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- 2011_女子WM_17・・その後の話題(雑感)・・(2011年7月11日、月曜日)
- いま、ホテルで最初のコラムをアップしてからドレスデンの街中に繰り出し、代表的な教会、フラウエンスキルヒェを一望にするオープンキャフェで書き足しています。ということで、素晴らしく美しいドレスデンの写真も(文章の内容とは関係なく!)いくつか挿入します。
街中では、アメリカチームの選手たちと遭遇しました。こりゃ、声を掛けないわけにいかない。彼女たちの笑顔は、まさに百万ドルだったね。
「コングラッチュレーションズ・フォア・イエスタディ・・アイ・アム・エイ・ジャパニーズ・ジャーナリスト」「オー・サンキュー」「ウィー・ミート・アス・アット・ザ・ファイナル」「オ〜・イエ〜ス・・」
ところで、わたしが投宿しているホテルだけれど、それは、例によって「ドライブ・イン」のような宿泊施設です。フランスの企業がはじめたチェーンホテルだけれど、必要最低限のホテル設備を提供する(この数年で、全てのチェーンホテルに無線LANが設置されたゼ!)、まさに効率の権化ってなシロモノだね。
もちろん今回も、ヨーロッパ滞在中の五週間あまり、同じレンタカーを駆使して移動しています。でも「残念ながら」ガソリン車。ドイツのビジネスパートナーが用意してくれたから、基本料金はかなり安めだったけれど、その他のコストが高騰している。
ガソリン1リッターが「180円」近くもする。また以前は、いくら走っても追加料金など取られなかったのだけれど、最近は、基本が4,000キロまでで、それ以上の走行距離に対しては加算金を取るというシステムになっている。まあ、ヨーロッパの連中は長い距離を走るから、レンタカー会社も工夫せざるを得ないということなんだろうね。
ここまで既に「5,000キロ」以上を走破しているのですが、基本料金とは別に、ガソリン代、走行キロ数に応じた加算料金を払わなければならない。フ〜〜。まあ仕方ない。
ガソリンではなくディーゼル車だと、燃費などで、2-3割は安くなるんだよね〜。それにエンジンパフォーマンスだってガソリンに引けを取らないし・・。
とにかく、この後、今回のもう一つのメインイシュー(主目的)のためにオーストリアへ移動するし、その後は、今回のワールドカップの会場ともなったボーフムで開催される、ドイツプロサッカーコーチ連盟主催の「サッカーコーチ国際会議」にも招待されている。
まあ、やらなければならないのだから、考えるのを止めにして、とにかく経済走行に徹しよう。これまでのようにフルスロットルで突っ走るのではなく、140キロくらいの安定走行に徹すれば、かなり燃料費を節約できるからね。あははっ・・
あっ・・愚痴ばかりが先行してしまった・・スミマセン・・というか、誰かに聞いて(知って)もらえると少しは気が楽になるんだよね・・あははっ・・あっ・・スミマセン・・。それでは「その後」のコラム。
まず、日本に負けたことに対するドイツ社会の全般的な反応や雰囲気からいきましょうか。
さすがにドイツの社会文化は、様々な意味合いを内包する哲学的バックボーンがしっかりと支えていると感じますよ(言葉遣いがハチャメチャですよね・・小林教授??・・スミマセン)。
あれほど社会全体の期待感が高まり、(戦術的な意味合いや実質的なゲーム内容は別にして!?)ゲーム中のチャンス内容やシュート数といったゲーム評価要素からしても、その期待感が極限まで高揚するのが当然という状況での奈落の落胆。にもかかわらず、一般生活者の方々は、グッド・ルーザーとしての基本的な態度を崩さなかった。
「そりゃガッカリしたわよ・・でも、ヤパーナリン(日本の女子選手)も素晴らしいサッカーを展開していたわよね・・だから、内容からすれば、彼女たちが勝ってもおかしくないと思っていたわ・・」
「ホント、気が滅入るよ・・でも、全体的なサッカーの内容からすれば、フェアな結果だと思うよ・・とにかくドイツは、ミスパスやシュートミスが多すぎたからね・・あれだけミスを重ねたら、負けても当然だね・・」
「日本は、本当に素晴らしいパスサッカーを展開したと思うよ・・ボクは、彼女たちのファンになったね・・これからは、日本を応援することにしよう・・」
