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2011_女子WM_7・・立ち上がりに魅せたカナダの爆発・・そしてゲーム展開の急激な逆流・・(フランス対カナダ, 4:0)・・(2011年6月30日、木曜日)

今日は、昼間にモーゼル地方へのドライブでリラックスしてきました。コッヘムからバイルシュタインへ・・。

 皆さんもご存じのように、モーゼル地方はワインで有名です。専門家に言わせれば、モーゼル川から(早朝に!?)立ち上る湿気と太陽、またその他の要素が微妙にバランスしていることが、美味しいワインが出来るバックボーンなのだそうで、その意味でモーゼル地方は、理想的らしい。フムフム・・

 それにしても天気には恵まれた。日なたでは、半袖でも暑いくらいだけれど、日陰に入った瞬間に革ジャンが必要になる。湿度が低いということだけれど、今日の気候は、まさに典型的なヨーロッパの夏といった風情だったから、こみ上げてくる懐かしい感覚を楽しんでいた。

 ところでバイルシュタイン。コッヘムは有名だけれど、そこからモーゼル川沿いに数キロ進んだところにある極小の田舎町、バイルシュタインについては、あまり知られていない。

 とにかく、キュートな村。また、山の中腹にある城の頂上まで登れば、得も言われぬほど美しい大パノラマを独り占めできる。ここにも、私の留学時代の思い出が詰め込まれているのだけれど、まったく変わらない町並みや雰囲気に、ホッと、平安な気持ちになった。

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 さて、「4対0」という、ビックリするくらいの大差がついたフランス対カナダ。

 試合の立ち上がりは、カナダの圧倒的なパワープレーが炸裂した。ものすごい勢いのチェイス&チェックをベースに、次、その次と、忠実なボール奪取勝負アタックがブチかまされる。

 そんな強力プレッシングサッカーに、フランスはタジタジ。まったく攻撃を組み立てるところまでいけない。10/11年シーズンのヨーロッパチャンピオンへと導いたオリンピック・リヨンの優れた中盤コンビ、10番のアビリイと14番のネシブも、組み立てをリードできない。

 カナダが展開したプレッシングサッカーは、本当に素晴らしい勢いだった。カナダは、ボール奪取を積み重ねることでゲームの流れを牛耳っただけではなく、その流れのなかから、何度か決定的チャンスまで作り出した。そんなカナダを観ながら思っていた。

 「これは、もしかしたら、もしかするかも・・カナダのプレッシングには、フランス選手の足を完全に止めてしまうくらいに、アイデアとエネルギーが充満している・・それでも、このハイペースは、最後まで維持できないだろうな〜・・とはいっても今日の天候は、このダイナミックなプレッシングサッカーを後押ししているわけだけれど・・」

 でも、そんなゲーム展開が、ちょっと偶発気味にフランスが挙げた先制ゴールによって、ガラリと様相を変えてしまう。

 カナダ選手たちの足が(プレッシングエネルギーが)急激にダウンしてしまったのですよ。その、カナダのプレッシングエネルギーの減退にともなって、逆にフランスの、スマートな組織サッカーが生き返る。そしてリヨンの(そして代表の)中盤をリードするミッドフィールダーコンビのプレーにも活気が甦っていった。

 その「ゲームの流れの変化」は、ちょっと注目に値するレベルでした。

 ゴールという刺激・・!? そうね〜・・、たしかに、ゴールという刺激によってフランスチームの「足」が動きはじめたのは確かなことだった。でも私は、ゴールを奪われたカナダの落胆が、チェイス&チェックの勢いを殺いでいったポイントの方が大きかったと見る。

 組織ディフェンスは、チェイス&チェック、マーキング、インターセプトといった守備アクションが、上手く連動しなければ機能しない。一つの要素でも、十分ではない場合(一人でもサボッたら!)、確実に組織ディフェンスは沈滞してしまうのですよ。

 そして、そこからは、フランスの一人舞台。セットプレーやカウンターからゴールを積み重ねていったというわけです。

 ところで、後半から交代出場した、これまたオリンピック・リヨンの中心選手としてヨーロッパチャンピオンに輝いた12番のトミス。彼女は、本当にすごい。スピード、テクニック、勇気などなど、ちょっとレベルを超えていると感じた。

 皆さんもご存じのように、フランスは、準々決勝で日本と当たる可能性のあるチームです。だから私は、彼らのチーム戦術や個の才能タイプといった特長をアタマに刻み込もうとしているのですよ。

 たしかに、前述のフランス中盤コンビはとても優秀だし、先発したセンターフォワードの(18番)デリーも危険なストライカーだけれど、交替出場してきた選手たちが、それに輪を掛けて危険なんだからね。

 そんなフランスが、準々決勝で日本と対戦することになったら・・

 もちろん相手にとって不足なし・・ではあるけれど、その勝負マッチに臨むにあたっては、イメージトレーニングも含めた様々な準備が必要だろうね。

 もちろん、選手が迷うようなイメージ構築(指示)は愚の骨頂だよね。要は、情報が多すぎたら、選手が迷うだけだということです。

 だから、様々な情報をプロセスし(まとめて)、大事なところだけを、簡単で短い言葉を駆使し、分かりやすく選手に伝えることでプレーイメージを明確に描写できるようにしなければならないわけです。そう・・佐々木則夫監督とコーチングスタッフの方々の力量が試される・・。

 あっと・・、その前に日本は、当面の敵であるメキシコと対峙しなければならなかった。とにかく、勝負は明日。ものすごく楽しみです。ガンバレ〜〜・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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