トピックス
- 2015_日本代表・・意義深い勝利だった・・また、仕掛けの変化というテーマや、メンバーの新しい流れについても・・(シンガポールvs日本、0-3)・・(2015年11月12日、木曜日)
- 流石だね〜、ベルント・シュタンゲ。
彼に率いられるシンガポール代表が、素晴らしい「守備意識」を魅せたんだよ。とにかく、彼らがブチかました「意志のディフェンス」に対して、まず拍手をおくるのがフェアでしょ。
スペースをケアーするイメージング能力だけじゃなく、次、その次・・と連続するカバーリングの連動性が特筆だった。
もちろん中央ゾーンに「人数を掛ける」という、(相手が日本だからこその!?)オーソドックスな守備固めゲーム戦術ではあるけれど、そこで選手一人ひとりが魅せつづけた「意志のプレー」に感銘を受けたんだよ。
人数が余っていても、誰か他のヤツに任せる・・なんていう「アナタ任せ」のディフェンス姿勢じゃない。そうではなく、協力プレスやスペース潰し、全力スプリントのカバーリングなど、あくまでも自分主体で「守備の仕事を探しつづける」シンがボール選手たちなんだ。
私は、「あの」スーパーGKの素晴らしいゴールキーピングも含め、シンガポール守備ブロックが魅せつづけた、強烈な意志と、勝負シーンのイメージング連動性、そしてその高い機能性に舌鼓を打っていたんだ。
あっ・・いや・・、それは、「勝負の行方」が見えてきてからのハナシだった。
実は・・
内容では圧倒してチャンスを作り出すけれど(ウラスペースの攻略!)、第一戦のように、ゴールだけは割れなかった。
だから、先制ゴールが決まるまでの立ち上がり20分間は、(正直なところ!)ホントに心配が高じて、手に汗握っていたんだよ。
こりゃヤバイ・・ってね。
それでも泥臭いゴールが決まって、シンガポールを振り切れた。もちろん金崎夢生の先制ゴールは素晴らしかったよ・・。とにかく、良かった。
そうそう、この、メチャクチャ粘り強いシンがボールについて、もう一つ言っておきたいコトがあったっけ。
それは、彼らが、日本とカンボジアが対峙する来週17日の火曜日には、ホームにシリアを迎え、最終予選へ向けてギリギリの勝負マッチを闘うということ。
このカードの第一戦は、ホームのシリアが「1-0」で勝利を収めたけれど、これは、ホントに、どうなるか分からない。とても興味深い。
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ということで日本代表。
この試合での(特に前半の!)日本代表は、人とボールを素早く広く動かしつづけ、サイド、中央ゾーン、そしてミドル弾などなど、変化に富んだ仕掛けをブチかますなど、とても良かった。
そこでは、アントラーズにおいて、素晴らしい攻守ハードワークを絶対的ベースに、勇気ある(!!)粘りのダイナミック勝負プレー(リスクチャレンジ)をブチかましつづけている金崎夢生が、ワントップで先発にした。
彼のリーグでの活躍を見れば、まさに順当な選択だったと思う。
調子の良い選手をどんどん先発させるハリルホジッチの「目とマネージング」に期待しよう。でも、もちろん近いうちに、「チームを固めるプロセス」に入っていかざるを得ないだろうけれど・・サ。
ということで先発メンバー。たしかに金崎夢生のワントップという「形式」だけれど、全体的な機能性からすれば、やはり「ゼロトップ」よ呼ぶべきタイプだったと思う。
このテーマについては、新連載「The Core Column」において昨日アップした「このコラム」も参照してください。
そこでは、「世界」が相手の日本代表だからこそ、人とボールを動かしつづける「究極の組織サッカー」を目指すべきだ・・というディスカッション゛か骨子でした。
そのニュアンスを、「ゼロトップ」という表現に凝縮したわけです。
また、そのコラムでは、たとえ相手が世界でも、本物のターゲットマンを設定することで、「本来のワントップ」で闘うことも可能だ・・というディスカッションも展開しました。
