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2010_WM(8)・・それでも韓国サッカーには、世界との最後の僅差を打ち破っていくためのエッセンスがあふれている!・・(アルゼンチンvs韓国、4-1)・・(2010年6月17日、木曜日)

あ〜あ・・仕掛けにいった(!?)韓国が、逆に点差を広げられてしまった・・!?

 でも、本当に彼らは「同点をターゲット」に、積極的に仕掛けていったのだろうか(もちろん、その仕掛けの絶対的ベースは、積極的な協力ディフェンスにあるわけだけれど・・)?? いや、「そこ」までガンガンと前へ仕掛けていったというわけではなかったようにも感じるけれど・・さて〜〜・・

 要は(わたしは)、韓国には、後半を迎えるにあたって、決勝トーナメントへ駒を進める可能性を考え、ナイジェリアとの最終戦を有利な状況で迎えられるように、前半の「2-1」を、できるかぎりキープするという考え方もあったのかな・・なんてことも考えていたわけです。

 何せ、相手はアルゼンチン。仕掛けていったら、かなりの確率で、彼らの「天才的な蜂の一刺しカウンター」にズタズタにされてしまう・・かもしれないじゃないですか。アルゼンチンが繰り出していく「才能ベース」のカウンターは、ホント、ものすごい迫力と威力だからね。

 でも私は、韓国は、どちらかといったら、積極的に「前へ仕掛けていった」とするのが正しい評価のようにも思う。要は、中途半端に「守備的なサッカー」をやったら、逆にネガティブな「ドツボ」にはまってしまう可能性が大きくなってしまうということだけれど、それでも、そこに、相手にリードを許したときの韓国の「レベルを超えた勢い」があった・・というワケでもなかった。

 まあ、韓国の選手たちが本来的にイメージしているような「激烈な反攻パワー」を、十分に表現し切れなかったという「現象」の背景にこそ、世界トップレベルのアルゼンチンとの間にまだ厳然と横たわる「最後の僅差」の本質が隠されているということなんだろうね。フムフム・・

 韓国は、決して、守備ブロックを厚くしようといった意図を持っていたわけじゃなかった。彼らは、あくまでも、自分たちのイメージに則ったやり方で(まあ積極的に!)ボール奪取勝負を仕掛けていったのですよ。

 また、ボールを奪い返した後の攻撃でも、しっかりと人数を掛けていたよね。そこには、後方からの十分なサポートもあった。韓国にしても、個のドリブル勝負で、アルゼンチン守備ブロックのウラスペースを攻略するような「仕掛けの流れ」を演出するのは難しい。だから、仕掛けプロセスの効果レベルを上げるためには、日本のように、人数を掛けることが必要になるわけです。

 ギリシャ戦では、全体的な走りの量と質で相手を圧倒し、攻守にわたって、多くのシーンで、数的に優位な状況を作りつづけた。だからこそ、ギリシャを「心理的な悪魔のサイクル」に陥れることに成功した。それは、韓国サッカーに対するイメージ資産のアップという視点で、本当に素晴らしい成果だった。私は、そのゲームのコラムで、韓国は東アジアサッカーの誇りだ・・とまで書いた。このアルゼンチン戦の結果を受けても、その考え方を変えるつもりはありませんよ。

 ということで、冒頭の表現にもどるわけです。

 後半の韓国は、決して、前半の「点差」を守ろうとしていたわけではない・・逆に(たしかに注意深く、次の相手の攻撃に備えようとはしていたけれど!?)基本的には同点を狙い、積極的に押し上げようとしていた・・ただそれには、やっぱり相手が悪かった・・そして、韓国が、例によっての強烈な意志に支えられた激烈な反攻エネルギーで、アルゼンチンを、本当の意味で押し込めていけなかったという現象にこそ、(日本も含め)世界との間にある最後の僅差を「形成する」シークレット・バックボーン要素が隠されている・・というのが私の見方なのであります。

 まあ・・たしかに、守備を固めるサッカーなんていうのは、韓国に似つかわしくないよね。

 アルゼンチンにとっちゃ、以前の・・そう、いまは監督をやっているホ・ジョンムがプレーしていた当時にように、極限までガツガツと粘り強く闘いつづけられることの方がイヤなはず。当時のマラドーナが、ホ・ジョンムに、抜群の粘り強さで、まさに肉弾戦的なガツガツ・マークを受けつづけたようにね。それに対して、いまの韓国のスマートな(より洗練された)サッカーの方が、アルゼンチンにとっては与(くみ)し易いに違いない。

 あの当時の韓国サッカーは、いまよりももっと、フィジカルやテクニック、また戦術的な部分でもフットボールネーションに大きく水を空けられていたっけ。だから彼らは、そのマイナス分を、強烈な闘う意志(コリアン・ファイティング・スピリット!?)で補うしかなかった。そして、逆に「その方」が、テクニカルなアルゼンチンにとっては、やり難かったということだね。そのメカニズムは、本当によく分かる。

 それに、当時の韓国だって、決して守備ブロックを厚くしようなんてしていなかった。あくまでも前へ・・そう、強烈な意志とガッツで、相手がアルゼンチンであることなんて関係なく、極限まで闘いつづけたっけ。そんなプレー姿勢を観ながら、サッカーコーチとして、心底彼らに敬意を表したし、羨ましくもあったっけ・・。

 とにかく私は、日本代表とともに、最後の最後まで、韓国代表のグループリーグ突破をサポートしますよ。

 あっと・・ということで、このゲームも、スタンド観戦が出来ました(ウェイティング・チケットを獲得できた!)。このことについては、今日の午前中にアップした「このコラム」を参照して下さい。ではまた・・

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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