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2012_EURO(13)・・高質な組織サッカーが勝ったのは良かった・・でも、ポルトガルの忍耐強い勝負サッカーにも拍手!!・・(スペインvsポルトガル、 0-0, PK戦4-2)・・(2012年6月28日、木曜日)

フ〜〜・・疲れた・・だから一先ず(ひとまず)寝てからコラムを書くことにした・・

 ということで、ゴソゴソと起き出して書きはじめたけれど、どうもアタマがスッキリしない。そりゃ、そうだ。寝たのは2時間だけだからね。でも気合いを入れて、午前中にアップしよう。フ〜〜・・

 ということで総評だけれど、私は、ゲーム全体を通したサッカー内容(サッカーの質)で優っていたスペインが、決勝へ駒を進められてよかったと思っていますよ。これでドイツと当たったら、堪(こた)えられない。

 とはいっても、ポルトガルも、(見直させられたのだけれど・・)とても素晴らしい、忍耐強い勝負サッカーを展開した。もちろん攻撃は、例によって個のチ カラを前面に押し出す闘い方だけれど、彼らの守備(取り組む姿勢と意志のチカラ)には、「それ」に懸ける決意が込められていた。だから私は、シンパシーま で感じていた。

 ということで、後半44分にポルトガルが作り出した完璧なカウンターシーンには興奮させられた。実は、その決定的カウンターが爆発したとき、瞬間的に、こんなことを思っていたのです。

 これでポルトガルが勝っても、自分たちで(その努力で!)奪い取ったフェアな勝利だよな〜・・

 ただ、ここで「も」、最後に決定的パスを受けたフリーのクリスティアーノ・ロナウドがシュートをミスってしまうのですよ。この試合でのクリスティアーノ・ロナウドは、何本もシュートミスを犯した。集中力を欠いたとは言わないけれど、ちょっと気負いすぎではあった。

 そんなクリスティアーノ・ロナウドのシュートミスには、チームメイトはかなり落胆したことでしょう。何せ彼らは、クリスティアーノ・ロナウドのワンチャンスゴールに期待して、あれだけ忍耐強くスペインの攻撃を抑えつづけていたわけだからね。

 そして延長。

 まあ、ポルトガル守備に疲れが出てきたこともあるんだろうけれど、延長に入ってからは、まさにスペインの独壇場ということになった。一体彼らは、何本チャンスを作り出したのだろうか。誰もが(ゴールにならなかったことで!)目を疑う絶対的なシュートシーンを・・

 ・・延長前半13分にスペインが作り出した、ジョルディ・アルバの夢のようなドリブル突破から送り込まれたラスクロスが、ピタリとイニエスタに合ったシーン・・ダイレクトシュート!!・・でも相手GKのスーパーセーブに弾かれてしまう・・フ〜〜・・

 ・・次が、延長後半5分の、ヘスス・ナバスのシュートチャンス・・また延長後半8分に飛び出した、ペドロのカウンターチャンス・・

 わたしは、延長に入って初めて、スペインが、その本来の強さを見せつけはじめた・・と感じていたのですよ。でも結局は・・

 まあ、PK戦については、コメントは止めよう。GKとキッカーの(戦術的なコトだけじゃなく、心理・精神的にも!)ものすごい駆け引きがあったんだろうけれどネ・・

 ということで、その他のテーマをまとめることにしましょう。

 まず何といっても、両チームの攻撃の「やり方」の差異を取りあげないわけにゃいかない。それは、組織パスコンビネーションサッカーと、(前述した)個のチカラを活かした忍耐強い勝負サッカーの対峙・・ってなところですかね。

 それについては、スペース攻略イメージの違い・・ってな表現が出来るかもしれない。

 拙著やコラムで常に書いているけれど、攻撃の目的はシュートを打つことです。ゴールは結果にしか過ぎない。そして、シュートを打つための「当面の目標」が、スペースを攻略することなのです。

 要は、フリーでボールを持つ選手を、いかに効果的に作り出すのか・・ということだよね。フリーということは、「そこ」がスペースそのものだからね。

 わたしは仕掛けや最終勝負の起点・・なんて呼び方をするけれど、そんな、フリーでボールを持つチームメイトが相手守備ブロック裏の決定的スペースで出現したら、そりゃ、もう、後はシュートするしかない。

 もちろん、(ペナルティーエリアの中央や角の)バイタルゾーンのスペースで「勝負の起点」を作り出すというのが、もっとも実効レベルが高いよね。それが出来れば、あとは、コンビネーション(ラストパス)やドリブルシュート等、何でもブチかましていける。

 そんな「起点」を作り出すための手段としては、大きく分けて二つある。一つは、ドリブルで相手選手を置き去りにしてしまうこと。そしてもう一つが、スペースへ入り込んでパスを受けること。

 ちょっと分かりやすくなったでしょ。

 もうおわかりの通り、スペインは、基本的に、人とボールを動かすことで(組織コンビネーションで)スペースを攻略していこうとするのに対し、ポルトガルは、多くのケースで、勝負ドリブルで、その「当面の目標」を達成しようとするのですよ。もちろん基本的に・・だよ。

 そりゃ、クリスティアーノ・ロナウドとかナニといった天才的なドリブラーを擁しているのだから、ポルトガルが、その基本線でスペースを攻略していこうとするのは自然な発想だよね。

 だからこそポルトガルは、個の(ドリブル)勝負をベースに、スペースを攻略していこうとするわけです。もちろん、もし彼らが、組織コンビネーション「も」駆使することをベースに、その「個の才能」を活用できるようになったら鬼に金棒だけれどね・・

 そう、天賦の才という「諸刃の剣」・・。ポルトガルは、そのテーマにも取り組んでいかなければならないということです。フ〜〜・・

 それに対してスペインは、あくまでも組織パスコンビネーションサッカーを基調にする。

 素早く広い人とボールの動き・・。また彼らは、マークされている選手への足許パスからのダイレクト(リターン)パス&2人目や3人目のフリーランニングという(ダイレクト)コンビネーションをワンセットにスペースを攻略してしまうのですよ。

 そして、チャンスとなったら(ある程度フリーでパスを受けられたら)、そこから危険なドリブル「も」ブチかましていく。

 スペインの危険なドリブラーには、イニエスタや前述したジョルディ・アルバ、またペドロやヘスス・ナバスもいるけれど、彼らのドリブル能力が最高の光を発するのは、基調として、「組織パスコンビネーションサッカー」が、チーム全体に深く浸透しているからなのです。

 たしかに、この試合でポルトガルが魅せた「忍耐強い勝負サッカー」には敬意を表するけれど、やはりサッカーの基本はパスゲームなんだよ。もちろん、動き の少ない足許パスではなく(それは単なるボールの位置移動!)、あくまでも人とボールが動きつづける、動的なスペース攻略サッカー・・ね。

 それがあってはじめて、相手ディフェンスの「守備イメージ」を超越できるし、個の勝負ドリブルも「より」効果的に繰り出していけるっちゅうわけサ。そう、裏の決定的スペースを攻略するという目標を達成し、シュートを打つために・・

 何か、同じようなコトを繰り返しているようにも思う。スミマセン、くどくて・・

 アタマがはっきりしないから、今は、こんなところで・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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