そう、本田圭佑という理想的なターゲットマン(そのコラム参照)。
でも、このゲームでの彼は、例によって、右サイドに「張り付き気味」にプレーしていた。ちょっと残念だったね。
「ゼロトップ」のなかで機能するならば、もっと、もっと「大きく」動きながら、ラストスルーパスやクロスを送り込むだけじゃなく、ダイレクトのコンビネーションをリードしたり、ドリブル(ミドル)シュート等にもトライして欲しかったね。
あっと・・、ダイレクト(パスやシュート)という、特別なグラウンド上の現象。
この「サッカー用語」についても、サッカー協会の指針に基づく「ワンタッチ」という表現と絡めて、「このコラム」でディスカッションしたから、興味がある方はご参照アレ。
あっ・・と、またまた脱線。
私が言いたかったのは、この試合のなかで(特に、動きが止まってきた後半!)、本田圭佑を明確なターゲットマンとして中央トップに据えるような「本物のワントップ」というやり方にもチャレンジして欲しかったということなんですよ。
日本代表が、急に「やり方」を変えたら、確実にシンガポール守備ブロックは混乱する。それが狙いっちゅうわけだ。
確認しておくけれど、ここで言う「ワントップ」という表現が内包する戦術的コノテーション(言外に含蓄される意味)は、金崎夢生をトップに置き、それを起
点に、全体的な「動き」を加速させるというコトだけじゃなく、本物のポストプレー「も」機能させるような「やり方」だよ。
とにかく、「全体的なやり方」を急に変えるといったチーム戦術的な発想は、様々な期待効果を内包する「仕掛けの変化」という意味合いでも、「あり」だと思っている筆者なのですよ。
今日の「実質的なゼロトップ戦術」のなかで、有機連鎖コンビネーションを魅せつづけた先発メンバーは、良かったね。
金崎夢生、武藤嘉紀、清武弘嗣・・
彼らもまた、前述した「コラム」に述べた、究極の組織サッカーを志向する申し子たちだ。
ということで、最後に、柏木陽介。
皆さんもご覧になったように、このゲームでの柏木陽介は、まさに本物のゲーム&チャンスメイカーとして、スーパーに機能しつづけた。
そのことは、グラウンドでプレーしている選手たちが、もっとも強く感じている。だからこそ、長谷部誠や本田圭佑も含めて、例外なく、柏木陽介を「探して」いたよね。
たしかに柏木陽介の「スピードとパワー」は、国際レベルでは見劣りする。
でも、この一年間、レッズで、そのポジションを、攻守にわたって立派に「こなして」きた経験と自信によって、特にディフェンスの効果レベルが格段にアップしていると思う。
彼の、攻撃におけるクオリティーについては、疑う者などどこにもいないだろう。課題は、中盤の「底&重心」として効果的に機能するための守備力だった。
でも彼は、その課題(まわりの心配!?)も、持ち前のインテリジェンスと強烈な意志で、効果的にクリアしつつある(杞憂に終わらせつつある!?)と思う。
そう、彼は、味方にボールを「奪わせる汗かきプレー」も含めて、実効レベル抜群の「読み」をベースにしたクリエイティブなボール奪取プロセスを展開するんだよ。
ということで、日本代表での柏木陽介の立ち位置。
もちろん相手などの状況によっては、より守備のチカラがある「長谷部誠のパートナー」を選択するケースもあるだろう。
それでも、今の柏木陽介が、このゲームで魅せた素晴らしいパフォーマンスも含めて(!?)、着実に、日本代表の中盤にとって「欠くことのできない存在」というポジションを確立するベクトルに乗っている(乗った)コトだけは、確かな事実だと思う。
彼については、これからが楽しみで仕方なくなってきたじゃないか。
ということで、今日は、こんなところですかネ。
次のカンボジア戦と、シンがボール対シリア戦を楽しみにしましょう。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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