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2011_日韓戦_私なりにポイントを抽出し、分析しました(その1)・・(2011年8月12日、金曜日)

まず、松田直樹から・・。日本を代表する素晴らしいディフェンダーでした。

 ドイツからも何件か、彼について問い合わせがあり、それに対して下記のようなニュアンスの内容を伝えました。

 ・・前兆のない急性心筋梗塞だった・・そして34歳という若さ・・だからショックも大きかった・・何人もの(代表)選手が、彼の意識が戻ってないことを知りながらも、トレーニングの後に数百キロをクルマで移動して彼を見舞った・・彼は、サッカーファンだけではなく、選手からも慕われ、高く評価されたプロプレイヤーだった・・彼は、横浜マリノスだけではなく、アトランタでブラジルを破った試合、シドニーオリンピック、日韓ワールドカップなど、日本代表でもチームの中心として「熱い」闘いを魅せつづけた・・亡くなった日から、ほとんどの報道(ショー)では、松田直樹がトップニュースになっている・・などなど・・

 わたしは、プレイヤーとしての松田直樹しか知りません。だから、彼のプレーをイメージしながら、コラムを書いています。合掌・・

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 どうも皆さん。昨日だけれど、やっぱり帰京後に色々とあって、ビデオを見直す時間をうまくマネージできなかった。ということで、ここにきてやっと(ある程度)詳細な分析コラムをアップできるようになったという体たらくでした。ご容赦アレ・・

 書き方は、例によって、テーマ毎の分析を箇条書きにするという形式にします。とにかく私のコラムは、「文章」ではなく「内容」だけが売りですから(そのハズだから)ネ。あははっ・・

■ということで、まず「ゲームの流れが日本に傾きだした・・」というテーマから・・

 ・・要は、立ち上がりの25分間くらい、日本がゲームのイニシアチブを握っているように見えて、実は、実質的なチャンスの量と質という視点で、韓国の方が勝負の趨勢(すうせい)を握っていたという事実のこと・・

 ・・たしかに最初のチャンスは、岡崎慎司のドリブル勝負&シュートだった・・残念ながら、そのシュートはゴールの左上角を僅かに外れていった・・本当に惜しかった・・でも、そこからは、韓国の強烈に忠実でダイナミックな守備が光り輝きはじめる・・

 ・・彼らの守備では、ボール絡みの局面勝負に強いだけではなく、ボールがないところでのアクションの量と質も特筆モノ・・日本は、フリーなパスレシーバーが決定的スペースへ抜け出していく(そしてそこでパスを受ける!)というシーンを、ほとんど演出できない・・

 ・・日本にとっては、ボールはキープしているけれど、スペースを攻略できないことでチャンスも作り出せないという、ちょっとジリ貧の展開・・だから、後方からの攻撃サポートのアクションにも勢いが乗っていかない・・まあ、擬似の「心理的な悪魔のサイクル!?」・・もちろん、重要なゲームだから、より慎重になっていたという側面もあったわけだけれど・・

 ・・それに対して韓国は、組み立てやカウンターからクロスボールを送り込み、それが、ゴール前ゾーンに全力で走り込んでいくチームメイトや、逆にファーサイドで待ち構える選手にピタリと合ったり、流れのなかから、チャ・ドゥリが強烈なドリブルシュートをブチかましたりと、ヒヤリとさせられるシーンの連続だった・・

 ・・でも、そんな流れが、一昨日の記者会見でチョ・グァンレ監督が語っていたように、キム・ヨングォンの負傷交替や、彼に代わって入ったパク・ウォンジェが、その12分後には、遠藤保仁のシュートを顔面に受けて交替せざるを得なくなったという二重の不運が、その後のゲーム展開に与えた影響も大きかった!?・・

 ・・まあ、前半の25分あたりを境にゲーム展開が「逆流」したことのバックボーン(背景要因)については、よく分からないというのが本当のところかな・・たしかにキム・ヨングォンとその後のパク・ウォンジェの負傷交替は痛かったし、そのことで韓国の守備ブロックも動揺したはず・・でも、それ「だけ」が要因とは思えない・・

 ・・日本の攻撃が、守備(ボール奪取プロセス)の機能性アップとともに、より活性化していった(ボールがないところでのアクションの量と質がアップしていった・・)という側面「も」加味しなければいけない!?・・いや、わたしは、日本の攻撃が「主体的」に活性化していったというニュアンスの方が強いと思っているのですよ・・

 ・・韓国の「二重のアクシデント」は、そんなゲームフローの逆流現象のなかで偶発的に起きた出来事だった!?・・まあ、そのニュアンスの方が強いと思いますよ・・

 ・・そして日本のサッカーが、本格的に韓国を圧倒しはじめる・・それは、まさに至福の時間・・心から楽しめた・・ゲーム残り15分の(後半30分からの)時間帯を除いてネ・・あははっ・・

