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- 2012_五輪なでしこ・・粘りサッカーで勝ち切った「なでしこ」に乾杯!!・・(なでしこ対フランス、 2-1)・・(2012年8月7日、火曜日)
- もう、何と表現したらいいのやら・・
なでしこ先制ゴール場面にしても、フランスのPKシーンにしても、またそれ以外のピンチにしても、サッカーの神様が味方したとしか思えない!?
日本のU23代表とスペインとの初戦でもそうだったけれど、とにかく、最後の時間帯では、時の流れが止まったように感じた。それに、ロスタイムも4分だぜ・・フ〜〜・・
ちょっとエモーショナルな書き出しになっちゃったけれど、ゲーム展開の内実は、「なでしこ」が、持ち前の「粘りサッカー」で立派に勝ち切った・・っちゅうものだよ。念のため・・
フランスが繰り出してくる「アバウトな放り込み攻撃」に対して、なでしこ選手たちは、限界まで身体を張りつづけたんだ。
身長187pのセンターバック、ルナールを最前線に上げたフランス。もちろんフランスは、そのターゲットへ向けてハイボールを放り込んでくる。
それに対して「なでしこ」の女傑たちは、勇気をもって、ルナールへ身体を寄せ、まったく自由にヘディングさせなかった。また、その競り合いで「こぼれたボール」も、最高の集中力で拾いつづけた(効果的にクリアしつづけた)。
そんな立派な「粘りサッカー」を魅せつづけた、なでしこ。試合後のインタビューで、佐々木則夫監督が、思った通りのゲーム展開で、思った通りのサッカーが出来た・・なんていうニュアンスの内容をコメントしていた。フムフム・・
とはいっても、もちろん本物のピンチは何度かあったし、ツキに恵まれたシーンもあった。それでも「なでしこ」の女傑たちは、まったくビビることなく・・
いや、ピンチをしのげばしのぐほど、勇気と集中力が何倍にも増幅していったと感じた。そんな「チームの成長」を観ながら、ホントに、彼女たちを誇りに思っ
たものだった。
この、成功の体感は、かならず「次」になながる。そう・・金メダルをめぐる最終決戦。そして「なでしこ」は、ワールドカップとオリンピックの連覇という「歴史」を作るんだよ。
ところで、このゲームの入り方だけれど、フランスのビニ監督は、やはり、ゲーム戦術を駆使してきた。まず守備ブロックを安定させる闘い方を選択したんだ。もちろん中盤ディフェンスも厚くし、なでしこのパスコンビネーションを抑えにかかったということだよ。
そんなフランス守備だから、「なでしこ」も、簡単にはタテパスを送り込めない。もちろんウラの決定的スペースも突いていけない。
フランスの守備ブロックは、「なでしこ」の組織コンビネーションを(それを抑えるイメージを!)完璧にアタマに叩き込んだんだろうね。フランス守備は、
ボール絡みのプレッシングだけじゃなく、ボールがないところでの「なでしこ」の動きも、忠実なマーキングと効果的なカバーリングで、ことごとく抑制してい
た。
そんな強者ディフェンスを相手にしていたわけだから、前半の「なでしこ」が、たしかにボールはキープ出来ているけれど、肝心のシュートを大儀見優季の「1本」に抑え込まれてしまうのも道理という展開になった。
でも、その1本のシュートが先制ゴールになったんだよ。フ〜〜・・
わたしは、フランスのビニ監督が、後半、どんな戦術を仕掛けてくるのか興味津々だった。プライドの高いビニ監督。彼は、流麗な組織サッカーに、個の才能
を「美しく」コラボするイメージを抱いていたはず。だから私は、「あの」ビニ監督が、アバウトな放り込みを仕掛けてくるはずがない・・。そう思っていた。
でも・・
そう、後半の立ち上がりに、「なでしこ」が2点目を奪っちゃったんだ。阪口夢穂のヘディング。お膳立ては、フリーキックを蹴った宮間あや。
宮間あやのキックは、とにかく秀逸だった。
高さではかなわないフランス守備陣が相手だから、決して「山なりの緩いロビング」を送りこんだりしない。そうではなく、常に、鋭いライナー性クロスを送りこむんだ。もちろん、(ある特定の選手か勝負スポットに!)ターゲットを絞り込んだ鋭いライナー性クロスだよ。
とにかく素晴らしいキック(お膳立てクロス)だった。宮間あやは、なでしこが挙げた2ゴールのうち、少なくとも「1.5点」分の貢献はしたと思う。
あっと・・フランスの後半の闘い方。
立ち上がりのフランスは(まあ日本の2点目が決まるまでの2-3分だったけれど)、やはり、前半の「やり方」を踏襲しようとしていた・・と思う。
でも、その立ち上がりの4分に、阪口夢穂のヘディングが決まっちゃうんだよ。そしてゲームの流れが、大きく変容していった。そう、フランスが、ロングボールと、そのこぼれ球を狙う「一発勝負のパワープレー」の方向へと舵を切ったんだ。
そしてそこから、前述した、「なでしこ」の粘りのディフェンスが本領を発揮していったというわけさ。本当に、その、勇気を内包した忠実な粘りサッカーにはアタマが下がった。
もう朝方。頭の回転も限界に近づいた。ということで、このエキサイティングマッチについては、こんなところで締めさせてもらいます。
とにかく、なでしこに乾杯!!
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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