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2012_なでしこ・・彼女たちは「原点」に戻った・・こうなったら強いゼ・・(なでしこ対フランス、 0-2)・・(2012年7月20日、金曜日)

なでしこは、フランスのスピード(先制ゴール)と高さ(セットプレーからの追加ゴール)にやられてしまった・・

 もちろん「そんなこと」は始めから分かっていたわけだから、それに「やられない工夫」と、それを実行していく「意志」が足りなかった(事前のイメージ作りが至らなかった・・!?)という課題を突きつけられたというのが、もっとも重要な反省ポイントだね。

 ・・セットプレーにおいて、高さでは全くかなわない相手選手に、いかに効果的に身体を寄せ、自由にヘディングをさせないのか・・

 ・・スピードでは全くかなわない相手に対し、マーキングを工夫することは言うまでもなく(パスを予測し、相手より先にマーキングのスタートを切るなど!)、同時に、そのタテパス自体を「自由に」出させない工夫をしたり・・

 ここでは、やはり、決定的な(正確な)タテパス(ロングフィード)を出させないための中盤での忠実勝つダイナミックなチェイス&チェックと、パスを予測するディフェンス(クレバーなマーキング)というのがテーマだね。

 とにかく「なでしこ」は、ピンチに陥ったシーンと、実際にゴールを喰らったシーンを、しっかりとアタマに叩き込んでおかなけばならない。

 別な見方をすれば、これまで(あまり!?)対戦することがなかったフランスの「やり方」を、横っ面を引っぱたかれるような「冷や汗の刺激」とともに強烈に体感できたことは、とても重要だったとも言える。何せ、彼らとは、準々決勝で当たる可能性が高いわけだから・・

 それにしても、先制ゴールを決められるまでの時間帯・・

 なでしこは、自分たちのサッカーの絶対的前提である効果的な組織プレス守備(積極的なボール奪取プロセス)を、逆にフランスにブチかまされた。そのことは(そして完全にゲームのイニシアチブを握られたことは)、ちょっとショッキングな出来事だったね。

 観ているコチラも、ちょっと面食らった。

 まあ、フランスにすれば、世界チャンピオンである「なでしこ」を、自国フランスのファンの前で叩くという絶大なモティベーションがあったわけだけれどね・・。

 そして「なでしこ」は、そんなフランスの勢いを効果的に受け止められずに押し込まれつづけた。ディフェンスの「悪循環」が高じていく。

 そう、忠実でダイナミックなチェイス&チェックと、次のパスを読んだ忠実なマーキング&ボール奪取勝負(インターセプトや相手トラップの瞬間を狙ったア タック・・等など)という「組織ディフェンス・チェイン」がうまく機能しなかったんだよ。いや、というよりも、プレッシング守備をブチかますフランスの 「意志」の方が上回っていたという表現の方が適切なのかもしれない。

 ヨーロッパチャンピオンの「リヨン」の選手を中心に組まれたフランス代表のやり方(チーム戦術)は、昨年のワールドカップと変わらない。まあ、ちょっと 「パスのリズム」が向上したかな・・という程度の印象。ということで、最終的な仕掛けは、そのほとんどが個人勝負プレーということになる。

 もちろん、「足許パス」によってボールは動くけれど、最終的にシュートまで行くプロセスでは、やはりドリブルの方が目立つ。もちろん、最終パスからのダイレクトシュート(足やヘディング)もあるけれどね。

 そんなフランスに対し、先制ゴールを奪われてからの「なでしこ」の仕掛けに、徐々に、持ち前の組織パス(コンビネーション)が出てくるのですよ。まあ、 フランスの守備での「勢い」が、先制ゴールを奪ったことで、徐々に「落ち着いていった」という側面もあるけれどネ。そしてゲームが、動的な均衡状態に入っ ていった。

 そんな展開になったら、「なでしこ」がイニシアチブを握る時間帯が増えていくのも道理。そして何度か、もちろん「組織パス&コンビネーション」から、フランス守備のウラの決定的スペースを突いていくような効果的な最終勝負も出てくるようになるのです。

 まあ、その後のセットプレーからのフランスの追加ゴールについては(最終勝負でのマーキングと競り合いの内実については!)、大いに反省しなければなら ないけれど、はじめから「鮮明なゲーム展開イメージ」をもって試合に臨めば、決して「こんな展開」にはならなかったよね。

 ゲーム後のインタビューでコメントした選手や佐々木則夫監督も、「そのこと」をしっかりと理解していると感じさせてくれた。

 まあ・・ね、このような「刺激」を、本番前にブチかまされて良かった・・というのが本当のところだったということです。

 彼女たちは、以前のオリンピックや昨年のワールドカップ時の「マインド」を、しっかりと思い出したということです。

 ・・パワーやスピードといった個のチカラでは自分たちは劣っている・・たしかに世界チャンピオンではあるけれど、「あの決勝」にしても、最後まで「強い意志」を持ちつづけられたからこそ成果を出せた・・

 ・・やはり自分たちは、全精力を傾注する忠実なディフェンスを絶対的ベースに、究極の組織プレーを展開していくしかない・・そう、彼女たちの最大のアドバンテージは、「組織サッカーしかない」という現実なんだ・・

 ・・そして彼女たちは、この試合でフランスにブチかまされた強烈な刺激を通じ、「そのこと」をイヤと言うほど再認識させられた・・

 そう、それこそが、この試合から得られた最大の「収穫」なんだよ。

 彼女たちは(そのマインドが)まさに原点に回帰したんだ。自分たちには「組織サッカー」しかない・・その絶対的なベースは、全員に共通する最高の守備意識と、攻守にわたる汗かきプレーを積極的に「探しつづける」というプレー姿勢なんだ・・ってね。

 さて、オリンピックがはじまる。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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