■日本が韓国を圧倒しはじめた時間帯での現象と先制ゴール・・

 ・・たしかに韓国守備ブロックは、連続したアクシデントによる二重の選手交代からの後遺症に苦しんでいた・・それでも私は、そのアクシデントがなくても、おのずと、日本が「本当の意味」でイニシアチブを握るような展開へとゲーム内容が変容していったに違いないと思っていた・・

 ・・とにかく、その時間帯あたりから、攻撃にかかわっていく人数が、常に、少なくとも「1.5人」は増えたっちゅう印象なんですよ・・徐々に、日本チームの「確信レベル」が高揚していった!?・・そう、まさに、そういうことなんだと思う・・

 ・・韓国のサッカー内容に対して、選手たちの(アジアカップ準決勝の勝利によって得た!)自信が、どんどんと膨れ上がっていった・・だからこそ、より確信が込められた(強烈な意志によって突き動かされるような!?)サポートのアクションが増えていった・・

 ・・そこで、前後の、人数的、ポジショニング的なバランスを司(つかさど)っていたのは、言わずと知れたチームのコントロールタワーコンビ、「大人のダブルボランチ」遠藤保仁と長谷部誠・・

 ・・この二人のコントロールによって、ワントップの李忠成と2列目の三人に加えて、どちらかのサイドバック一人と、ダブルボランチのうちの一人(遠藤か長谷部のどちらか!)が、組織コンビネーションを効果的に仕掛けていけるだけの距離感を保てるように前へ送り出された(!?)・・

 ・・日本は、韓国ディフェンスブロックを崩せるだけの「実効パワー」をもって攻め込んでいった・・そのことで、今度は韓国チームの「マインド」が消極的に萎(しぼ)んでいく・・そこからの韓国の押し上げパワーは、明らかに減退していった・・心理的な悪魔のサイクルに「半分」捉まってしまったという印象の韓国チームなのです・・

 ・・そして日本の(理の当然といった!)先制ゴールが決まる・・演出家は、遠藤保仁・・彼の「高い位置での」ボール奪取によって、必殺のショートカウンターが繰り出されたのだ・・

 ・・ボールを持つ遠藤保仁の横には、例によって足を止め、足許(横)パスを要求する本田圭佑がいた・・ただ遠藤保仁は、そちらには目もくれず、最前線スペースへ走り込む(しっかりとフリーランニングを敢行する!)李忠成と香川真司をイメージしてタテパスを出した・・

 ・・そして、李忠成のヒールパスを受けた香川真司が、例によっての素早いボールコントロールからの「流れるような二軸動作タッチ」で前方へボールを運ぶことで韓国選手を振り切り、これぞ世界(!)といった「素早い動作」でシュートを叩き込んだ・・素晴らしい・・

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 今日はこんなところで勘弁して下さい。まだ他にやることが山積みなんですよ。

 明日からは、より「個人」にスポットを当てた分析をしていくつもりです。大人のダブルボランチ、香川真司、清武弘嗣、本田圭佑など。ではまた・・

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 ちょっと話題は変わりますが・・。

 このところ、わたしが愛用しているウエストバッグやバックパックについて質問してくる方々が増えています。ということで、それを軽くご紹介することにしました。

 ブランドは、METAS(メタス)といいます。

 以前「サザビー」という有名ブランドのチーフデザイナーを務めていたわたしの友人が、10年前に独立して作り上げたプライベートブランド。その、痒(かゆ)いところにも楽に手が届くっちゅう感じの、実用的なアイデアが満載されたビジネスツールが、とても気に入ってます。

 METAS(メタス) が扱っているのは、わたしが愛用するウエストバッグやバックパックだけじゃなく、ショルダーバッグやハンドバッグ、はたまたボストンバッグやブリーフケース等もあります。

 全体的なデザインはオーソドックス(どこか懐かしいスタンダード・・というのがコンセプトらしい)だけれど、高質な材料の選択や、その素敵な組み合わせだけじゃなく、細かな気配りアイデアにも感嘆させられるスグレモノです。使い込めば込むほど(長寿もコンセプトの一環!?)、愛着がわいてくる。そして、安物とは違い、古くなればなるほど、素敵なチャック金具やおしゃれな裏地といった「細かなデザイン」が光り輝いてくる。

 ちょっと誉めすぎ!? まあ私は、メタスの哲学と、それを具現化したバッグ類を、とても気に入っているのですよ。

 様々なタイプのバッグを日々のアクションに活用している方々こそが、その細かな気配りアイデアを高く評価するに違いないと確信する筆者なのでした。ちょっと「押し」過ぎ!? あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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