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- 2011_なでしこ_厳しい闘いが、ワールドカップの成功体感(自信と確信)を甦らせる・・(日本女子代表vs韓国代表、 2-1)・・(2011年9月3日、土曜日)
- やはり韓国は、着実にチカラをつけている。
彼女たちの急激な発展。その絶対的なベースは、もちろん技術や戦術といったベーシックな要素もあるけれど、そこには、それらのサッカー的ファクターをリンクし、発展へ向けてうまく善循環に乗せるための根源的な要素があった。そう・・彼女たちの強烈な意志。
不確実な要素がテンコ盛りのサッカーは、ホンモノの「意志のボールゲーム」なのです。でも、まさにその(韓国チームの発展を支える根源的ファクターという)意味で、前半立ち上がりの韓国が、気抜けのプレーに終始したという現象は面白い現象だったネ。
ワールドチャンピオンのナデシコに気後れした!? まあ「あの」韓国だから、そんなことは考え難いけれど、とにかく立ち上がりの韓国チームは、攻守にわたってナデシコに凌駕され、何度か決定的チャンスを作り出されるなかで(セットプレーから)先制ゴールまでも奪われてしまったことは確かな事実でもありました。
でも、その、ナデシコに先制ゴールを奪われるという「強烈な刺激」が韓国を覚醒させた。そしてそこから、韓国チームの攻守のダイナミズムが、何倍にもアップしていくのです。
その原動力は、何といっても守備のダイナミズム。それが格段にアップしたのです。そこでのゲーム展開の変容は、とても興味深いグラウンド上の現象でした。
韓国守備の爆発的なペースアップ。チェイス&チェックにしても、前線の選手が、全力スプリントで追いかける。そして周りの味方も、そんな「守備の起点プレー」に呼応するように、抜群の忠実さとダイナミズムで集中する(協力プレスを仕掛ける)だけではなく、パスレシーバーやボールから遠いところの相手に対するマーキングにしても、これまたとても忠実に、そして効果的にこなしてしまうのです。
絶対的な運動量が多いことは言うに及ばないけれど、その基盤に支えられた忠実な汗かき守備アクションの積み重ねで、次々とボールを奪いかえしてしまう韓国チームなのです。だから、こぼれ球を韓国に支配されてしまうのも道理といった展開になっていったわけです。
とはいっても、たしかに危ない流れや(一発タテパスからの!)決定的ピンチはあったけれど、日本の守備ブロックが、大きな流れのなかで決定的に揺さぶられ、崩されてしまうような危急シーンは、まあ多くはなかった。でも・・
熊谷紗希がスリップしたことがキッカケになって攻め込まれ、日本でプレーする「チ・ソヨン」に同点ゴールを奪われたのは大きな誤算だった。そして誰もが、これは厳しいゲームになる・・と予感した。
だからこそ、前半終了間際に大野忍が流し込んだ勝ち越しゴールが秘める意味合いは、とてつもなく大きなモノだった。何せ、効果的に攻め上がれない展開のなかで、まさにワンチャンスをモノにしたのだからね。
もちろん、そこに至るまでには、宮間あやのバー直撃シュートなど、単発のチャンスメイクはあったわけだけれど・・。まあ、あれだけ相手に支配されている中でも、「ココゾッ!」のチャンスで攻め切ってしまうチカラは、流石(さすが)ではありました。
そして、勝ち越しゴール(決勝ゴール!)。そこでのチャンスメイクの主役は、誰あろう「あの」澤穂希でした。
たぶん彼女は、チームが攻守にわたる積極性(リスクチャレンジスピリット)を失うことで中盤が「間延び」していることを感覚的に理解していたに違いない。だから、韓国にゲームを支配されるというジリ貧の流れのなかでも・・いや、そんなネガティブな流れになっていたからこそ(!)、ボールを奪い返してチャンスとなったら、必死に押し上げようとしていた。
そして、そんな忠実なサポートプレー(強烈な意志)が実を結んだというわけです。
・・タイミングよく決定的スペースへ飛び出した澤穂希へ、相手をスクリーニングでブロックした安藤梢が、ベストタイミングのスルーパスを供給する・・そこから、川澄奈穂美が粘りに粘って、まさに「置くような」ラストバックパスを大野忍へ送り込んだ・・
そして後半も、同じような展開のなかで、日本が持ち前の「粘り腰サッカー」で、韓国の「意志のサッカー」をはね返した・・っちゅう感じですかネ。
たしかにナデシコは、攻守にわたって韓国にイニシアチブを握られるという「耐える時間帯」を乗り切らなければならなかった。だから、サッカー内容に関する全体的な印象はよくないでしょ。でもサ、そこは、結果のみが問われる一発勝負の場でもあるわけだからね・・。
韓国との厳しい闘いによって、多分ナデシコは、自分たちが立ち向かわなければならない「モノ」の本質を、鳥肌が立つくらい強烈に体感させられたに違いありません。そう・・相手は必死なのであり、だからこそ実際のパフォーマンスは、実力の何倍にも跳ね上がる。
次はオーストラリア、その次は北朝鮮。とても厳しい闘いが待っている。
でも大丈夫。なでしこジャパンは、この厳しい体感を通じて、ワールドカップでの「諦めない感覚」と、それがあったからこそ勝ち取れた「自信と確信」を、再び活性化させられたに違いないと確信する筆者なのでした。
とにかく、ガンバレ〜〜・・なでしこジャパン・・
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ちょっと話題は変わりますが・・。
このところ、わたしが愛用しているウエストバッグやバックパックについて質問してくる方々が増えています。ということで、それを軽くご紹介することにしました。
ブランドは、METAS(メタス)といいます。
以前「サザビー」という有名ブランドのチーフデザイナーを務めていたわたしの友人が、10年前に独立して作り上げたプライベートブランド。その、痒(かゆ)いところにも楽に手が届くっちゅう感じの、実用的なアイデアが満載されたビジネスツールが、とても気に入ってます。
METAS(メタス) が扱っているのは、わたしが愛用するウエストバッグやバックパックだけじゃなく、ショルダーバッグやハンドバッグ、はたまたボストンバッグやブリーフケース等もあります。
全体的なデザインはオーソドックス(どこか懐かしいスタンダード・・というのがコンセプトらしい)だけれど、高質な材料の選択や、その素敵な組み合わせだけじゃなく、細かな気配りアイデアにも感嘆させられるスグレモノです。使い込めば込むほど(長寿もコンセプトの一環!?)、愛着がわいてくる。そして、安物とは違い、古くなればなるほど、素敵なチャック金具やおしゃれな裏地といった「細かなデザイン」が光り輝いてくる。
ちょっと誉めすぎ!? まあ私は、メタスの哲学と、それを具現化したバッグ類を、とても気に入っているのですよ。
様々なタイプのバッグを日々のアクションに活用している方々こそが、その細かな気配りアイデアを高く評価するに違いないと確信する筆者なのでした。ちょっと「押し」過ぎ!? あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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