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2012_EURO(3)・・イメチェンのイタリアと、相変わらず高質な組織サッカーのスペインとの激突は、エキサイティングな痛み分け・・(スペインvsイタリア、 1-1)・・(2012年6月11日、月曜日)

いま、ウイスキーをチビチビとやりながらゲームを観ています。

 とても興味深い。でも、このゲームのカメラアングルは、全体的にちょっと「寄り過ぎ」。だから、少しフラストレーションが溜まった。まあ、ディレクターとカメラマンの個性なんだろうけれど、すべての映像作りコンセプトは、ドイツ対ポルトガル戦の「レベル」に統一して欲しいよね。とにかく「あのカメラワーク」は素晴らしかった。

 アルコールを入れながら観戦している筆者は、日本から「動けなくなった」ことで、もうテレビ観戦を楽しむしかない・・と心に決めた。もちろん、しっかりとゲームは観察するけれど、たまにはアルコールが入った状態で観戦・分析するのもオツなものだよ。逆に、アルコールの効果で「視点や発想の瞬発力」がアップしたりして・・あははっ・・

 この試合については、まず何といっても、イタリアのイメチェン(!?)をピックアップせざるを得ない。何せ「あの」カテナチオのイタリアが、常に人数を掛けて組織的に攻め上がってくるんだからね。それも、スリーバック。もちろん、両サイドバックが常に押し上げる攻撃的なイメージを内包するスリーバックだよ。フムフム・・

 対するスペインも面白い発想のゲーム戦術で試合に入ってきた。そう、ゼロトップ・・

 セスク、シルバ、イニエスタ、シャビ、シャビ・アロンソが、入れ替わり立ち替わり、スピアヘッド(ワントップ)の位置に入ってくる。とても興味深いけれど、それも、強固なイタリア守備ブロックを惑わそうというアイデアなんだろうね。もちろん、スペイン代表の攻撃の中心がバルセロナ選手で占められていることもあるんだろうけれど・・。

 でも前半は、両チームともに、チャンスを作り出すことに四苦八苦していた。

 その背景だけれど、多分それは、イタリアの場合は攻撃力が十分ではないから、そしてスペインの場合は、イタリア守備ブロックが強力だから・・なんていう要因もありそうだね。

 たしかに、フリーキックからのピルロの惜しいシュート、マルキッジオのシュートやモッタの決定的ヘディングシュート、逆にスペインでは、コンビネーションから抜け出したイニエスタの惜しいシュートもあったけれどネ・・フムフム・・

 でも後半は、ゲームが大きく動きはじめるのですよ。

 まずスペイン。セスクやイニエスタが惜しいシュートを放つ。でも先制ゴールはイタリアだった。後半15分に、バロテッリと交替したディ・ナターレがゴールをブチ込んで先手を取っちゃうんですよ。その先制ゴールは「こんな感じ」で決まった・・

 ・・そのゴールシーンで主役を務めたのは、やっぱりピルロ・・中盤で、「エイヤッ!」と突破ドリブルを仕掛け、そこから見事に抜け出し、ベストタイミングとコースのスルーパスを送り込んだ・・まさに見事の一言・・

 ・・そのスルーパスに反応したのは(そのスルーパスを呼び込んだのは!?)ディ・ナターレ・・彼の爆発スプリント(決定的スペースへの抜け出しフリーランニング)と、落ち着き払ったシュートもまた、見事の一言だった・・

 ところで、このシーンでは、スペインを代表する二人のディフェンダーが置き去りにされてしまった。ピルロの爆発ドリブル突破に後塵を拝したセルヒオ・ブスケッツ。そしてディ・ナターレの爆発スプリントをマークし切れなかったピケ。

 両人とも、スペインを背負って立つディフェンダーなんだぜ。そんな二人が、まさに顔色なく置き去りにされてしまったんですよ。でも、たぶん誰も罵ったりしない。どんなに優れた選手でもミスを冒すのがサッカーだからね。フットボールネーションでは、その「メカニズム」に対する理解が、しっかりと浸透しているんですよ。そう、サッカーは、ミスの積み重ね・・ってか〜〜!?

 でもサ、その数分後に、今度はスペインが唐突に同点ゴールを決めちゃうんだよ。それも、「これぞスペイン!!」ってな感じの、スーパーコンビネーション。シャビ、イニエスタ、シルバが絡み、最後は、これまたベストタイミングで決定的スペースへ(4人目として!!)走り抜けたセスク・ファブレガスが、見事なダイレクトシュートを決めた。

 そこまでのゲーム展開に、アルコールが入っていることもあって(!?)溜息が止まらなかった筆者なのです。でも、そこから、まさに手に汗握るエキサイティングな展開へとゲームが成長していったんだから堪(こた)えられない。これぞ、徹夜した甲斐があったってもんじゃありませんか。

 スペインのジョルディ・アルバや(交替出場した)フェルナンド・トーレス、はたまたシャビ・アロンソが決定的シュートを放てば、今度はイタリアのディ・ナターレが、またまた、セバスティアン・ジョビンコの決定的パスに合わせた素晴らしい飛び出しからフリー(ボレー)シュートをブチかましちゃう。

 とても、とてもエキサイティングな勝負マッチになった。たぶん両チームの選手たちも、「まあ・・痛み分けだな・・」と納得していたに違いない。試合後に抱擁し合う彼らの表情からも、そのことが伺えた。

 もちろん私の眠気とアルコール分も吹っ飛んだ。ホントに、面白かった。あれ・・!? この文章は、ちゃんとした分析コラムになっているんだろうか?? まあ、いいや。このまま、例によっての「エイヤッ!」でアップしちゃおう。それじゃ皆さん、オヤスミナサイ。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

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