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2012_ヤングなでしこ_U20WM・・彼女たちには金メダルの方が相応しかった!?・・(日本vsナイジェリア、 2-1)・・(2012年9月8日、土曜日)

一昨日の7日木曜日に帰国しました。そして直ぐにザックジャパンvsUAE戦のコラムを書き、今日はヤングなでしこの三位決定戦を観戦した。

 もちろん、準決勝のドイツ戦はビデオで確認済みです。そのゲームだけれど、あれほどの点差になってしまうような内容じゃなかったね。

 それでも、ドイツ猛女の闘う意志が、キックオフ直後からパワフルに爆発し、ヤングなでしこを心理的に押し込んだ(要は、ヤングなでしこが受け身の心理状態にはまり足が止まり気味になってしまった!)のは確かな事実だった。

 ・・ドイツの猛女がブチかます、忠実で迫力満点のチェイス&チェック・・ボールと一緒にヤングなでしこの身体をブッ飛ばしちゃうくらいの勢いがある・・そしてそれを守備の起点として、素早く周りの味方が協力プレスの輪で取り囲んだりする・・

 ・・あんなに簡単にボールを失ってしまったら、サポートの動き(勇気をもった押し上げ)への意志が減退しちゃうのも道理か・・

 ・・「あの」ドイツ猛女たちのプレッシングの勢いを効果的に「受け止め、押し返す」唯一の方法は、自分たちも、猛女に優るとも劣らないほど強烈な勢いの プレッシングをブチかますしかないんだよ・・でも立ち上がりのヤングなでしこは、そのエネルギーを絞り出すことができなかった・・

 ・・とにかく、ドイツ猛女がブチかましたチェイス&チェックの勢いはレベルを超えていた・・それだけじゃなく、なでしこ選手が、上手いトラップで猛女のマークを一発で外したとしても、猛女は、ファールギリギリに、身体をぶつけたり足を伸ばして何とか止めちゃうんだよ・・

 ・・強烈な粘りの意志・・局面での一つひとつの強烈な競り合いプレーからは、勝つことに対する貪欲なまでの意志が湧き上がっていた・・

 ・・気圧されたヤングなでしこ!?・・まあ、そういう側面があったことを否定するのは難しいネ・・そして彼女たちは、そんな「気圧された」流れのなかで、先制ゴールをブチ込まれちゃうんだよ・・

 ・・ドイツが魅せたシンプルな一発パスで、完璧にウラの決定的スペースを攻略されてしまったヤングなでしこ・・それは、素晴らしいウラ取りのフリーランニングと、走り込む決定的スペースへ正確に送り込まれたラストスルーパスコンビネーションだった・・

 ・・その場面だけれど・・ゴールを挙げたドイツ選手のフリーランニングの勢いは、ケアーしていても追いつけない程のモノだった!?・・いや、「あの」ス ピード(加速)とコースは、十分に予測し対応できる範囲だった・・実際にヤングなでしこ選手には、後方のフリーランニングが見えていた!?・・

 ・・とにかく、マークをブッちぎられたヤングなでしこディフェンダーの、一瞬のボールウォッチャー・ミスが悔やまれる・・

 ・・その後は、やっとフッ切れたヤングなでしこが、本来の「組織コンビネーションと個の勝負プレーがハイレベルにバランスした高質サッカーを、どんどんと加速させていった・・

 ・・そうそう、それだよ・・いつものように人とボールを(ダイレクトコンビネーションも織り交ぜて!)動かしつづければ、ドイツの猛女だって、そうは簡 単に抑え切れないさ・・ほら・・ドイツの猛女が、タイミングを失って明らかなファールを犯すようになっていったじゃないか・・

 ・・なんて、ヤングなでしこを頼もしく思いはじめた次の瞬間、一発の(アバウトな)放り込みロングパスによって、追加ゴールを奪われちゃうんだ・・

 ・・ヤングなでしこ守備のヘディング目測ミス・・またゴールキーパーも、飛び出すタイミングを失っていた(タイミングが遅れた!)・・そして、ドイツの「ゴッツァン追加ゴールが生まれた・・フ〜〜・・

