トピックス
- 2012_J2・・反町康治監督も、とても良い仕事を積み重ねている・・(横浜FCvs松本山雅FC、 1-1)・・(2012年9月17日、月曜日)
- 「この試合は、オレ達が5対1で勝ってもおかしくない内容だった・・あっ、ちょっと言い過ぎ・・まあ3対1ってなところかな・・」
ちょっと迷ったけれど、久しぶりの「反町節」に触発されてキーボードに向かってしまった。
今シーズンの開幕ゲームで、反町康治さんが監督に就任した松本山雅を観た。ヴェルディ戦。たしかに松本山雅は頑張ったけれど、やはりヴェルディとの地力の差には、如何ともし難いモノがあると感じた。でも・・
そう、あの当時と比べれば、攻守にわたるハードワークの量と質(要は闘う意志のポテンシャル!)はそのままに、技術や戦術では大きくジャンプアップしていると感じた。
開幕ゲームでは、記者会見の後、反町康治さんに「I respect
you...」と声を掛けた。それは、彼のチャレンジ精神に対する敬意だった。ただ今は、同じ言葉を掛けるにしても、その意味合いが違う。もちろんそれ
は、彼のプロコーチとしての仕事の内容に対する敬意なのです。
松本山雅のゲームを着実にフォローしていたわけじゃないから、あまり語れないとは思うけれど、このチームがとても良くなっていることだけは言える。
聞くところによると、何人かの補強はあったらしいけれど、この発展・深化バックボーンの大きなところが反町康治にあったことは疑いようもない事実だと思うよ。
そのことについて質問したのだけれど、反町康治さんは、例によって情熱的に、こんなニュアンスの内容を語ってくれちゃったんですよ。曰く・・
・・新興クラブである松本山雅は、他のクラブと違って、様々な面で足りないことだらけだ・・グラウンドにしてもクラブ施設にしても・・だから、雰囲気を
盛り上げるために、監督だけは常に明るく振る舞わなくちゃいけないと心がけているんだ・・まあ、クラブ全体に元気エネルギーを与えるというかネ・・
・・そして徐々に、サッカーの内容も良くなっていった・・セカンドクールじゃ、オレ達は、まだ2敗しかしていないんだ・・たしかに天皇杯は負けちゃったけれどサ・・
・・良くなっているチームだけれど、そのもっとも重要なバックボーンは、選手たちが主体的にサッカーに取り組むようになったことだと思っている・・それ
が(勇気をもったリスクチャレンジや苦しいカバーリングなどのハードワークも含めて!?)自主的なプレーにつながっているんだ・・等など・・
そんな優れた仕事を積み重ねている反町康治監督だけれど、冒頭の発言には100%アグリーというわけじゃネ〜な〜。
たぶん反町康治監督は、(後半になってからの!)実質的な決定機の量と質だけじゃなく、決定的なチャンスにつながる「仕掛けの流れの内容」にも自信をもっていたんだろうね。
それは、感覚(印象)的には分からないでもないけれど、シュート総数でも上回っていた横浜FCだって、それなりにチャンスを作り出していたよね。
松本山雅と同様に、何度か、「エッ!?・・なんでアレがゴールにならないの!?」なんていう頓狂な声が出るような決定的シーンがあったんだ。だから、まあ、互角だったというのが、フェアな総合評価じゃないかな〜・・
ゲームの全体的な内容だけれど、前半は横浜FCがイニシアチブを握った(シュート3本の横浜に対し、松本山雅はシュート0本!)。
でも、そのゲーム展開が、後半は逆流するんだ。そう、松本山雅が勢いを倍加させて横浜FCを押し込み、その流れのなかで決定的チャンスを作り出すシーンが増えていったんだよ。
この現象について、反町康治監督が、意味深の微笑みとともに、こんな興味深いことを言った。
「後半はシステムを変えた・・そのことで、横浜のウイークポイントを突いていけるようになったんだ・・まあ、山口(素弘)に悪いから、そのウイークポイントが何なのかには言及しないけれどネ・・」
要は、前半のスリーバックを、後半はフォーバックにし、その前に、(まあ、アンカーとして!?)交替出場した渡辺匠を置いたんだよ。たしかに、後半にゲーム内容が大きく変容したという事実からすれば、その変更が、殊の外うまく機能したとも言えそうだけれど・・
反町康治さんには、横浜のウイークポイントが何なのか聞いてみたいね。
とにかく、反町康治の(挑発的な!?)発言によって、チーム戦術的に(両チームを)スタディーしてみようかな・・なんていうモティベーションが高まったものです。あははっ・・
要は、前半は、チャンスメイクの量と質という視点で(両チームともに)鳴かず飛ばずだったのに、後半は、とにかくエキサイティングな仕掛け合いになったということです。前半は眠かったけれど、後半は目が覚めた。
特に、松本山雅が、後半70分に同点ゴールを奪ってからの残り20分は、完璧なガチンコ勝負になっちゃうんだ。
その現象が、とても興味深かった。もちろん両チームともに、疲労が限界まで達したことで、攻守にわたる中盤の動きの量と質がガクンと落ちたことが直接的な原因だけれど・・
とにかく、両チームともに、最後の最後まで勝利にこだわりつづけた。だからこそ、勝負ドリブルに代表されるリスクチャレンジの姿勢だけではなく、ボールがないところでの動きの量も落ちなかった。
ただ逆に、両チームともに、守備での「動き」と集中力は大きく減退していった。それが、両チームが交互に決定的チャンスを作り出すというエキサイティングな「ガチンコ展開」のバックボーンにあった!? フムフム・・
あ〜、面白かった。
皆さんも「J2」に足を運びましょう。入場料にオツリがくること請け合いでっせ。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
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