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- 2012_U23・・外野ノイズにもまったく揺らぐことのないストロングハンド、関塚隆・・(U23日本代表vsメキシコ、 2-1)・・(2012年7月21日、土曜日)
- フ〜〜・・。カメラワークが「寄り過ぎ」の傾向にあるイングランドのテレビ中継。そのことは、プレミアの中継を観ているから知ってはいるけれど、どうしてもフラストレーションが溜まる。
現代サッカーでは、ボールがないところ(ボールから離れたゾーンでの)での、スペースやパスコースをめぐる「せめぎ合い」によって、次の展開(パス)が大きく影響を受けるんだよ。
要は、ボールとは離れたゾーンでの様々なタイプのだまし合い(せめぎ合い)によって、ボールの「次の動き」が大きく変わってくるっちゅうわけさ。だからこそ、もっとカメラを「引く」ことで、ボールから離れたゾーンでのドラマも観たいんだよ。
でもまあ、徐々にではあったけれど、時間の経過とともにボールがないところでのせめぎ合い「も」ある程度は把握できるようになっていったね。ゲームの質
が高かったことで、カメラマンも、「次の勝負所はどこなのか・・」というレベルまで考えはじめた!? 要は、彼も「そこ」が観たくなったっちゅうことなの
かもね。あははっ・・
ということでゲームに入ってく訳だけれど、まず何といっても、日本のオリンピック代表が、「あの」強いメキシコを相手に、粘り強い立派なサッカーを展開したという事実を強調しなければ・・
選手選考や、フレンドリーマッチでの選手交代など、私も含めて、さまざまな「外野ノイズ」にさらされた関塚隆監督。でも彼は、まったく揺らぐことがなかった。とても立派。そんな「ストロングハンド」に率いられた若武者たちへの期待は天井知らずってな感じになってきた。
それにしても、メキシコは強かったネ。スペインとの準備マッチでも、現役のU20欧州チャンピオンをタジタジとさせる展開も多々あったとか。フムフム・・
もちろん関塚ジャパンも、メキシコの力強いポゼッションや素早いカウンターから2度、3度と作り出された決定的ピンチも含め、その強さを体感したはず。
だからこそ、この粘りの勝利には、特別な意味合いが内包されている。
私は、この試合を通して日本の若武者たちが脳裏に刻み込んだはずの、最後まで集中力を切らさない「粘りの感覚」に思いを馳(は)せていた。そして確信していた。
・・短期勝負のオリンピックだからこそ、その「感覚」は、実効あるカタチで活きてくるはず・・彼らは、スペインだからといって、決してレスペクトし「過
ぎる」ことはない・・彼らは、この試合のように、自分たちの持てるチカラを120パーセント出し切ってくれるに違いない・・
ところで、東慶悟の先制ゴール。
彼が、「決定力」で大きな課題を抱えていることは周知の事実だよね。私も、大宮アルディージャやオリンピック代表チームで、何度も、決定的チャンスを
「決め切れない」場面を目撃した。その意味でも、このゴールが、彼の「心理的ブレイクスルー」のキッカケになることを願って止まない。
何か、ハナシが、「あっち」へ行ったり「こっち」に来たりしていると感じるけれど、そんなことは全く気にせず、ここからもランダムにテーマを抽出しま〜す・・
ということで次は、関塚ジャパンが志向する、攻守にわたる組織サッカー。
その絶対的なバックボーンは、もちろん優れた守備意識にあり・・だよね。要は、攻守にわたる汗かきハードワークを積極的に「探しつづける」プレー姿勢のことだよ。
ところで守備意識。そこには、いくら「それ」に優れていても、肝心な最終勝負シーンで集中力を切らしたら、まったく意味を為さなくなってしまう・・というテーマも内包している。
忠実さだけじゃ、やっぱり足りない。世界の勝負ステージで実効あるディフェンスを展開するためには、強い意志だけではなく、想像力や創造力も問われるっちゅうことです。
何せ、メキシコにしても、スペインにしても、個人プレーだけじゃなく、組織パスコンビネーションで「も」勝負を決められるわけだからね。
まあ、「変化」という視点で、最終勝負のオプションが広いとも言える。だからこそ、一瞬の集中切れでボールウォッチャーになってしまったら、確実に決定的スペースを攻略されちゃう。
「組織」と「個」が高い次元でバランスする世界の強豪チーム。彼らは、ボール絡みだけではなく、ボールがないところでも、効果的に勝負を決められるのです。
この試合では、メキシコの強者たちの個人勝負能力の高さを痛感させられたよね。ドリブル突破の能力にしても、ミドルシュート能力にしても。ただ「それ」
だけじゃなく、彼らは、個人勝負プレーのクオリティーが高いからこそ、そこから放たれるラストパスで「も」、高い確率で勝負を決められるんだ。フムフ
ム・・
そんな、「組織と個のバランス」という視点でも、世界の強豪は、日本に対して一日の長を有しているということが言いたかったわけだけれど、もちろん関塚隆監督も、最終勝負プロセスの可能性を広げるために、「そのバランス」を高揚させたいに違いない。
だからこそ、宇佐美貴史に期待した。でも・・
宇佐美貴史は、何度か、「タメのキープ」やドリブル突破にチャレンジした。でも、簡単にメキシコの強者に潰されてしまうシーンが続いた。そして徐々に自
信が揺らいでいき、結局は、決定的な個人勝負プレーをブチかますことなく、単なる「つなぎプレイヤー」に成り下がってしまった。
宇佐美貴史については、ホント、ちょっと心配になった。守備でも、(攻撃での)ボールがないところの動きにしても、組織ハードワークの量と質は高揚しているのに、肝心の「個の才能」を光り輝かせられない。
そんな宇佐美貴史に対して、後半から(宇佐美に代わって)登場した齋藤学は、抜群の存在感を発揮した。素晴らしく危険なドリブル突破を魅せつづける突貫
小僧。それだけじゃなく、守備でも、最後の最後まで粘り強く(ダイナミックに)マークしつづけるなど、抜群の効果レベルを魅せていた。
齋藤学は、ゲームの流れに抜群のインパクトを与えられる存在だね。
ところでフォワードの先発メンバー。この試合では、永井謙佑が先発したよね。彼もまた、齋藤学に輪を掛けた組織プレイヤー。攻守にわたって動き回るだけじゃなく、肝心な勝負シーンでは、決定的スペースへ飛び出すことで味方からの一発タテパスを引き出していた。
でも永井謙佑の場合は、大津祐樹と同じように、流動的なワントップというタイプだよね。それに対して、このところ存在感を急激にアップさせている杉本健勇は、ちょっと違う。
要は、永井謙佑や大津祐樹の場合は、2列目や3列目の選手との「タテのポジションチェンジ」もうまく機能する(まあ、ゼロトップ的なニュアンスの)ストライカーだよね。それに対して杉本健勇は、明確なターゲットマンタイプ。
関塚隆監督は、最初は「流動的なトップ」からゲームに入り、勝負所で、タイプの違う杉本健勇を投入することで、相手ディフェンスブロックの守備イメージを揺動させようとしている!? さて〜・・
とにかく、外野ノイズにまったく揺らぐことのない信念の「ストロングハンド」、関塚隆に率いられたU23日本代表チームに対する期待はうなぎ上りだね。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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