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2016_オリンピック(その2)・・あんな試合だったから、タラレバで悔しがってもいいでしょ・・(日本vsコロンビア、2-2)・・(2016年8月8日、月曜日)

ヨシッ!!・・イッタ〜〜ッ!!!!

そのとき、またまた頓狂な声が出た。

そう、後半ロスタイムの、浅野拓磨の真骨頂であるタテへの「抜け出し」からの決定機。

タテ一発ロング(浅野拓磨が抜け出そうとするウラの決定的スペースへのラストロングパス!)は、交替出場した南野拓実からだった。

そして、その一発ロングを、胸で巧みにトラップする浅野拓磨。

それは夢のようなスーパーとラップだった。

何せ、そのトラップされたボールが、まさに測ったように、浅野拓磨のステップに「ピタリとシンクロ」したんだからね。

誰もが、「イッタ〜〜ッ!!」って思うのも当然だったでしょ。でも・・

そう、結局は、勇気をもってベストタイミングで飛び出してきたコロンビアGKに、浅野拓磨のシュートが阻まれちゃったんだ。

こんな試合だから、「タラレバで悔しがること」だって許されるかも・・

そのシーンを観ながら、そんなことを思っていた。何せ・・

ゲームの主導権を握り、何度も決定的シュートチャンスを創りだしていた日本の若武者に対し、まさに「ワンチャンス」というゴールを決めてリードを奪い、その後も、藤春廣輝の不運なオウンゴールでリードを二点に広げたコロンピアだったわけだから。

コロンビア守備ブロックは、彼らの攻撃と同様に、カバーリングや協力プレスアクションも含めた守備での「組織的な連動性」のレベルが、ホントに低かった。

だから、日本の若武者たちが、ダイレクトパスも含めた組織コンビネーションで、コロンビアの守備ブロックを翻弄するのも道理。

そう、浅野拓磨がブチ込んだ「追いかけゴール」のシーン。

若武者たちは、スペースを攻略し、パス(クロス)&ダイレクトシュートでビッグチャンスを創りだしつづけたんだよ。

これだけ内容的に相手を凌駕したんだから、(悔しい)タラレバも許されるでしょ・・

それにしても日本の若武者たちは、「あの」高温多湿のアマゾナス(マナウス)で、ものすごく集中した(戦術的な実質の勢いが落ちない!!)プレッシングサッカーを継続したね。

ホントに、素晴らしい。

もちろん、その「勢い」は、立ち上がりの時間帯から比べれば、徐々に「落ち着いモノ」へ変容してはいったけれど、それでも、最後の最後まで、プレッシングサッカーの「戦術的エッセンス」は、高いレベルで維持できていた。

だからこそ、素晴らしいコンパクトサッカーを魅せつづけられたし、次の攻撃でも、しっかりと人数を掛けていけた。

現代サッカーにおける「チーム戦術アイデア」の絶対的な基盤は、攻守にわたって、なるべく多く、「数的に優位なカタチ」を創りだすこと。

また、プレッシングサッカーのエッセンスは、もちろん忠実なチェイス&チェック(相手ボールホルダーへの寄せや追いかけ!)をベースにした、次、その次への忠実マーキング&アタッキングアクションの積み重ねだよ。

手倉森誠ジャパンは、本当に素晴らしくトレーニングされたチームだと思う。

もちろん手倉森誠さんの、心理マネージャーとしての「ストロングハンド」については、もう語るまでもないだろうれど、彼が選んだ選手たちの、インテリジェンスの高さと意志の強さも含めたパーソナリティーの素晴らしさが、光り輝いていたよね。

ということで、このゲームからピックアップしようと思った最後のテーマは、やはり、「組織ファクター」と「個人ファクター」のバランスという視点ですかね。

そう、南野拓実と大島僚太が登場してからの、「攻撃ベースの活性化・・」というテーマ。

もちろん、交替してグラウンドを後にした矢島慎也と井手口陽介の出来が悪かったわけじゃない。

このテーマは、イレギュラーするボールを足で扱うという、不確実な要素が満載のサッカーが、ホンモノの「心理ゲーム」であることの証明だとも思うんだよ。

個の勝負に(比較的)長けた大島良太と南野拓実がグラウンド上に登場した瞬間から、チーム全体の「仕掛けイメージ」が、様々な意味合いで「拡大」した・・ということなのかもしれない。

彼らがボールを持ったら、まずタメができる。そして、そこから個のチカラで、仕掛けの流れを創りだすこと「も」できる。だからこそ、周りも、それを期待して、ボールがないところで動く。

そんなポジティブな(イメージの!?)善循環が、勢いよく回りはじめた!?

まあ、そういうことなんだろうね。

私は、その「心理メカニズム」を、これ以上うまく表現できるだけの言葉を持ちあわせていない。

この試合での全体的な「構図」が、「組織」対「個」であったという事実に異論をはさむ方はいないに違いありません。

もちろん、個人プレーの量と質という「内実」については、議論百出でしょ。

個のチカラを前面に押し出すコロンビア。

それに対して、あくまでも(大島僚太と南野拓実が入ってからも!!)人とボールの活発な動きをベースにした組織コンビネーションで仕掛けていく日本の若武者たち。

コロンビアが、そんな若武者たちに四苦八苦していたというゲームの基本的な構図については、誰もがアグリーすると思うのですよ。

サッカー界が、こんなに国際化と情報化を遂げているにもかかわらず、まだ、このテーマが、サッカーの内容と勝負という視点のディスカッションで「主役」を演じている。

UEFAチャンピオンズリーグを観ていて、そこでの「組織と個のバランス」が、とても高次平準化しているという事実を鑑(かんが)み、ちょっと考えさせられる現象ではありました。

要は、いくら、組織と個のバランスという視点で(ヨーロッパのクラブサッカーで気を吐く)最高クラスの選手が入ってきても、「代表チームの場合は、事情が 異なる・・」っちゅうことなんだろうね(個が主体のサッカーの方が、もちろん才能プレイヤーにとっては楽しいよね!?)。

そういえば、コロンビアの監督さんも、「組織マインドが足りない・・」ということで、初戦のスウェーデン戦から、メンバーを大幅に入れ替えたとのこと。それでも・・

ホント、サッカーは深い。

さて次はスウェーデン。

こちらは典型的なコンチネンタルサッカーだから、若武者にとって、とても与(くみ)し易い相手だと思うのは私だけじゃないでしょ。

ということで、期待しましょう。

とにかく、手倉森誠と若武者たちに乾杯!!

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何度か質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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