・・などなど。とにかく、出てくる街頭インタビューのほとんどは、日本の組織サッカーに対する賞賛、ドイツが重ねたミスに対する苦言、そして結果はフェアなモノだったというニュアンスに収斂されていました。また半分くらいの方々が、これからは日本を応援しよう・・なんてことも言葉に出してくれていた。
そうそう、今大会の「これから」。開催国のドイツが負けてしまったことで、この後の盛り上がりが大いに心配されるのですが、それは杞憂に終わりそうです。
昨日のドレスデンで行われたUSA対ブラジル戦も、スタジアムは満杯に膨れ上がった。そして観客も、大いに盛り上がり、サッカーを愉しんでいた。まあ、試合自体が、あれほどのスーパーマッチへと「成長」したこともあったけれどネ。
準決勝にしても決勝にしても、既にチケットは完売状態だそうな。そうだよね・・ドイツには「観劇の文化」が深く根付いているからね。とにかく、当事者意識、参加意識がとても高い。だから文化は自分たちが支えなければならないという強い意識をバックボーンに、どんな文化イヴェントでも活況を呈するのですよ。
社会的な意識の高いドイツ人の面目躍如。たぶん彼らは、日本を応援してくれますよ。何せ、謙虚で誠実という日本のイメージは群を抜いているし、震災のこともあるからね。
ちょっと、これからドレスデンの街中に繰り出していくことにします。観光・・。
ドレスデンはザクセン州の州都。教会や博物館といった歴史的な建造物の美しさは世界に知れわたっています。でも今は、それだけじゃなく、新しく造られた建築物も世界から注目されているそうな。ドレスデンは、今回で数回目になるけれど、伝統的な建造物だけじゃなく、新しいモノにも注目してみよう。
もちろん街中で、キャフェに腰掛けて、ナデシコをテーマにしたコラムを書き足すつもりです。もちろん、わたしの友人たちと話した内容も含めてネ。では・・
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ということで、冒頭の文章を書き換えました。いまドレスデンの街中。フラウエンスキルヒェの真ん前のオープンキャフェです。いや、ホント、素晴らしい・・美しい・・
例によって、ヴァイツェン・ビールを飲んでいます。もちろん、コラムを書き終えたら食事をし、その後はコーヒーなどを飲みながら、ゆっくりと酔いを醒ますつもりだよ。ご心配なく。ということで、ナデシコ・・
「ザヴァは、ホントに・・」
「言っただろ・・ザヴァじゃなく、サワだって・・」
「あっそうか・・そのサワだけれど、本当に素晴らしいプレーを披露したと思うよ。彼女は、ゲームが難しくなればなるほどチカラを発揮するから、意志の強い選手ということなんだろうな・・本当に、素晴らしいサッカー選手だ・・」
友人のドイツ人プロコーチが、スカイプの向こうで、声にチカラを込めています。そう、その通り。
「彼女が素晴らしいのは誰でも分かるし、感じられるよな・・じゃ一体、彼女の何が素晴らしいと思うんだい?」
そんなわたしの質問に一瞬考えたそのコーチは、こんな風に表現した。
「たしかにザヴァ・・あっ・・サワは(ブラジルの)マルタのような天才肌プレイヤーじゃないよな・・もちろんフィジカルも技術も良いけれど、マルタやクリスティアーネのような天才じゃない・・」
「でも、戦術的な理解や実行力で群を抜いていると思うんだよ・・オマエも分かっている通り、攻守にわたって、ボールがないところで、どんなチームプレーを積み重ねているのかっていうテーマのことだよな・・それが、彼女の場合、実に素晴らしい・・尊敬に値する・・彼女は、まさにチームのためにプレーしているということだ・・サワを観ているだけで入場料にオツリが来るってもんだ・・」
「攻撃参加も効果的・・ボールを奪われたら、間髪入れない攻守の切り替えで、まず率先してディフェンスに入る・・とにかく、ディフェンスへの入り方じゃ、間違いなく彼女が日本でナンバーワンだろうな・・それと、チェイス&チェックだけじゃなく、次のボールの動きを予測してインターセプトに入るタイミングも絶妙だよ・・また、ドイツ選手が、ちょっとでも安易にボールを持ったら、すぐにサワが詰めてきて効果的にボールを奪いかえしてしまう・・」
