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- 2012_WM最終予選・・立派なサッカーで快勝したザックジャパンに乾杯!!・・(日本vsヨルダン、 6-0)・・(2012年6月8日、金曜日)
- ・・たしかに我々は、ヨルダンから多くのゴールを奪った・・ただ実際は、楽勝なんかではまったくなく、とてもハードなゲームだった・・ヨルダンは、思った通り、フィジカルが強く、決して諦めない素晴らしいディフェンスを披露した・・
・・彼らは、ゲームの趨勢が決まっていたにもかかわらず、最後の最後まで全力で闘い抜いた・・私は、そんなヨルダンに対して敬意を表する・・点差は、ゲームの内実を正確に表現しているとはいえないんだよ・・ただ、だからこそ、日本の選手たちが、そんな厳しい勝負マッチを、自信をもって、とても上手くこなしてくれたことが嬉しい・・」
アルベルト・ザッケローニ監督が、そんなニュアンスの内容をコメントした。その言葉を聞き、より一層、ザッケローニに対する敬意が深まった。やはり彼は、『(志向する)理想、マイナス(正確に分析した)現状、イコール課題』という公式の意味合いを深く理解する優れたプロコーチだ。
そう、ヨルダンの闘う意志は賞賛に値するんだよ。だからこそ、この勝負マッチは、日本代表にとっても、この上なく貴重な学習機会になった。
たしかに日本代表は、立ち上がりからゲームを支配し、チャンスも作り出した。ただ、だからこそ、ヨルダンがブチかます、強烈な意志をベースにした、忠実でハード、そして粘り強いディフェンス「も」確固たる存在感を発揮していた。
ただ日本代表は、2011年のアジアカップで対戦したときと比べ、大きく進化している。もちろん「そのこと」のバックボーンは、「J」が大きくレベルアップしているだけじゃなく、代表の中心選手たちがフットボールネーションで揉(も)まれていることだ。環境こそが人を育てる・・
ちょっと錯綜した書き方になっちゃったけれど、とにかく、ヨルダンの守備が(例によって)強烈に厳しかったからこそ、日本代表の進化を体感できた・・っちゅうことが言いたかったわけです。
もうちょっと突っ込めば・・私は、オマーン戦での(3-0とリードしてからの!?)フッ切れた組織コンビネーションが、ポジティブな影響を与えていたとも考えているんです。
まあ、とにかく、前戦のカルテット(前田遼一、本田圭佑、香川真司に岡崎慎司)がポジションチェンジを繰り返すなかで、人とボールが「走りつづける」素晴らしい組織コンビネーションサッカーが披露されたことだけは確かな事実だよ。
そこでは、サイドゾーンから(相手が恐怖感を覚えるほどに強烈な!?)仕掛けを繰り出していけるからこそ、逆にセンターゾーンを直接ブチ抜いてしまうような、最短距離の仕掛け「も」、とても効果的に繰り出していけた・・っちゅうポイントもある。
この試合、左サイドでは、香川真司と長友佑都、右サイドでは岡崎慎司と(酒井宏樹というライバルの出現で緊張が高まっている!?)内田篤人っちゅう二つのペアが、ともに、危険な仕掛けを繰り出しつづけた。
もちろん、前戦カルテットは頻繁にポジションチェンジを繰り返しているわけだから、両サイドバックの相方も、どんどん変わっていくわけだよね。
というわけで、サイドゾーンから、とても危険な仕掛けを繰り出していく日本代表なのですが、だからこそヨルダン守備ブロックは、両側へ広がらざるを得なくなった。そして、だからこそ日本代表は、タイミングのよい、中央ゾーンをブチ抜くようなタテへの仕掛け「も」、とても効果的に繰り出していけた・・と思う。このことについては、わたしの質問に、ザッケローニさんも(何となく!?)アグリーだったね。あははっ・・
中央ゾーンを「一発」でブチ抜いてしまうようなセンター攻撃。例えば前半4分。ヨルダン守備ブロックのウラに広がる決定的スペースへ飛び出した岡崎慎司へ、遠藤保仁から、まさにピッタシカンカンのロングパスが通されたシーン。
そして、もちろん、本田圭佑がブチかました(日本代表にとっての)2点目ゴールのシーン。決定的スペースへ走り抜ける本題圭佑へ、これまたピッタシカンカンの「ロングスルーパス」が通された。パサーは、言わずと知れた遠藤保仁。前半21分のことでした。
ところで、前戦カルテットと両サイドバックの「コラボレーション」をクレバーにマネージするのは、言わずと知れた「大人のダブルボランチ」、長谷部誠と遠藤保仁。二人とも、攻守にわたって、素晴らしいプレーを魅せつづけた。まあ、そんなに目立つわけじゃないけれどね・・
そう・・この二人は、ホントに玄人好みのダブルボランチなんですよ。ということで、いまの日本代表には、なくてはならない存在だけれど、もし、そのうちの一人でも欠けたら大変だな〜。細貝萌・・高橋秀人・・さて、どうだろうね〜・・まあ、中村憲剛もいるしね・・そのときは、協力して補い合うしかない。フムフム・・
ところで牛若丸(中村憲剛)。本田圭佑に代わって30分以上プレーした。そして、例によって、攻守にわたる忠実で効果的なプレーを魅せつづけた。
特に決定的スルーパスのチャレンジが魅力的だね。やはり中村憲剛は、決定的スルーパスの職人だね。チームメイトも、憲剛のことを信頼しているからこそ、走る。「そのとき」は、ホント、脇目も振らずに全力スプリントで、ウラの決定的スペースへ抜け出す。
何度かあったスルーパスシーンだけれど、結局は、一つも成就しなかった。ただ、そのチャレンジは、とても魅力的だったし、可能性を感じさせてくれた。
ところで本田圭佑と中村憲剛。前回のレポートでも書いたように、本田圭佑は、攻守にわたる組織プレーでも(汗かきプレーでも!?)、実効あるパフォーマンスを魅せはじめている。でも、中村憲剛とは、やっぱりちょっとタイプが違う。だから比べない。
とにかく、中村憲剛が出てきてからは、明らかに、日本代表の「仕掛けの雰囲気」に変化が出てきたと感じたのですよ。中村憲剛をコアにしたコンビネーションサッカー(人とボールの動き!?)がペースアップした・・っちゅう感じかな!? もちろん、香川真司や岡崎慎司、はたまた前田遼一も組織コンビネーションのスターターとして機能するシーンもあるけれど・・ね。
この戦術的な「変容現象」が内包するニュアンスは、とても微妙だから、日を改め、もう一度ビデオを見直してみることにします。
とにかく、立派な、本当に素晴らしいサッカーで快勝したザックジャパンに乾杯!!
・・ってなことを書いているうちに、「EURO」が開幕してしまった。・・そう・・EURO・・。残念だけれど、今回もテレビ観戦ということになってしまった・・。まあ、仕方ない。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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