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2012_ヨーロッパの日本人_香川真司・・大成功のマンUデビューでした・・(2012年8月21日、火曜日)

すごいネ〜、香川真司。シンプルな組織プレーと、リスクチャレンジマインドを前面に押し出す個人勝負プレーが、とても高質にバランスした素晴らしいアクションを魅せつづけた。

 サー・アレックス・ファーガソンは、最後の最後まで香川真司を交替させなかったわけだけれど、それは、ほとんどのチャンスを演出したといっても過言じゃない香川真司が、ファーガソンの期待に十二分に応える(それを上回る!?)プレーを魅せつづけたからに他なりません。

 何か、チマタでは、トップ下とか、サイドハーフとか、訳の分からない「型にはまったポジショニング論争」が渦巻いているようだけれど・・。香川真司がウェイン・ルーニーのポジションを奪う・・だとか、ファン・ペルジーと役割がダブルとかサ・・。フ〜〜・・

 でも、皆さんも観られた通り、この試合で前線を務めた、香川真司、ウェイン・ルーニー、ナニ、そしてスピアヘッドのダニー・ウェルベックも含めたカルテットは、縦横無尽のポジションチェンジを繰り返したんだよ。

 そこでは、誰が(センターの)トップ下?・・誰が右サイド?・・誰が左サイド?・・なんていう次元の低いディスカッションなど、まったく意味を為さないんだよ。もちろん、基本的なポジショニング(ゲーム戦術的な役割分担)は、しっかりと意識するけれど・・ね。

 サッカーの目的は、シュートを打つこと。そして、そこに至るまでの当面の目標イメージは、もちろんスペースを攻略していくことだぜ。そのために(今この時点で!)何をすべきか・・。それだけがテーマなんだよ。

 基本的なポジショニング(ゾーン)に留まることで互いのポジショニング(プレーゾーン)バランスを優先するのか・・、逆に、積極的に基本ポジションから 外れ、味方と交錯してまでも、より効果的な(結果につながる!?)勝負コンビネーションをブチかましていくのか・・等など。

 とにかく、この日のマンUは、明らかに、前線カルテットのモビリティー(流動性)を優先していた。まあ、彼らの場合は、そんな「組織プレーイメージ」が普通ではあるけれどね。

 そして、そのカルテットに、ダブルボランチ(スコールズとクレヴァリー)や両サイドバック(エヴラとバレンシア)が、効果的に絡んでいくんだよ。もちろ ん逆に、香川やルーニーだって、必要に応じて(!)マンU最終ライン前のゾーンまで戻ってディフェンスに入ったりもするんだ。まあ、効果的なタテのポジ ションチェンジ・・

 そんな「自由」を謳歌した香川真司。彼にとっても、この日のプレミアデビューは、楽しいことこの上なかったでしょ。

 でも、そんなふうに自由を謳歌できたのは、もちろん彼らが、攻守にわたって最高レベルのハードワークをこなしていたからに他ならない。だからこそ、相互 信頼関係がマンUの組織サッカーを高めつづける・・だからこそ、縦横無尽のポジションチェンジが、とても高質に機能する・・

 それにしても、香川真司が魅せた、攻守にわたる豊富な運動量(優れた動きの量と質!)に支えられたシンプルな組織(展開)パスと、タメや突破ドリブル&シュートといった個人勝負プレーは、得も言われぬほど美しくバランスしていたよね。

 マンUのチームメイトも、積極的に香川真司を「探して」パスを回していたっけ。

 彼らにしても、香川真司が、「変にボールをこねくり回したり」せず、とても素早くシンプルなタイミングでボールを「走らせる」ことを知っている(トレーニングやプレシーズンマッチを通して、そのことを強く認識した!)。

 チームメイトは、香川真司にボールを渡せば、組織コンビネーションを「加速」させられることを良く知っている。だからこそチームメイトたちも、そんな「香川真司のプレーイメージ」を信頼し、積極的にパスを回すんだよ。

 ・・ヤツにボールを預ければ、必ず、次、その次のスペースへ効果的にパスを展開させてくれる・・だから、ヤツにパスを付けてスタートすれば(パス&ムー ブ!)、オレにだってシュートチャンスがめぐってくるはずだ・・。そんな相互の信頼関係が(この時点で既に!!)成り立っていると感じた。

 そのことは、とてもすごいことだと思うし、そのバックボーン要素に対する興味は尽きない。もちろん「そこ」が、マンチェスター・ユナイテッドという、世界有数の厳しい競争環境だからこそ・・

 たしかにプレシーズンマッチでの香川真司は、優れた組織プレーを展開した。でもそこには、(たぶん香川真司よりも!?)個の勝負プレーに長けた世界の猛者連中が「ひしめいて」いるんだぜ。フムフム・・

 まあ、だからこそ、香川真司にとっても(もちろん、わたし自身にとっても!)、ものすごく興味を惹かれる貴重な学習機会だっちゅうことだけれど・・

 とにかく、この試合でマンUが魅せた(まあ結果は惜敗になっちゃったけれど・・)素晴らしい組織サッカーに舌鼓を打っていた筆者だったのです。もちろんそれもこれも、香川真司の、攻守にわたる痛快な組織プレーがあったればこそ・・なんだけれどネ。

 ところで日本代表。

 まあ、スピアヘッドが誰になるかにも拠るけれど、そこでも、この日のマンUのような、縦横無尽ポジションチェンジのカルテットが観たいよね。

 例えば、前田遼一がトップに入った場合は、そんな究極の縦横無尽ポジションチェンジを期待できるね。

 前田遼一、岡崎慎司、本田圭佑、そして香川真司のカルテットが、(大人のダブルボランチや両サイドバックのオーバーラップも含めて!)縦横無尽のポジションチェンジを基調に、究極のダイナミック組織サッカーをブチかます・・とかね。

 もちろんその期待は、本田圭佑という天賦の才が、世界トップへ向けて「本物のブレイクスルー」を果たしつつあることを確信できたからこそ現実味を帯びるようになったんだよ。

 攻守にわたるハードワークを基盤に、素晴らしい組織プレーを展開した香川真司を観ながら、そんなテーマにまで思いを馳せていた筆者だったのでした〜。あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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