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- 2011_女子WM_23・・ナデシコの、大会を通じた「成長」&「ブレイクスルー」というテーマ・・(2011年7月20日、水曜日)
- ナデシコが為した、大会を通しての成長とブレイクスルー・・
このテーマは、とても微妙だけれど、基本的には、心理・精神的なファクターが、その主たるバックボーンでしょ。大会中に、選手たちのフィジカルやテクニックが格段に進歩するはずもないからね。そう、自信と確信レベルの高揚・・
ただし、戦術的な要素は、攻守にわたる「究極の!?」組織サッカーを志向するナデシコだからこそ、戦術プレーのイメージシンクロレベルが向上したことも含めて、とても大事だったと思う。
まあ、戦術的な要素の進化は、強い意志があってのことだから、心理・精神的な部分の発展と、戦術的なプレーの進化は、複雑に絡み合った関係にあるということかもしれないね。あっと・・ツキを呼び込むスピリチュアルパワーも格段にアップした・・!?
さて、ということで、大会初戦のニュージーランド戦。
開始6分には、永里優季が、相手GKの出鼻をくじくように放ったダイレクトの浮き球シュートで日本が先制する。パーフェクトなアシスト(ロビングのタテパス!)は、見事なインターセプトでボールを奪った大野忍からのモノでした。まあ・・、あのゴールでは、大野忍が少なくとも「0.5点」っちゅうのがフェアな評価だね。
でも、その6分後には、ニュージーランドの見事なクロス&ファーサイド・ヘッドで同点にされてしまう。それだけではなく、「その後のゲーム展開」が、ナデシコにとって、ものすごく厳しいモノになっていく。
ニュージーランドは、日本が展開する、素早く、広いボールの動きをイメージし、ボールホルダー(次のパスレシーバー)へのアタックを安易に仕掛けていかないだけではなく、その次のパスレシーバーの動きをも忠実にマークしつづける(日本の生命線であるボールのないところでの動きの量と質を抑制する)という強固なディフェンスを機能させたのです。
・・たしかに日本がゲームを支配している・・そして攻め上がっていく・・それでも、相手のボールがないところでの忠実ディフェンスに、簡単に決定的チャンスを作り出せないナデシコ・・たしかにシュートは打つけれど、明らかなゴリ押しシュート・・それじゃ、簡単にゴールを割れるはずもない・・そして時間ばかりが刻まれていく・・
そんなニュージーランドの戦い方(ゲーム戦術)は、その後、今大会で唯一日本に勝利を収めたイングランドだけではなく、ボールがないところでの人の動きも含めた、日本のコンビネーションを抑制しようとする(日本のことを本気で警戒しはじめた!?)ドイツやUSAにとっても、大いに参考になったはずです。
日本のゲーム内容だけれど、その後のメキシコ戦とスウェーデン戦は、両チームが攻め上がってきたことで(積極的にボールを奪いにきたことで)素早く、広くボールを動かしつづけてスペースを突いていくという日本の良さばかりが目立ったよね。
この両ゲームでは、素早いコンビネーションで、何度も何度も、相手守備ブロック裏の決定的スペースを攻略してチャンスを演出し、そしてゴールまで奪った。とはいっても・・
イングランド戦、ドイツ戦、そして決勝のUSA戦と、日本の組織コンビネーションは、組み立て段階ではうまく機能したけれど(ボールポゼッション率だけは、すべてのゲームで日本が上回った!)、結局は、相手守備ブロック裏の決定的スペースを攻略するところまでは簡単に到達できなかった。
イングランド、ドイツ、USA。彼女たちと比べて日本選手たちは、フィジカルと基本的な運動能力で、やはり差が目立った。また、相手は、ボールがないところでの日本の動きや、狙っているスペースをいち早く察知し(イメージトレーニングの勝利!?)そこを忠実にケアーしつづけた。だから、スペースパスもうまく機能しなかった。でも・・
ここからが、このコラムの骨子になるわけだけれど・・、それでもナデシコは、決して「めげる」ことがなかったのですよ。彼女たちは、何度失敗しても、繰り返し、繰り返しチャレンジしていった。もちろん、大きく向上したイメージシンクロ・パフォーマンス(ボールと人の動きの連動性!)を基盤にしたコンビネーションを前面に押し出して・・。
たしかに、ボールがないところでの動きの量と質が減退した時間帯もあったけれど、それでも、時間の経過とともに、勇気と忍耐は増幅していったと感じたのは私だけではなかったに違いありません。そんな心理・精神的なパワーアップがあったからこそ、最後の最後に、ワンチャンスの必殺コンビネーションを成就させられた。
ドイツ戦で、澤穂希と丸山桂里奈が魅せた、あうんのダイレクトパス・コンビネーション。マルカリは、澤がボールに触る直前のタイミングで、オフサイドにならないコースを正確にトレースするように確信の全力スプリントをスタートしていた! そしてUSA戦での、宮間あやと澤穂希の(CKからの)必殺ピンポイント・ニアポストゾーン勝負。
私は、そんな心理・精神的なタフネスの高揚と、最終勝負を仕掛けていく「あうん」の戦術コンビネーションの機能性アップこそが、大会を通じたナデシコの進化の本質だと思っていた。
以前のコラムでも書いたけれど、大会前に、日テレベレーザ(!?)の野田朱美監督に、「世界で闘い、そこで勝つために、もっとも重要なファクターは?」と聞いた。それに対して野田朱美が、間髪入れずに、「それは、自分で仕掛けていけるかどうかに掛かっています!」と応えた。
・・イレギュラーするボールを足で扱うサッカーだから、瞬間的に状況が変化する・・だから選手は、勇気と責任感をもって状況を把握し、決断してリスクにもチャレンジしていかなければならない・・そんなリスクチャレンジがあってこそ、真の発展が望める・・そして、それがあってはじめて「結果に近づく」ことができる・・
・・そんなリスクチャレンジの姿勢は、大会を通じて、チーム全体に深く浸透していった・・だからこそ、戦術的な「あうん」のコンビネーションの質が向上しただけではなく、何度失敗しても、繰り返し、繰り返し(選手一人一人の強い意志をベースに!)チャレンジしていけた・・
ナデシコは、大会を通じて、大きく成長した。これは、昨日のテーマにもつながるけれど、やっぱりサッカーは、本物の心理ゲームなんだと思うわけです。
心理・精神的な強さ(強い意志!)さえあれば、リスキーなコンビネーションにも、より積極的にチャレンジしていけるはず。そして、そんな強烈な意志を放散する(決してビビらず、フレッヒ=生意気エネルギー=を放散するくらいの!)積極プレーこそが、相手に恐怖を与え、心理的な悪魔のサイクルに陥れるまでに混乱させられるのですよ。
ちょっと繰り返しが多いとは思うけれど、まあいいさ。例によって、「エイヤッ!」でアップしちゃいます。
明日も、何人かの友人たちと旧交を温める予定。彼らも、ナデシコを肴(さかな)にした創造性ディベートを楽しみにしているらしい。ではまた・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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