「・・もちろん、攻撃でも中心だよな・・とにかくボールは、サワを中心に展開していくっていう感じだな・・チームメイトの誰もが、サワを探している・・その展開力と仕掛けのイメージだけど、その根底にあるのは何だろうか・・」・・などなど・・
彼の言葉は尽きません。彼は、戦術を、とても深く理解している。だから、決して「数字の羅列」などでチーム戦術を表現することなく、あくまでも、局面での、それぞれの選手の「意図と意志」が込められた戦術的なせめぎ合い(戦術的な競り合い現象)の積み重ねとしてゲーム全体を俯瞰するのですよ。
なかなかのモノだし、わたしも一目置いている。そんな彼の目にも、やっぱり澤穂希の攻守にわたる素晴らしいプレーが焼き付いていたっちゅうことです。まあ・・当たり前だけれど・・
「サワは、FIFAのテクニカル・スタディー・グループがMVPを与えるくらい、とにかくエキスパートには高く評価されているということだな・・まあ、彼女のことは置いといて・・最前線の安藤梢はどうだい?・・そう7番の選手だよ・・」
「あ〜・・デュイスブルクでプレーしているアンドウだね・・そうそう、彼女も、とても忠実なチームプレイヤーだよな・・ドイツ戦でも、最前線で踏ん張ってボールをキープし、周りで上がってくる味方に効果的に展開していたし、守備でも、率先して最前線からボールを追い掛けた・・でもさ、そういったら、日本選手は、例外なく全員が優れたチームプレイヤーだよな・・」
「そう・・そこにこそ、日本チームが抱える課題の本質があるんだよ・・理想はサ、ケースバイケースで、絶対的なエゴイストにもなれるチームプレイヤーというものだからナ・・つまりサ、ドイツ人だったら、ココゾッ!の場面では、パスなど考えずにドリブルシュートへいくとか個人勝負にチャレンジするじゃないか・・そんな、個人の積極的な仕掛け姿勢という面で、日本の選手たちには課題もあると思うんだよ・・難しいけれど、ポジティブなエゴイストっちゅうテーマだよな・・」
「フムフム・・たしかに日本チームでは、ドリブル突破にチャレンジしなければならない状況なのに、逃げの横パスを出すなんていうシーンが目立つこともあったよな〜・・」
「日本でさ、こちらへ来る前に女子サッカーを代表する女性に質問したことがあるんだよ・・野田朱美という女性なのだけれど、いま彼女は、プロのクラブチーム監督をやっているんだ・・岩渕真奈が所属しているクラブだね・・選手時代の野田朱美は、能力からいっても経験からいっても、日本代表を引っ張っていく存在だった・・」
わたしは、そこで一度息を吸い込んでから続けました。ここまで、誰の発言かは、書かなくても分かりますよね!?
「・・その野田朱美に質問したことがあるんだ・・ワールドカップでの、もっとも重要なテーマは?ってね・・そのとき彼女は、間髪入れずにこう答えたんだ・・それは、自分自身で仕掛けていけるかどうかにかかっているってね・・周りに頼るのではなく、勇気と責任感をもって、自分自身で積極的にリスクにチャレンジしていく・・それこそが、世界との壁を突き破っていくための、もっとも大事な課題なんだとも付け加えていた・・」
「そうか〜・・たぶん、その彼女の言葉は、正しいんだろうな・・ドイツ戦でも、ドリブル勝負は仕掛けていったけれど、どうも中途半端だった・・自信が感じられない・・だからドイツ選手も、日本選手のドリブル勝負を明確にイメージ出来ていた・・日本のドリブル勝負は、はじめからノーチャンスだったね・・それは、日本選手に自信なさそうに勝負ドリブルを仕掛けていったからだと思うよ・・もっと自信をもって、もっとフレッヒな(生意気な!)態度でドイツ選手に突っ掛けていったら、ドイツ選手もプレッシャーを感じたはずだけれどな〜〜・・フムフム・・」
ハナシは尽きません。
また準決勝が終わったら「彼」に登場してもらおうと思っています。ということで今日はこのあたりで・・。明後日の決戦。お互い、とことんサッカーを楽しみましょう。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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