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- 2012_なでしこ(キリンチャレンジ杯)・・ものすごいスピードで発展している、なでしこ・・(日本女子代表vsブラジル、4-1)・・(2012年4月5日、木曜日)
- またまた、これまでと同じようにコラムがスタートするのですよ・・すごいネ〜、なでしこ・・彼女たちは、日本のアイデンティティー(誇り)だよ・・なんてね。
ホントに、彼女たちの「進化&深化のスピード」は、世界のサッカー史に残るんじゃないか!?
もちろんそれは、イレギュラーするボールを足で扱うという「不確実な要素」が満載されているからこそ、サッカーが本物のチームゲームであり、本物の心理ゲーム(意志のスポーツ!)でもある・・ということを如実に証明する現象でもあるわけだけれどネ。
この、なでしこの進化&深化というテーマについては、先日のアメリカ戦コラムだけじゃなく、2008年2月に中国(重慶)で行われた東アジア選手権あたりから続く(もちろん昨年ドイツで行われた女子ワールドカップも含めた)様々な「なでしこコラム」を参照してください。
ということでテーマだけれど、まず、ブラジルが素晴らしい勢いをブチかましてきた立ち上がりの「興味深い現象」から入ることにしましょう。
ゲームの立ち上がり。「なでしこ」は、ブラジルにガンガン押し込まれた・・というか、「なでしこ」が前へ押し上げていくのに苦労した・・とも言えそうだね。
その現象は、もちろんブラジルが魅せた守備の勢いが(ボールを奪いかえそうとする意志が!)素晴らしかったからに他ならない。
チェイス&チェックだけじゃなく、次、その次のボール奪取ポイント(日本のパスレシーバー)へブチかますプレッシングの集散や、ボールがないところでのマーキングにも素晴らしい(忠実な!?)エネルギーが感じられた。そして「なでしこ」は、その勢いに、ちょっと圧され、押し上げていくのに四苦八苦した。
人数を掛けられなければ、「なでしこ」の組織サッカーが機能しないのは自明の理だからね。彼女たちは、相手とのフィジカル接触をできる限り避けるような、スマートでクレバーな(スミマセン、カタカナが多くて・・要は、賢く、洗練された!)組織サッカーを志向しているのですよ。
とはいっても、今では、フィジカル接触があっても、(相手がドイツやアメリカ、はたまたブラジルであったとしても!)以前のように淡泊に(消極的に・・怖がって!?)負けちゃうなんていうシーンはなくなったし、逆に、相手を身体で抑えて(スクリーニングで!)余裕のキープまで魅せたりするところまで自信を深めているけれどね。フムフム・・
でもサ、やっぱり、そんなフィジカル接触(ガチンコの肉体勝負)は避けるが勝ちだよ。それが、なでしこの真骨頂である、賢く、洗練されたパス(組織コンビネーション)サッカーを加速させる。
あっと・・またまたハナシが脱線してしまった。立ち上がりの興味深い現象・・というテーマだった。
たしかに立ち上がりはブラジルにペースを握られた「なでしこ」だったけれど、10分もすると、徐々にゲーム展開が逆流していくのですよ。それが、とても興味深かったのです。
その背景要因としては、まず何といっても、ブラジルが、立ち上がりの攻撃的な「勢い」を、高みで維持できなくなったということがある。でも、逆に、「なでしこ」が展開するパスサッカーが(スペース攻略サッカーが!)機能しはじめたから・・と言えないこともない。
フ〜〜、難しいネ。まあ・・、攻撃と守備が目まぐるしく入れ替わるなかで偶然と必然が交錯しつづける「相対スポーツ」、サッカーの面目躍如ってなことでしょうかネ。
また、「そのプロセスの背景」には、ブラジル守備の、ボールがないところでのマーキング(次のボール奪取勝負に対する意志のプレー!)が甘くなっていったという側面もあるだろうし、彼女たちが強く意識した(!?)パスプレーがうまく機能しなかった(要はパスミスのオンパレードだった)っちゅう側面もありそうだ。
ブラジルのパスミスだけれど、イメージのシンクロ状態が、とても悪いよね。
まだパスコンビネーションを自分たちのモノに出来ていない!? 要は、パサーのイメージと、スペースへ動くパスレシーバーの意志とイメージが、うまく重なり合っていないっちゅうことなんだけれど、あんなにパスミスを繰り返したら、そりゃ、ボールがないところでの動きの量と質が減退しちゃうのも道理だよね。
でもサ、アメリカにしてもブラジルにしても、あれだけの高い個の能力を秘めたチームが、組織サッカーに「も」長けてきたら、それは脅威だよね。
今までのアメリカやブラジルは(まあ・・ドイツは、組織と個がある程度はバランスしているけれど・・)、個のチカラを前面に押し出すことで勝ってきた。それは、彼女たちの成功イメージの絶対的ベースだったわけだよね。
それが、「なでしこ」という強烈な刺激によって、その考え方に変化が出てきた。
まあ、ブラジルは、マルタが戻ってきたら、またまた個の勝負プレーがイニシアチブを握っちゃうんだろうけれど、アメリカの場合は、本気で組織サッカーのイメージを深化させようとしているらしい。フムフム・・
何といっても、サッカーの場合は、イメージとリズム感の「共有」が、とても大事な要素になってくるからね。「個」を押し出し「過ぎ」たら、確実に「組織」が減退しちゃうんだよ。
要は、「個」を押し出し過ぎたら、確実に、攻守にわたる「ボールがないところのアクションの量と質」が減退しちゃうっちゅうことだけれど、だからこそ、まず攻守にわたる「組織サッカー」を絶対的なベースにしながら(天才にもしっかりと汗かきプレーをさせる!?)、そのなかに、天才の個人プレー「も」タイミングよくミックスしていくという発想こそが、正解なんだよ。
そして、だからこそ、チーム戦術の進化&深化にとって、監督のストロング・ハンドが決定的に重要なファクターだっちゅうわけさ。
あっと・・、(立ち上がりの時間帯から)素晴らしいサッカーへと成長を遂げていった「なでしこ」については、まあ、これまでのコラムを参照してください。
最後に・・
このキリンチャレンジ杯では、若手や、これまで出番の少なかった選手に経験を積ませる(自信リソースを充実させ、効果的にシェアさせる!?)なかで優勝カップも手にする・・という目標を高らかに宣言した佐々木則夫監督に、乾杯!!
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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