 ・・三点リードされてからの(試合終了までの)ヤングなでしこ・・互角以上の(彼女たち本来の!)組織サッカーを展開したと思う・・

 ・・そこでは、「組織」と「個」がハイレベルにバランスした、彼女たち本来のサッカーでドイツを苦しめた・・でも・・まあ、ネ・・ドイツは3点もリード していたわけだから、ゲーム立ち上がりのようなリスキーなチャレンジング・プレスサッカーは、状況に応じて仕掛けてけばいい・・っちゅうプレ姿勢に「落ち 着いていった」のも良く分かる・・その心理的な背景要因は、指摘するまでもないよね・・

 ・・とにかく、ヤングなでしこは、ドイツに全体的なボール保持率(ポゼッション)で上回られていたとしても、決して気圧されることなく、(多くの選手が勇気をもってサポートに上がっていくことで!)しっかりと人数を掛けた組織サッカーを展開できていた・・

 ・・そこでは、ドイツ守備がキリキリ舞いさせられるような、ウラの決定的スペース攻略シーンを、何度も演出した・・気持ちよかったし、誇りにも感じていた・・でも、そこで作り出した決定的チャンスを決め切れない・・そして、終わってみれば(表面的には)0-3の大敗・・

 ・・繰り返すけれど、我らがヤングなでしこは、最後の最後まで諦めることなく、勇気をもってリスキーなサッカーにチャレンジしつづけていたんだよ・・

 ・・それは、内容的にも世界に誇れるモノだったし、わたしのヨーロッパの友人たちも、とても高く評価していた・・

 そして、わたしの予想も外れることになってしまった。そう、以前のコラムタイトルにあるように、私は、ヤングなでしこが決勝まで駒を進めることを信じて疑わなかったんだ。でも・・。まあ仕方ない。

 そんなドイツ戦でのフッ切れたチャレンジングプレー姿勢が、今日の三位決定戦での立派なサッカーを支えていたことは、疑いようのない事実だと思うよ。

 たしかに、優れた個のチカラを前面に押し出す(そんなサッカーイメージでチームが統一され調和している!?)ナイジェリアは強敵だった。

 でも、まだまだ「組織的」には稚拙。だから次の仕掛けプロセスが、その前段階から明確に見える(想像できる)んだよ。だから、カバーリング網を厚くできる。だから、一人が抜かれても、次、その次といった組織ディフェンスを上手く機能させられる。

 そして、カウンター気味(ショートカウンター的なタイミング!?)の攻撃を仕掛けていくことで、とても効率的に、優れたチャンスを作り出しつづけた。

 そこでは、組織コンビネーションが冴えわたっていただけではなく、しっかりとボールを動かすことでスペースを効果的に使えていた。だからこそ、柴田華絵 や田中美南、はたまた(優れたチャンスメイクや素晴らしいシュートも披露した)田中陽子や西川明花といった選手の勝負ドリブルも、「より」高い次元で効果 を発揮できた。

 我らがヤングなでしこは、銅メダルを、まさに順当に勝ち取った・・のですよ。

 でも、彼女たちのサッカー内容には、本当は、金メダルの方が相応しかった!? まあ、そのときは、世界中から最大限の賞賛が寄せられていたことでしょ う。残念だったけれど、「これ」を良い学習機会として、「次」へステップアップしていって欲しいと願っているのは私だけじゃないでしょ。

 ああ〜っ、ものすごい睡魔が襲ってきた。ということで、今日は、こんなところで。

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 最後に、お知らせを一つ。

 ライプツィヒ大学で教鞭を執る、友人の小林敏明さんが新刊を上梓したのですよ。

 小林敏明さんとは、2006年ドイツワールドカップでも対談したし(そのコラム12)、よく私のコラムでも登場するから、ご存じの方も多いとは思います。

 本のタイトルは「フロイト講義<死の欲動>を読む」です。せりか書房・・

 そりゃ、簡単な内容じゃないよ。哲学的な表現の「意味合い・関係性」をある程度は理解していなければ読み解けない文章も多いからね。だから書評的な紹介をしようなんて思わない。

 でも、その内容には、サッカー(スポーツ)に通じるモノがある。

 わたしは、その最終章、「人間---この残酷な存在」を何度も読み返した。人間の残酷な本性・・でも人間社会は「まだ」崩壊していない・・そこには、なんらかのメカニズムが働いている!?

 たとえば、昇華やカタルシスとという人間心理の(善循環!?)メカニズム(!?)・・さて〜・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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