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- 2011_女子WM_1・・いまヨーロッパで「調整中」・・そこで、テレビを観ながら考えたことがありました・・(2011年6月24日、金曜日)
- いま北欧のある町で、様々なストレスや時差などを調整中です。明日には、女子WM(Welt Meisterschaft=ドイツ語でワールドカップの意)の開幕マッチが行われるベルリンに入ります。
調整中ということで、何も書くつもりはなかったのですが、ホテルで「Euro Sports」というスポーツ専門のテレビ番組を観ながら考えるところがあったので、軽くコラムをアップする気になりました。ちなみに、先ほど繁華街に繰り出し、少なくとも1リットルは、「ハッピーアワー・カールスバーグ」を飲んだ。ちょっと酔っぱらい気味の筆者なのです。スミマセ〜ン・・
ということで「Euro Sports」。
とにかく、中継はサッカーばかり。いまメキシコで開催されている、日本の若武者も参加している「U17世界選手権」。また、CONCACAF「2011年ゴールドカップ準決勝」。だから、ホテルから出られない・・まあ、ビールは飲みに行ったけれどネ・・あははっ・・
とにかく、そのテレビ画面のなかで展開されているサッカーを観たことで、色々なことに考えを巡らせざるを得なくなってしまったのですよ。何せ、中南米のサッカーにしても、イングランドにしても、以前の「それぞれの国のサッカー特長の境界線」が、どんどん薄まっていることを再認識させられたんだからね。
そう・・昔は、イングランドサッカーとかドイツサッカー、コンチネンタルタイプとかブラジルタイプ、はたまた南米・中米サッカーとか、ほんとうに千差万別だった。そんな百花繚乱(ひゃっかりょうらん)ともいえる差異があった様々なチーム戦術イメージが、どんどんと収斂されているのです。
もちろん、私も含め、誰もが認識・認知している、世界サッカーの当たり前の発展プロセスのことです。でもサ、「昔の体感」が脳裏に深く刻み込まれている私が、そのことを反芻(はんすう)しながら、実際の発展プロセスを目の当たりにすることで(以前の仮説を!?)再認識させられることには、とても感慨深いモノがあるのですよ。フムフム・・
世界レベルの情報化(世界中のどこにいても、衛星放送でトップサッカーを観られる=高質なイメージトレーニングが、世界中のどこでも、何時でも・・!!)、と、人、モノ、カネ、情報の共有も含めた世界的な国際化の進展(アッ・・情報は重複か・・ゴメン)・・
以前、ドイツ史に残るスーパープロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、私にこんなニュアンスのハナシをしてくれたことがあります。・・既に、すべての戦術アイデアは考え尽くされた・・これからは、フィジカル要素と(個の)インテリジェンス要素のみがサッカーの発展を支える・・
その言葉を聞いたときは、(オッサンに逆らえるはずもなかったから!?)心のなかで、「そうかな〜・・もっともっと発展要素はあるんじゃないかな〜!?」なんて思ったモノです。
そして実際に、個人的なスキルやフェイントなどのアイデアは、どんどんと、ユニークで魅力的なものが登場した。ただ、全体的な「チーム戦術のベクトル」は、ヴァイスヴァイラーが言ったように、予想された「必然的な方向」へ収斂していっているように感じる。
そう・・組織パスプレー(コレクティブ・プレー)と、効果的にスペースへ入り込めたところ(相手守備の人数が足りないゾーンでボールを持つ「仕掛けの起点」を演出できたところ)から繰り出していく個の勝負プレー(ドリブルや、次の勝負パスをイメージしたタメ・・等々)の優れたバランス。
ヴァイスヴァイラーが言ったように、いまの(プロ)コーチ連中は、もちろん組織プレーが絶対的なベースではあるけれど、そのなかに、発展をつづける個の勝負プレー(個の才能)を、いかに効果的にミックスしていくのかというテーマと「より深く」格闘しているということか。
もちろんヴァイスヴァイラーは、前述した、これからのサッカーの発展を支える要素のなかに、様々な意味合いを内包する「予測(考えること)」の重要度がどんどんアップするというニュアンスも内包させていた。基本的に「本物のだまし合い」とも表現できるサッカーは、スペースをめぐる「局面のせめぎ合いの積み重ね」だからね。
何か・・、難しいコトを、酔っぱらいながら考えているから、内容がシッチャカ・メッチャカになってしまっているように感じる。でも・・まあ・・いいでしょ・・このままアップしまっせ・・
ということで、最後に、このコラムで言いたかった本当のテーマです。それは、まだまだフィジカル&テクニカル&タクティカル&サイコロジカル要素のバランスが、男子ほど「高次平準化」していない女子WMでの見所です。
もう何度も書いたけれど、前述のサッカーの正しい発展ベクトルというニュアンスで、日本の女子代表は、より「発展的なチーム」だとすることができるのですよ。もちろんフィジカルじゃ世界に後れを取っているけれど、インテリジェンス要素(要は、組織サッカー的な要素)じゃ、世界のトップに君臨しているわけだからね。
その意味でも、今回の女子WMが楽しみで仕方ありません。見方の底流は、いかに「なでしこ」が、人とボールが動きつづける組織サッカーで、世界の「大女」のフィジカル接触を避けて(なるべく相手とフィジカルに接触しないで!)相手ゴールへ迫っていけるかというテーマでっせ。
あっと・・いま、関塚ジャパンが最終予選へ駒を進めたというニュースが入ってきました。流石(さすが)のユーロ・スポーツでも、オリンピックのアジア二次予選まではカバーできるはずがないよね。あははっ・・
まあ・・前述した良いサッカー要素の量と質からすれば、理の当然という成果だけれど、そこへ至るまでには、暑さだけではなく、「本物の心理ゲームであるサッカーの面目躍如・・」なんていう、日本代表の若武者連中にはあるまじきゲーム展開もあったらしいね。そんな(瞬間的な!?)心理・精神的な「ネガティブ症候群」は、とても良い学習機会になったはず。彼らは、そこで経験した厳しい心理・精神的な状況を、何度も繰り返し「反芻」することが大事なのです。
とにかく、優秀な「ストロングハンド」関塚隆監督には、これからの日本サッカーを背負って立つという意味合いも込めて、大いに期待しましょう。
PS:レッズが、アビスパに勝利を収めたとか。私は、その試合を観ていません。私のHPにアクセスいただいた多くの読者の方々のご期待に添えなくて残念です。申し訳ありませんでした。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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