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2011_女子WM_26・・番外編_2・・ガラタサライ対インテル(長友佑都が出場!)・・長友のプレーも含めた「インテルのツボ」に舌鼓・・(2011年7月24日、日曜日)

いや、ホントに今日は、ツキに恵まれたね。何せ「あの」長友佑都が先発で出場したんだから。

 昨日のコラムにも書いたけれど、報道ニュアンスでは、ケガのために長友佑都の出場は見込めないということだった。それが、メンバー表を見て、「ヨ〜シッ!」なんてね。長友佑都をナマで観るのは、ホントに久しぶりだ〜。

 ところで、このフレンドリーマッチ。ドイツのボーフムで、トルコのガラタサライが、イタリアの雄、インテル・ミラノと対戦するっちゅう設定だけれど、ちょっと奇妙な感じだよね。だから、その背景についてドイツ人ジャーナリストと話してみた。

 「いや・・オレ達もよく知らないんだ・・でもサ、観たとおり、このルール地方にはトルコからのゲストワーカーがたくさんいるからね・・そうか〜・・たぶん、ガラタサライは、インテルとシーズン前のフレンドリーマッチを行う権利を持っていたということなんだろうね・・そして、そのフレンドリーマッチをどこでやるかの決定権はガラタサライ側にある・・まあ、お偉いさん方の話し合いで、たまにはルール地方のトルコ人たちも元気づけなくちゃいけないってな感じでボーフムでやろうということになったんじゃないかな〜・・」

 フムフム、なるほど。ちょっと思い違いしていたけれど、イタリア人は、本当に数えるほどしかいなかったよね。まさに、ガラタサライのホームゲームっちゅう雰囲気でした。だから、彼らがゲームのイニシアチブを握るのも道理!? でもサ・・

 あっと・・スタジアム全体が、ガラタサライのホームゲームの雰囲気になったという視点。

 そのこともあっただろうし、たまには「トルコ的」に息抜きもしたかったんだろうね、ドイツ在住の(!?)トルコ人ファンは、もうやりたい放題。後半の途中には、花火を燃やすわ、爆竹を鳴らすわ、発煙筒は投げるわ・・。

 そしたら、トルコ語の場内放送が・・。「xx$%#&%$#=~‘#$%%&&&ッ!!!!!」って大音響で怒鳴りつけるわけですよ。結局、10分くらいゲームが中断しただけで騒ぎは収まり、ゲームが再開されたけれど、文化の違いを体感させられた筆者でした。

 さて・・ということで、(表面的には!?)イニシアチブを握っているように見えるガラタサライ・・というテーマ。

 たしかにガラタサライが全体的にはペースを握っている(ボールをキープしている)ように見えるけれど、実際は、インテルに、ボールをキープさせられている・・など、まさに「インテルのツボ」っちゅゲーム展開でしたね。

 素晴らしい「イメージ描写力」に支えられたインテルの守備ブロック。強い、強い。

 たしかにガラタサライがボールをキープしてはいるけれど、ボールがないところでの動き(決定的なパスレシーブの動き)を、ことごとく抑え込まれてしまうし、ガラタサライが攻略しようとするスペースも巧みなカバーリングで潰されつづけてしまう。だから、まったくといっていいほど、インテル守備ブロックの裏スペースを突いていけない。もちろん勝負ドリブルで突破しようにも、堅いインテルディフェンダーを抜き去るなんて至難のワザだから、決定的チャンスも作り出せない。

 とにかく、インテルが魅せつづける忠実なマーキングや想像力にあふれたスペースケアー感覚など、とてもインプレッシブだった。わたしにとって、とても素晴らしい(守備に関する)イメージトレーニングではありました。

 あっと・・、もちろん、そんな堅い守備をベースに、たまに繰り出すカウンターや組織的な攻めからは、危険な臭いがプンプン放散されていた。まあ・・3人目や4人目が絡むハイレベルな組織コンビネーションというわけじゃないけれど、そこには、エトーやスナイデルに代表される世界の才能が控えているからね。

 たまに彼らがブチかます中距離シュートやドリブル突破&爆発シュートからは、まさに世界の頂点と呼ぶに相応しい、レベルを超えた(何らかの)エネルギーが放散されていたモノです。

 そんな、インテルのツボとも呼べるようなゲーム。堪能させてもらいました。

 ということで、後半15分あたりまで出場した「長友佑都」というテーマに入っていくわけです。ケガの影響もあったんだろうね、たしかに最高レベルのダイナミズムではなかったけれど、それでも、十分に評価できる質実剛健プレーだった。

 高質な意図と強い意志に支えられた守備。忠実なマークやカバーリング、はたまた全力スプリントでの「エネルギッシュな戻り」は、いつもの通り「高み」で安定している。

 また、攻撃的なボール奪取勝負プロセスも、見所十分だった。たとえば、こんな感じ・・

 ・・例によって、間合いを空けることで(長友佑都が狙う)相手へのパスを誘発させようとする・・そのとき長友は、「オレ知らないよ〜」ってな感じで、アサッテの方向に目をやったりしちゃって(あははっ)・・そして、実際にパスが出されようとする瞬間、爆発する・・

 ・・もちろん「まず」インターセプトを狙う・・でも、そのタイミングを失っても、決して「寄せの勢い」をダウンさせることなく、トラップのときのミスを狙ったり、ダイレクトの「はたき」を狙ったりする(二次的なインターセプト!)・・

 ・・にもかかわらず相手に「次」へ展開されたら、すぐさま方向転換し、これまた全力スプリントで「次」を追いかけるのですよ・・とにかく、そんなダイナミック積極アクションにこそ、彼の進展し続ける自信が明確に表現されている・・

 前述したように(ケガの影響で!?)、この試合では、そんなに積極的に攻めに参加していかなかったけれど、前半37分には、素晴らしいタイミングでオーバーラップしたことで、良いカタチでパスを受けることができた。要は、ある程度フリーでボールを持ち、相手と一対一の状況になったということです。

 そして長友佑都は、まったく後ろ髪を引かれることなく、クールに「爆発」するのです。またぎフェイントから相手を抜き去り、そして、ゴール前へ、まさにピンポイントの最終勝負クロスを送り込んだ。そのとき誰もが息を呑んだ。「あっ・・ゴールだ・・」

 でも、インテル選手が打ったヘディングシュートは、無情にもGKの正面に飛んでしまった。「あれ」が入っていたら、長友佑都が、この試合でのMVPに選ばれたかもしれない。

 わたしは、長友佑都のプレーを堪能していましたよ。今度は、彼の「フォーム」が最高潮のときに観たいね。

 さて・・ということで、国際会議がはじまります。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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