トピックス


2012_ヨーロッパの日本人_プレミアデビューを果たした宮市亮・・(2012年2月13日、月曜日)

宮市亮についても、簡単にレポートしておきます。

 惜しかったネ〜、絶対的チャンス。アレが入っていたら、ヒーローだったのにね。

 でもサ、あそこでゴール(デビュー戦での初ゴ〜ル!!)を決めていたら、彼のプレーのネガティブ部分が覆(おお)い隠されちゃうでしょ。まあ、彼自身は、そんなメディアの「雑音」に惑わされることなく、冷静な自己分析ができるとは思うけれど・・

 そんなネガティブ部分の最たるモノは、何といってもディフェンス。

 左サイドがメインのプレイゾーンだけれど、現代サッカーでは、状況に応じて(サイドバックとのタテのポジションチェンジも含め)自ゴール前まで戻る忠実な守備にも精進しなくちゃいけない。

 後半から交替出場した宮市亮。その立ち上がりから、何度も「その」ディフェンスで課題が見え隠れする。

 ・・相手の「ワンツー」に対するマークが一瞬遅れる・・ボール(ワンのパス)を見てしまったことで、パス&爆発ダッシュする相手を掴みきれず、ファールに取られても=PK!=おかしくないシーン・・

 ・・協力プレスやボール奪取アタックへいかなければならないシーンで、お座なりのプレー態度(アリバイの寄せ!?)がミエミエ・・そして、相手に簡単にパスを回されてしまったり、簡単にスルーパスを決められてしまったり・・

 ・・また、自分がマークしなければならない相手プレイヤーに置き去りにされ(その相手に決定的スペースへ走り込まれ)、結局最後は、その相手プレイヤーにダイレクト・シュートをブチかまされてしまった・・それ以外でも、何度も、ボールウォッチャーになってマークすべき相手に背後スペースへ走り込まれてしまったシーンがあった・・

 ・・また、相手の決勝ゴールシーンでは・・後方から決定的スペースへ走り込んでいく相手プレイヤーが明確に「見えて」いたにもかかわらず、全力の、まさに脇目も振らない必死のスプリントで、最終勝負スポットへ戻っていくという「意志」が見えなかった・・結局、戻ってはいるけれど、様子見の寄せランニングというレベル・・120%スプリントで自軍ゴール前までもどっていたら、もしかしたら、その決勝失点を防げたかもしれない・・等など・・

 これでは、チームメイトからの信頼は勝ち取れない。

 とはいっても、攻撃では、少しは気を吐いた。もちろん、ボールを持ったら・・という注釈付きだけれど・・。

 彼は才能があるのだから、もっと、もっと、『良いカタチ』で、要はスペースで(よりフリーで!)ボールを持つというテーマと格闘すべき。そのためには何をすべき?・・というテーマについては、書くまでもないでしょ。

 とはいっても、ボールを持ったら、何かを期待させてくれる「天賦の才」を振りまく。たしかに、組み立て段階では、仕掛けの流れに絡んでいくボールがないところでプレーの量と質には課題はあるけれど、最終勝負シーンでは、彼の才能が光り輝くシーンも、何度かはあった。

 爆発フリーランニング(相手の眼を盗むスタートダッシュ!)で、決定的な(ウラの)スペースでパスを受け、そしてシュートまでいった。またボールを持っても、「特異な自信」が放散されるボールキープから、マーク相手を振り回すような創造的プレーも魅せた。

 このコラムで言いたかったことは、宮市亮が、まだまだ、「プラスとマイナスの相殺評価」段階にある・・っちゅうことです。

 ・・守備や、攻撃でのボールがないところででは課題を抱えている・・それでも最終勝負シーンでは、まあ、「うまく」ボールに触れればのハナシだけれど、誰にも真似できない才能プレーでチームに貢献できる可能性を秘めている・・

 言いたかったコトは、彼の課題とされるプレー内容は、その全てが、「意志」の持ち方で解決する・・っちゅうことです。まあ、プレーイメージの問題とも言える。もちろん、彼が、誰かさんのような「変なこだわり」に囚われているとしたら、問題の本質は、まったく別次元になってしまうわけだけれど・・

 とにかく彼は、自分のプレーを、ビデオで観ながら自己分析すべきだと思うよ。全体的なプレーのイメージは正しいベクトル上にある。あとは、最後の瞬間への「実効イメージと強烈な意志」をモティベートしていけばいい。

 とにかく、チームメイトからの信頼を勝ち取るためには(=パスをしっかりと回してもらうためには=良いカタチでボールを持って、自分の強みを表現させられるためには!・・等など)、攻守にわたる汗かきプレーの量と質が、決定的に重要になってくるのですよ。

 ちょっと厳しい書き方になってしまったけれど、宮市亮には、「嫌われるコラム」を発表するだけの才能があるからね。期待してますよ〜・・

===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]