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2015_ゼロックスカップ・・ゲームの流れのイニシアチブは握れていたけれど・・(ガンバvsレッズ、2-0)・・(2015年2月28日、土曜日)

フム〜ッ・・・・

もちろん、このレッズの敗戦についちゃ、誰もが、昨シーズン終盤のイメージが、彷彿として甦(よみがえ)ったに違いありません。

そう、勝負弱いレッズ。

実は私も、ゲームの流れのイニシアチブを握ってはいるけれど、実質的なチャンスを作り出せないレッズに、とても不安な気持ちにさせられていました。

前回アップしたニューイヤーカップのコラムでは、リードしてからの「気抜けディフェンス」に対してアタマにきたから、文句を書きなぐった。

でも、この試合では・・

そう、この試合でのレッズ守備は、とても良かったと思うのですよ。

守備において、もっとも重要になってくるのは、いつも書いているとおり、最終勝負の瞬間をしっかりと「イメージ出来ていること」だよね。

そう・・

ボールウォッチャーに陥ることなどなく、最後の瞬間まで、「相手にシュートをさせない」ために何をやるべきか・・についての確たるイメージを描き、そして、そのイメージをダイナミックに(力強く)トレースするように、最後の瞬間に「爆発」するんだ。

その爆発的な守備アクションは・・

最後の瞬間、マーク相手を放り出し、フリーで決定的スペースへ入り込んで「ダイレクトシュート」を打とうとする相手選手を「止める」ためにカバーリングに 入ったり、どんな状況でも、常に相手に「身体をあずける」ことで、決して自由にプレーさせなかったり、はたまた、サイドゾーンでボールを持った相手に対 し、しっかりと間合いを詰めることで、決してフリーでラストクロスを送り込ませなかったり・・等など。

そんな、最終勝負シチュエーションでの創造的&ダイナミックな(力強い)ディフェンスアクションだけじゃなく、中盤からの忠実なチェイス&チェックを絶対 的ベースに、周りのチームメイト達のボール奪取アクションを、高質に連動させ、高い位置でボールを奪い返して、必殺のショートカウンターをブチかまして いったり。

この試合でのレッズは、そんな守備がうまくいっていたからこそ、ゲームの流れを完璧に牛耳れていたんだ。

でも・・

そう、彼らは、次の仕掛けをうまく繰り出していけず、無為なボールキープに終始してしまった。

もちろん「その背景」には、ガンバ守備の、とても忠実で粘り強い「意志のプレー」があったことは言うまでもない。

レッズ攻撃の課題については後述するけれど、それが上手く機能しなかった背景には、ガンバの素晴らしい連動ディフェンスがあったんだ。彼らにも、フェアに、拍手をおくるべきだよね。

そしてガンバは、長谷川健太監督がイメージしていた通りに、後半に登場したパトリックとリンスによって、カウンターの危険度を「何倍にもアップさせる」ことで効率的にセットプレーを獲得し、それを巧みにゴールに結びつけてしまった。

だから、ゲーム全体としては、レッズが、ガンバの「試合巧者ぶり」に振り回された・・ってな見え方(印象)になってしまうっちゅうわけだ。

もちろん「それ」が、レッズの、「勝負弱さ」というイメージを強めてしまうことは言うまでもない。

ということで、ここからは、どうしてレッズが、上手くチャンスを作り出せなかったのか・・というテーマについて、簡単にディスカッションしていこうと思う。

前述したように、たしかにガンバの守備は、とても充実していた。とにかく彼らが放散しつづけた「強烈な意志」ベースの、「読み」と「粘りアクション」には脱帽なんだよ。

でもレッズは、ガンバの守備が強力だったからこそ、もっと、もっと、スリキーな仕掛けにチャレンジしていかなければならなかったんだ。

ボールの動きは、悪くなかった。でもそれは、あまりにも「セーフティー志向」が強すぎた。

もっと、もっと、タテへの仕掛けパスをブチかまさなければ、ガンバ守備を怖がらせる(心理的に不安定にさせる!!)ことなんて、出来っこない。

そして、そんなタテへの仕掛けパス(ボールの動き!)に、3人目、4人目のフリーランニングを「呼応」させていくんだよ。

そんな「タテへの仕掛けの動き」が、うまく機能してはじめて、チャンスメイクが出来るというわけだ。

3人目、4人目のフリーランニングは、もちろん、最後まで「走り抜ける」ことが大前提だよ。

先日のACLマッチでも、中国や韓国チームの選手たちは、チャンスになりそうな可能性を感じた選手たちは、例外なく、全力で、まさにフルスプリントで、スペースへ抜け出していた。

だからこそ、日本チームの「守備イメージ」を完璧に超越してチャンスを作り出すことが出来た。

その事実には、とても、とても重要なコノテーション(言外に含蓄される意味)が込められているんだよ。

この試合でのレッズの仕掛けでは、たしかに、効果的なサイドチェンジパスは、何度も成功させていた。

でも、逆サイドで、ある程度フリーでサイドチェンジパスを受けたチームメイトが、フッ切れたドリブル勝負や、そこをスタートポイントにした爆発コンビネーションをブチかましていく・・っちゅうシーンは、ホントに希だった。

チャンスの流れに乗っているのに、「そこ」から、再び安全パスで組み立てをはじめちゃったりするんだから、何をか言わんや・・だ。

そう、この試合のレッズサッカーでは、ボールの動きばかりが目立っていたんだよ。

観ているコチラは、何度、「何で、そこで止まっているんだよっ!!」なんていう罵声を出してしまったことか。

これでは、ガンバ守備ブロックが、レッズの次の仕掛けを、明確に予測できてしまうのも道理ってなわけだ。

その攻撃陣だけれど・・

まあ、左サイドの橋本和、ズラタンという明確な補強プレイヤーに、興梠慎三、柏木陽介といった(石原直樹や武藤雄樹といった補強連中も含めて・・)主力メンバーが揃えば、仕掛けの内容も、大幅にアップするだろうけれど・・

とにかくレッズは、今の、「勝負弱い・・という後ろ向きのイメージ」から、早く抜け出さなければならない。

まあ、選手たちは、そのために何をすべきか、よく分かっているはずだけれど・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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