを持ったときには、誰にも真似できないような素晴らしい仕掛けプレーを魅せる・・もちろん、あれだけ動きがないわけだから(トンコ、トンコといったリズムの緩慢な動きだけなわけだから)、相手からマークされなくなるのも自然な成り行き・・そして、良いカタチである程度フリーでボールを持つことで、自分の才能を光り輝かせる・・例えば、チェコ戦後半6分CKシーンで、相手二人を翻弄して逆サイドまで送り込んだクロスシーンとかネ・・
・・たぶん「それ」が、本田圭佑が、これまでのプレー経験のなかで培った、「効率的に、自分が気持ちよく目立つプレーをするための方法」なんだろうな〜・・
要はサ、攻守の目的を達成するために何をやるのか・・ということなんですよ。攻撃では、シュートを打つこと。守備では、相手からボールを奪いかえすこと。そのために、本当の意味で、どのくらいの「実効プレー」が展開できているのかということです。
ディエゴ・マラドーナやメッシだったら、何人もドリブルで抜き去ることで、直接シュートにつながるようなカタチで決定的スペースを攻略しちゃうじゃないですか。でも本田圭佑に、そんなプレーが出来るのかい?
要は、彼もまた、組織コンビネーション(パスレシーバー)が必要だということなんです。だからこそ、互いに使い・使われるメカニズムをしっかりと意識することで、自らも、攻守にわたって汗かき(全力スプリント)プレーを展開しなければならないのですよ。そんなプレー姿勢が出てくれば、チームメイトも、本当の意味で本田圭佑を頼りにするだろうし、もっともっとボールが集まるようになる。そうすれば、もっと良いカタチで、彼の才能が表現できるようになる。
攻守にわたるチームプレーを基盤にすることで、持てる才能の効果レベルを何倍にも増幅させられる。そして、本当の意味で、チームにとって価値のある選手になる。フムフム・・
本田圭佑が秘めるキャパシティーは、特に攻撃において、ものすごく大きいのですよ。だからこそ、いまの彼の「中途半端なパフォーマンス」が残念で仕方ない。
彼の才能については、疑う余地はない。それでも、フットボールネーション(本場)のプロコーチ連中は、「あのタイプの才能」を、本当の意味でブレイクスルーさせる(殻を突き破らせる)作業の大変さを知っている。だからこそ、オファーを出しにくいんだろうね。まあ・・、聞くところによると、「石油」がスポンサーの、イングランド・ビッグクラブがオファーを出しているということだけれど・・。
このテーマについては、以前の「才能ね〜〜」というタイトルの「ヨーロッパの日本人コラム」とか、ガンバ西野朗監督のコメントを取りあげた「Jリーグ・コラム」などを参照してください。
とにかく、本田圭佑の才能がもったいないと、心の底から感じている筆者なのです。もっと意識すれば、かならず、世界中のフットボールシーンで高く評価される選手へと「ブレイクスルー」を果たせる・・そして彼は、日本全体のアイデンティティー(誇り)として人々から尊敬される(元気の源になれる)・・
聞くところによると、彼自身も、いま自分が置かれている「状況」に、とても不満だとか。その不満は、とてもポジティブだぜ! そんなフラストレーションこそ、本田圭佑のインテリジェンスの証明といったところでしょ。
ガンバレ〜〜、本田圭佑〜〜
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ところで・・
いま、木曜日の午後なのですが、昨日同様、友人がはじめたイタリアン・テイクアウトのお店へ行き、パスタを食してきた。店はチェアも用意しているから、その場で食べられます。昨日はピアダだったけれど、今日も頬(ほお)が落ちた。
お店は「PaninoNino」といいます。友人の奥様が(調理も含む)実務を取り仕切っているのですが、その友人は建築(工業も!?)デザイナーで、長くミラノで仕事をしていた。イタリアサッカーファンのはず。彼がイタリア(ミラノ)で仕事をしていた当時、ACミランの監督を、アルベルト・ザッケローニさんが務めていたということです。
奥さんが、「ザッケローニさんは、ピアダが大好きだと聞いているから、一度お越しになるように言ってくださいな・・」と上品に言われたけれど、そう簡単にザッケローニと立ち話するわけにゃいかないよね。あははっ・・
ということで、一度お試しあれ。ホント・・美味しいよ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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