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2011_女子WM_25・・番外編_1・・ドイツスーパーカップ(香川真司が出場!)・・(2011年7月23日、土曜日)

先日のコラムで、明日ボーフムで行われるフレンドリーマッチ、ガラタサライ対インテル戦のことは書いたけれど、ブンデスリーガ開幕の導入部(お知らせ!?)となるスーパーカップのことは書き忘れてしまった。

 女子WMとは関係ないけれど(だから番外!)、今日は、ドイツのリーグチャンピオンと、ドイツカップ勝者(日本の天皇杯優勝チーム)が対峙する、ドイツスーパーカップをレポートしまっせ。まあ、日本で言うならば、ゼロックス・スーパーサッカーっちゅうことですね。

 それにしても今シーズンのスーパーカップが、ルール地方の『超ビッグ・ライバル』同士の対戦になるとは、偶然にしても出来すぎだよね。

 もちろん満員御礼。それでも、どうして試合が、シャルケ04のホームスタジアムであるアレーナ・アウフ・シャルケで開催されることになったんでしょうね。また、観客の8割方がシャルケファンで埋め尽くされている。これって??

 そこで、記者席のドイツ人ジャーナリストに聞いてみた。そしたら・・

 「今年については、DFL(ドイッチェ・フースバル・リーガ=ドイツプロサッカーリーグ=ブンデスリーガの統括組織・・日本では、Jリーグに当たる)が、スーパーカップの会場は、ドイツカップ優勝チームのホームスタジアムにするって決めたんだよ・・エッ!?・・それにしてもドルトムントファンが少なすぎるって?・・たしかにそうだな〜・・その理由ね〜!?・・分からないね・・たぶん、スタジアムを一杯にするためだったんじゃないの・・実際フルハウスだったしね・・あっ、そうか、リーグ統括組織が決めたんだから、チケット配分など、ブンデスリーガ主催クラブのアドバンテージ(優位性)規定に従ったということなのかもしれないね・・」だってサ。

 まあ、あまり深く突っ込まず、事実として受け容れよう。それにしても・・ネ・・ちょっと面白〜い。

 まあとにかく、「ブンデスリーガが始まるよ〜っ!」っちゅうアナウンスメント効果は抜群だったという意味合いも含めて、基本的にはお祭りイヴェントということなんでしょうね。

 でもさ、内田篤人が所属するシャルケ04(カップウィナー)と、香川真司が存在感を高めているボルシア・ドルトムントがぶつかり合うお祭りマッチだぜ。とても興味をそそられるよネ・・なんて期待していたら、内田篤人がベンチスタートということになってしまった(結局ゲームには出場せず)。

 試合は、90分では決着がつかず、てっきり延長かと思ったていたら、そのままPK戦に突入してしまった。まあ、シーズン開幕前の「お祭りマッチ」だからね・・あははっ。

 そして、試合の実質的なサッカー内容からすれば、まったく「アンフェア」にシャルケ04が勝ってしまった。面白いネ〜〜・・サッカーボールは丸いんだネ〜〜・・

 その実質的なゲーム内容だけれど、明らかにドルトムントの方が優れたサッカーを展開していたのですよ。

 ・・クリエイティブなタテのポジションチェンジ・・人とボールが優れたリズムで動きつづける組織プレーと、「ココゾッ!」の個人勝負プレーの優れたバランス・・そして、それらの結果としての「スペース攻略プロセス」の量と質・・等など・・

 特に、仕掛けプロセスに「変化」を付けられるというポイントが、とても重要だと感じた。

 しっかりと人とボールを動かすことで、3人目、4人目の動きを効果的に活用しながらシャルケ守備ブロックを振り回すドルトムントなのですよ。そんなだから、彼らが、組織コンビネーションや個人勝負プレーをうまく組み合わせて、シャルケ守備ブロックのウラに広がる決定的スペースを効果的に攻略してしまうのも道理ってな具合。

 何度ドルトムントが、決定的なシュートチャンスを作り出したことか。それに対してシャルケは、90分を通して、決定的なカタチは二本くらいだったですかね。

 とにかく、ドルトムントの高質なサッカーが目立ちに目立ったお祭りマッチではありました。

 とはいっても、香川真司のパフォーマンスについては、お祭りだったから・・とは簡単に片付けられない。もちろん、ポジティブな意味合いで・・。

 それほど、ブレイクスルーを深く前進させつづけていると感じさせてくれた香川真司だったのですよ。とても、心強かったね。

 ・・攻守にわたる組織的な(汗かきプレー)は言うまでもなく、攻撃での、ボールがないところの動きの量と質も十分・・そして、シンプルに、ダイレクトの「落とし」&ムーブを積み重ねていく・・そんな組織プレーを忠実に組み合わせていくのだから、彼を中心に、相手守備ブロックのスペースを攻略できるのも道理・・

 ・・とにかく、ワン・ツー・スリー・フォーというリズムの連続コンビネーションが、とても小気味よいリズムで積み重ねられていく・・それも、香川真司を中心にして・・

 そんな組織コンビネーションは、爽快そのものじゃありませんか。香川真司は、それだけじゃなく、スッと下がってパスを受け、それを逆サイドのタテへ展開するなど、リンクマンとしても効果的に機能できていたし、前戦でもドリブルやタメで、相手のバランスを崩すなど、チャンスメイカーとしても、とても素敵に機能していた。

 もちろんゴールゲッターとしても、どんどんと感覚を研ぎ澄ましていると感じる。

 ということで、ドルトムントのユルゲン・クロップ監督に、「囲み取材」で、こんなことを聞いてみた。「カガワだけれど、何がもっとも進歩したと思いますか?」

 それに対してクロップ監督が、「逞しくなった・・その一言だね・・」といったニュアンスの内容をコメントしてくれた。フムフム・・

 物理的な内容では、自信あふれるトラップやドリブル勝負、はたまたキープ(タメ)といったボール絡みのプレーが進化しているということだろうね。また心理的には、確信レベルの深化をベースに、より積極的にリスクにもチャレンジしはじめ、そのプロセスでも自信オーラを放散している・・などといったことなんだろうね。

 この「逞しくなった・・」という表現については、今シーズンの彼のプレーを観るうえでのキーワードになり得るね。良かった、よかった・・

 ということで、明日は、ガラタサライ対インテル。聞くところによると、長友佑都は、ケガで出場しないとか。フム〜〜・・それじゃ、トルコのクラブサッカーが、世界のインテルに、どのくらい通用するのかというテーマで観戦しよう。

 とにかく、ルール地方だからね、トルコやイタリアからのゲストワーカーも多い。明日のボーフムスタジアムは、国際色豊かな観客で埋め尽くされる、エキサイティングマッチになること請け合いだぜ。いまから楽しみです。内容によっては、レポートします。

 そして明日から、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟が主催するサッカーコーチ国際会議がはじまる。そこでは、もちろん「ナデシコ」も話題の中心になるでしょ。これについても、随時レポートする予定です。

 ではまた・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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