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2014_W杯(3)・・さて、スペイン対オランダ・・「あの」スペインが完全に集中力を失ってしまった・・(2014年6月13日、金曜日)

違う・・、違う・・。

スペイン代表の、人とボールの「動きのリズム」は、明らかに全盛期とは違う。そのことは、ゲーム開始後、すぐに感じた。

何と比べて違うのかって!?

そりゃ、全盛期のバルセロナとか、ちょっと前の(バルサメンバーを中心に構成された)スペイン代表ですよ。

人とボールの「動きのリズム」というテーマについては、新連載「The Cre Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

全盛期のバルサだったら、この試合で先発したブスケツ、シャビ・エルナンデス、イニエスタで構成する中盤トリオに、ペドロやセスク(もちろんメッシも!) という、長年一緒にやってきたメンバーが加わり、縦横無尽のポジションチェンジを繰り返しながら、独特な(人とボールの)動きのリズムを魅せつづけちゃう よね。

それは、まさに「ゼロトップ的」なやり方ということになる。

それに対して、このスペイン代表では、ダビド・シルバと不動のワントップ、ディエゴ・コスタが前線にいるだけじゃなく、中盤の底(まあ、センターハーフ)としてシャビ・アロンソも加わっている。

そのメンバー構成(プレーイメージの組み合わせ!?)では、人とボールの「動きのリズム」がアップしていかないのも自然な成り行きだったのかもしれない。

もちろん、何度かは、素早いワンツー・コンビネーションから抜け出したダビド・シルバが、決定的スペースでスルーパスを受けたり、決定的スペースへ走り抜けるディエゴ・コスタに長いスルーパスが通ったりと、決定的チャンスも作りだした。

でも、チャンスの量と質という視点では、前回の南アW杯を制したときから比べても、明らかに危険度はダウンしていると感じる。

それでも前半は、チーム総合力で上回るスペインがイニシアチブを握るという展開になった。

たしかに、人とボールの「動きのリズム」は少し落ちてはいるけれど、それでも着実にボールを支配するというゲーム展開の「傾向」は、つづいていたのですよ。

でも、その現象は、実はスペイン代表が、オランダの「ゲーム戦術」に、ズッポリとはめ込まれていたということなのかもしれない。

何せ、以前ほどの力強さが感じられなくなったオランダは、「まずディフェンス」という姿勢でプレーし、一発カウンターを狙っていたのだから。

要は、オランダの三人の天才(ファン・ペルジー、スナイデル、ロッベン)と、守備陣が、前後に分断されたサッカーを展開していたということだけれど、それが(スペインの動きのリズムが減退したこともあって!?)殊の外うまく機能したっちゅうことなんだろうね。

とにかく、そんなゲーム展開イメージが、オランダ全体に、徹底して浸透していたと感じるのですよ。さすがにファン・アール(監督)だね。

そして案の定オランダは、一発の必殺スルーパスで、フリーで抜け出したスナイデルがフリーシュートをブチかましただけじゃなく(カシージャスが落ち着き 払ってシュートをたたき落としたから事なき得たけれど・・)、大きな一発ロングパスから、ファン・ペルジーが、同点ヘッドをブチかますんだよ。

そんな、両チームの「思惑」という視点でも、とても興味深いゲームだった。

そして後半、しっかりと守りながらも、オランダが、全体的に「押し上げ」ていくようになるんだ。

それにしても、ロッベンの勝ち越しゴールは、見事の一言だった。

前半の「一発ロング勝負パス」と同じように、この勝ち越しゴール場面でも、ファン・アールの、最終勝負を前線の「天才トリオ」に任せきるという「勝負イメージ」が、ピタリとツボにはまったということだね。

勝つことだけを絶対的な目標イメージにする「徹底した戦術サッカー」。実利主義者、ファン・アールの面目躍如ってなところだね。

そしてその後は、オランダが、攻め上がってくるスペインを尻目に、次々とカウンターゴールをブチ込みつづけたっちゅうわけだ。

それにしても、「あの」スペイン代表だからね、「5失点」はあり得なかった。

とにかく、「あの」スペインでも、集中力を失った「ロスト・エッジ」ってな心理状態に陥ってしまったこともまた、このゲームでの興味深いポイントだったというわけか。フム〜〜・・。

何か、ものすごい睡魔に襲われている。文章も、まとまりに欠けていると感じる。だから今日は、こんなところにします。悪しからず・・。

あっと・・チリ対オーストラリアが始まった。では、また明日。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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