トピックス
- 2016_天皇杯決勝・・石井アントラーズの勝負強さ(勝者メンタリティー)・・そして、美しいサッカーを貫きとおした風間フロンターレ・・(アントラーズvsフロンターレ、2-1)・・(2017年1月1日、日曜日)
- 「それは、タイトルを取った経験があるからこその感性(確信!?)だと思います・・タイトルを取らなければ分からない種類のモノかもしれませんね・・」
アントラーズ監督の石井正忠さんが、私の質問に対して、例によって真摯に、そんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。
私の質問は・・
・・アントラーズの勝負強さ・・いま、そのバックボーンについて改めて聞かれた場合、どのように表現されますか?・・ワンワードで答えて頂ければ幸いなのですが(笑)・・
もちろん「ワンワード」じゃなかったけれど、それでも、「タイトルを取った者しか知らない種類の何か・・」という、とても素敵なコメントをしてくれたっけ。
そう、まさに「それ」なんだろうな・・
勝者メンタリティー・・!?
そうそう、そうとも言える。
昨年(2016年)7月に、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟が主催する国際会議が、フランクフルトに近い都市フルダで開催された。
私も参加したのだけれど、そのレクチャーに、「勝者メンタリティー」というテーマもあった。
とても面白かったからコラムを一本アップしたのだけれど、「それ」も参照してください。
ところで、イレギュラーするボールを足で扱う不確実なサッカー・・というテーマ。
だから、「最後は」自由にプレーせざるを得ない。
いや、自由というよりも、
でもそれは、決して自分勝手なプレーを意味するのではなく、あくまでも、チームメイトとイメージを共有するような、責任をもった「主体性プレー」と表現した方が正確かな。
チト難しくなりそうな感じ・・
要は、不確実なサッカーだからこそ、ボールがないところでの動きの量と質が、とても重要になってくるというわけさ。
そう、攻守のハードワーク。
まあ私は、クリエイティブな(創造的な)ムダ走りこそが、優れたサッカーの絶対的ベースだ・・なんて表現する。
そう、攻守ハードワーク(仕事)を、自ら進んで探しつづけるというプレー姿勢。
その視点で、アントラーズの主体的で勇気あるプレー姿勢は特筆モノなんだよ。
特に、ディフェンス。
アントラーズの勝負強さの絶対的バックボーンは、まさに「そこ」にあるっちゅうわけさ。
ラジオ文化放送で解説しながら、とても注意深く、アントラーズ守備のキーファクター(カギになる要素)を観察していた。
そして(まあ、これまでも書いていたコトだけれど・・)彼らの、ボールがないところでの強烈な「意志の爆発」を感じ取っていたんだよ。
その意志の爆発(自らハードワークを探す意志!)は、自分から離れたゾーンでボールがプレーされているときにこそ、ものすごく重要な意味をもつ。
そう、忠実なマーキングだけじゃなく、次の「勝負スポット」の正確なイメージング、次の味方のミスまでも予測してカバーリングの準備に入ってしまうような積極姿勢・・等など。
とにかくアントラーズ選手たちは、ボールがないところで、常に、スッ、スッと動きつづけている(次の勝負所をイメージし、準備しつづけている!?)と感じるんだ。
もちろんソレは、最後の瞬間に繰り出すスライディングやシュートブロックなどの「決定的な半歩」という粘りアクションの絶対的なベースというわけだ。
フロンターレのシュートを、身体を張ってブロックしつづけた昌子源だけじゃなく、延長にはいってからは、前戦の遠藤康も、自軍ゴール前までもどって決定的ピンチを防いだりした。
いや、ホント、アタマが下がる。
そんな、強烈な「意志のサッカー」を魅せつけられたら、そりゃ、とても素直に、そして心の底からアントラーズの優勝を祝福したくなるよね。
考えてみたら・・
2016年「Jリーグ前期」での彼らは、「いまの勝負強さ」に匹敵する粘りのサッカーで「J・ファーストステージ」を制したっけ。
皆さんもご存じのように、私は、口が裂けても「ファーストステージ」なんていう、「でっち上げチャンピオンシップ」につながる表現は使いたくなかったけれど、ここじゃ、アントラーズに敬意を表して、仕方なく・・へへっ。
