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2012_ACL・・レイソルが圧倒的なサッカーを魅せた・・(レイソルvs全北ヒョンデ、 5-1)・・(2012年3月21日、水曜日)

すごいネ〜、レイソル。内容的にも、まさに圧倒的な勝利でした。それも、相手は、「あの」韓国チャンピオンの全北現代モータースなんだぜ。

 昨年の(フル代表の)日韓戦といい、最近のクラブレベルの韓国とのせめぎ合い(勝負マッチの内容)といい、以前にはあった、韓国にはとてもかなわない・・なんていう雰囲気は、完全に払拭されたと感慨深く思っている筆者なのです。

 「韓国コンプレックス」だけれど、それは、深層心理には確実に存在していた時期もあったんだよ。「以前」を知る方々ならば、よく分かるはず。だからこそ、今の、韓国に対して「自信をもって全力プレーをブチかませる」という確信(感覚)は、格別に心地よいモノなのです。

 とはいっても、「強烈な意志をブチかましつづける韓国サッカー」に対する畏敬の念だけは以前と何ら変わるところはないけれどね。

 あっと、最初から脇道に逸れちゃった。スミマセン・・。例によって、もう深夜。この試合のテーマについても、箇条書きでまとめます。ということで・・

 ・・試合の立ち上がり、例によって全北は、強烈な意志のサッカーをブチかましてきた・・ちょっと押され気味になるレイソル・・でも、時間の経過とともに、どんどんとイニシアチブがレイソルへ傾いていく・・

 ・・全北の李監督は、レイソルは強いし、そのレイソルのホームゲームということで、少し守備を安定させるようなゲーム展開を意識した、と言っていたけれど・・私の目には、レイソルが、時間の経過とともに、実力で(攻守にわたって)全北を「凌駕」していったと感じられた・・

 ・・そして彼らは、何度かの決定機を作り出した・・それも、組み立て(ゲームの流れ)のなかで、スムーズなコンビネーションや、レアンドロ・ドミンゲスの最終勝負につながる「仕掛けのドリブル」等をベースにして・・フムフム・・頼もしい・・

 ・・先制ゴールはセットプレーからだった・・ジョルジョ・ワグネルの正確なキックが、ピタリと那須大亮のアタマに合った・・2点目はPK・・でも私は、前半終了間際に生まれた3点目のゴールにこそ、この試合における重要なテーマが内包されていたと思っていた・・

 ・・そのレイソルの3点目・・一発ロングパスを、センターフォワードのリカルド・ロボが上手く(もちろん自分が描くターゲットイメージに合わせて!)ヘディングで流し、そのボールに先に追い付いたレアンドロ・ドミンゲスが、相手GKのアタマを越える見事なロビングシュートを決めた・・

 ・・素晴らしい一発カウンターゴールだった・・

 ・・そして後半・・レイソルは、続けざまに効果的なカウンターをブチかましつづける・・実際の4点目、5点目もカウンターだったけれど、それ以外にも、少なくとも二本は、「どうしてこれがゴールにならないの?」っちゅう絶対的チャンスをカウンターから作り出した・・

 ・・だから、ネルシーニョに聞いた・・効果的カウンターの秘訣は?・・

 ・・カウンターの大前提は、何といっても良い(効果的な)守備だ・・効果的なカウンターを仕掛けていくためには、良いカタチでボールを奪い返すことが必要なのだ・・

 ・・この試合でも、コンパクトな守備から、効果的なプレスを仕掛けて(高い位置で)ボールを奪いかえしたり、セカンドボールを奪い返せたからこそ、何度も危険なカウンターを繰り出していけた・・

 ・・カウンターに入ったら、素早くボールを走らせるだけではなく、その流れに乗るように、2人目、3人目のチームメイトがスペースへ飛び出していかなければならない・・この試合では、そんなプロセスが、殊の外うまく機能した・・

 ・・フムフム・・

 ・・ところで、数日前に負けた(第2節)レッズ戦の後、ネルシーニョ監督に、こんな質問が飛んだっけ・・リーグ戦でもACLでも、まだ勝てていないが?・・

 ・・その質問に対し、ネルシーニョは、落ち着き払ってこんなニュアンスの内容をコメントしていたっけ・・「エッ!?・・勝つためにどんな方策を立てなければならないかって?・・そんなことは、まったく心配していない・・これまでのウチのサッカー内容を観れば、それが杞憂であることは明白だ・・このサッカーをつづけていれば、おのずと良い結果もついてくるはず・・わたしは、そのことを確信している・・

 ・・いいね・・哲学者然とした、その落ち着いた話しっぷりが抜群の説得力を発揮していたっけ・・選手が、迷うことなく、ネルシーニョが志向するサッカーに取り組んでいけるはずだ・・ストロング・ハンド、ネルシーニョに乾杯!・・

 ということで「締め」だけれど、会見の最後のネルシーニョとの質疑応答をご紹介します。

 「レアンドロ・ドミンゲスですが、彼が、レイソルの攻撃における絶対的な中心であることは誰もが認めるところです・・でも、そんな絶対的な存在は、動(やや)もすると、諸刃の剣になってしまうことも多い・・要は、彼がマンマークで潰されたら、そこからチーム戦術が破綻してしまう可能性もあるというニュアンスなのだが・・??」

 そんな私の質問に対し、落ち着き払った「哲学者」は、例によって真摯に、そしてあくまでも冷静に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。

 ・・いや、私は、レアンドロ・ドミンゲスが、諸刃の剣だとは(そうなってしまうとは)思っていない・・彼は、とてもアタマの良いプレイヤーだ・・彼に強烈なマークが付いた場合、逆サイドがフリーになるだろうし、彼は、意図的に、そのサイドにボールを回してしまうだろう・・

 ・・また、レアンドロは、どんなに厳しいマークでも、そのプレッシャーを(個のチカラで)上手く「かわしてしまう」だけの能力を秘めている・・また、シンプルにパスを出して、次のスペースでリターンパスをもらったり、逆に、自分のところに相手を集中させ、それで空いたスペースへボールを展開したり(味方に、そのスペースを活用させたり)・・

 ・・今シーズンも、彼は厳しくマークされるはずだ・・そのことは、私も、彼も十分に承知している・・でも彼は、とても能力の高い選手だ・・あくまでも柔軟に(相手のマーキングエネルギーを逆手に取ってしまうように!)クレバーに対応するに違いない・・

 今年も、「哲学者」に率いられたレイソルが、抜群の存在感を発揮し、我々に素敵な学習機会を提供してくれるに違いないと確信している筆者なのでした〜〜・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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