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2016_オリンピック(その1)・・組織的な「粘勝」への、立派な意志と勇気を感じさせてくれたけれど・・(日本vsナイジェリア、4-5)・・(2016年8月5日、金曜日)

もう少し長く「粘れて」いれば・・

そう、例によっての内部的なトラブルで移動スケジュールが混乱したナイジェリアが、予想どおり、後半にフォームが大幅に「落ちた」んだよ。だから・・

フォームとは、心理・精神的ファクター(意志!?)やフィジカルコンディションなどの総称でっせ。

でも、まあ、「それ」もタラレバだから・・

全体的には、日本は、自分たちの「特性」を存分に発揮し、立派なサッカーを展開したとすることに躊躇(ちゅうちょ)しません。五点も奪われたにもかかわらず・・だよ。

その失点シーンだけれど、そのキッカケになった「起点プレー」のほとんどは、局面でナイジェリアが魅せた、強烈な「個の勝負」だった。

やはり、アフリカとヨーロッパの「コア要素」が、とても効果的にコラボレートしているナイジェリアは強いね。

聞くところによると、ナイジェリアは、ユース年代での世界選手権でも、常に世界トップの実力を示しているそうな。

それもまた、ヨーロッパの、コンチネンタル的な組織発想が、ナイジェリアが秘める「個の潜在力」と相俟(あいま)った結果だとするのが妥当な評価だろうね。

その意味で、ナイジェリアが魅せた組み立てプロセスでの組織パスの量と質は、とても良いレベルにあると思う。

でも、最終勝負プロセスでは、逆に、たしかに基調は組織ベースではあるけれど、最後の最後は個のチカラが前面に押し出される。

「二つの戦術的な二大ファクター」が、うまく(!?)融合しているナイジェリア。まあ、見方に因るけれどネ。

そう、そこから上のレベルへ這い上がっていくプロセスでは、天賦の才が、ネガティブな諸刃の剣になってしまう可能性もあるっちゅうわけさ。

まあ、サッカー界における永遠のテーマ。

これまでに、「個の才能」を絶対的な中心に組み上げられたチームで頂点まで上り詰めたのは、1986メキシコW杯を制した、ディエゴ・マラドーナのアルゼンチン代表しか(まあ瞬間的には・・のハナシだけれどサ)思い浮かばないけれど・・。

あっと・・ハナシが逸れた。ということで、このゲームで、個の最終勝負をブチかますことで成功を収めたナイジェリア。

日本がブチかまされた5失点にしても、パスで崩された(ボールがないところで勝負を決められた)シーンはとても少なかった。

そんなナイジェリアに対して、もちろん日本の若武者は、あくまでも、攻守にわたる「粘りの組織プレー」で対抗する。

豊富な運動量をベースに、攻守にわたって統制の取れた「イメージシンクロプレー」を積み重ねていく我らが若武者たち。

そこでの守備だけれど、決して「引くディフェンスブロック」ではなく、あくまでも、「積極的に狙っていくディフェンス」だよね。

インターセプトを狙うだけじゃなく、協力プレスの機会も、積極的にイメージしつづける。

そんな、コレクティブ(組織的)連動ディフェンスが、とても上手く機能しつづけていた。

だから、組み立て段階では人とボールの動きが活発じゃないナイジェリアは、攻撃プロセスでの唯一の目標イメージである「スペースの攻略」を、そう簡単には達成できない。でも・・

そう、ヤツらは、組織的にゃ難しくても、強引に「1対1の勝負」に持ち込み、「そこ」からチャンスを創りだしちゃうんだよ。

それだけじゃなく、チャンスとあれば、これまた強引でとても危険なミドルシュートをブチかましたりする。

だから日本の守備ブロックも、どうしても「引き出され」て、ヴァイタルにスペースが出来てしまう。

フムフム・・

それでも日本は、決して「めげる」ことなく、積極的にボールを奪い返し、そこから、人数を掛けて攻め上がっていくんだ(このことが、とても重要な意味を内包している!)。

彼らは、自分たちの持ち味である、ダイレクトパスを巧みに組み合わせた組織コンビネーションを前面に押し出して仕掛けていくんだ。

それこそ、手倉森誠さんが、チームに強烈なエネルギーで植え付けた「粘りのプレー姿勢」の面目躍如ってなコトなんだろうね。

手倉森誠さんは、常に「耐えて耐えて勝つ・・」なんていう表現をするけれど、決してソレは、受け身の守備などを意味しない。

そうではなく、前述したように、連動する協力プレスをベースに、あくまでも積極的にボールを奪い返し、そして直後に(まあ、カウンター気味の勢いのケースが多いけれど!?)しっかりと人数を掛けた攻撃をブチかましていくんだよ。

私は、ダイレクトパス・コンビネーションから、南野拓実がブチ込んだ2点目の「同点ゴール」シーンを観ながら、心を躍らせていた。

「そうそう、これだ〜〜っ!!」ってね。

最終勝負プロセスで、勇気をもって人数を掛けられるコトも含めて(!)、よりコレクティブ(組織的)なコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包させられる日本の若武者たち。

もちろん、だからこそ、よりスムーズにスペースを攻略していけるし、「最終勝負の流れ」に乗っているからこそ絶大な実効を発揮する「個の勝負ドリブル」もブチかませる。

たしかに、ブラジル、ナイジェリアと、天からの授かり物(個のチカラ)の差を体感させられた日本の若武者たちだったけれど、それでも彼らの「粘勝への強烈な意志」は衰えを知らない。

次のコロンビア戦、グループリーグ最終のスウェーデン戦では、その積極的な姿勢(強烈な意志)を存分に発揮してくれるモノと、心から確信しています。

ガンバレ〜・・手倉森ジャパン〜っ!!

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパックについて、何人かの方から質問されたこともあって、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」のプロモートもさせてもらうことにしました。

この方は、有名メーカーのデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードを内包する「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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