でも、リーグ後期のアントラーズは、(何が骨子ファクターだったのかは知らないけれど・・)急に調子を崩し、終わってみれば、年間の勝ち点で、トップのレッズに「15ポイント」も引き離された三位に終わってしまった。
でも・・
そう、その後のアントラーズが、クラブワールドカップも含めて、怒濤の快進撃で「2016年シーズン」を締めくくったことは書くまでもないでしょ。
とにかく、「でっち上げの!!」チャンピオンシップから、クラブワールドカップを経て、この天皇杯まで、彼らが魅せつづけた「勝負強さ」には、本当に、戦術的、心理・精神的に、注意深く考察すべきコノテーション(言外に含蓄される意味)が詰め込まれていたんだよ。
もちろん現象(表面)的には、ツキに恵まれた・・って表現できそうな決定的プレーも多かった。
でも私は、その背景には、「ツキを呼び込める」ようなイメージング能力ベースの、主体的で忠実な連動ディフェンスアクション(守備ハードワーク)の積み重ねがあったと思っている。
あっと・・アントラーズの勝負強さ(守備のバックボーン)ばかりを注視しすぎたかな。
ということで、ここからは、フロンターレの攻撃にもスポットを当てることにしましょう。
そう、フロンターレも、彼らが志向する、人とボールの動きが軽快に「連動する」組織的なコンビネーションを、とても素敵に機能させつづけたんだ。
だからこそこのゲームは、両チームの「魅力ファクター」が激突する、とても、とてもエキサイティングなドラマへと成長していったっちゅうわけさ。
私は、天皇杯の決勝として、これほどダイナミックで「積極的」な仕掛け合いになったゲームは、とても希だと思っていた。
もちろん、「ノーガードの仕掛け合い・・」なんていう低次元のサッカーじゃない。
彼らは、ボールを奪われたら、とにかく必死に戻り、互いのミスを積極的にカバーするように、責任感にあふれた創造的ディフェンスを展開したんだ。
そう、本当の意味で「連動性のある」協力ディフェンス。
まあ、とはいっても私は、前述したように、「最後の半歩」という意味合いで、アントラーズ守備に一日の長あり・・と評価しているわけだけれど・・サ。
あっと、フロンターレの攻撃というテーマだった。
私は、彼らの攻撃が(レッズもそうだけれど!)、ダイレクトパスを織り交ぜる組織コンビネーションサッカー(サッカーの美しさ!)という視点で、アントラーズの上をいっていると思っている。
もちろんアントラーズには、(完璧にイメージがシンクロした!)カウンターや一発ロングスルーパス攻撃、そして、もちろん、セットプレーという武器がある。
ゴールを奪って勝ち切る(勝負強さ)という視点じゃ、それもまた「実効レベルの高い武器・・」さ。
それでも私は、「サッカーの本質的な美しさのリソース」という視点で、攻撃では、やはり「コレクティブな組織サッカー」にこだわるわけなんだ。
だからこそ・・
・・でも、まあ、いいや・・
ということで私は、あのような「美しい創造性サッカー」を展開しながら、勝負にも勝てるようになったフロンターレの風間八宏さんが別のチームへ移ることに納得できないでいるのさ。
そう、ここまで進化したフロンターレだからこそ、その先にある、「世界と対峙しても美しく勝てる・・」ような高みへ引き上げる素敵な目標だって立てられるのに・・という気持ちのことだね。
でも結局、風間八宏さんは、別なチャレンジに打って出ることを決断したらしい。
まあ、それについては、分からないこともないという感覚はあるけれど・・。
とにかく、風間八宏の動向にも目を向けていこう。
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- ところで・・
チト唐突ですが、知り合いのジャズシンガー、宮崎友紀子さんを紹介させてください。もう、ホントに素晴らしいソウルフルヴォーカリストです。
以前、あるキャフェライブで聴き、いっぺんにファンになったのですが、その宮崎友紀子さんと、偶然、友人のガーデンパーティーで再会したんです。
彼女については、このページやあのページを参照してください。
私がコンサートで聴いたのは「ボサノバ」だったけれど、本当に心に染みわたりましたよ。
その宮崎友紀子さん。私の友人で、日本を代表するベーシスト(コントラバス奏者)藤原清登さんともコラボしたらしい。知らなかった。
藤原清登さんだけれど、あるライブで彼女のヴォーカルを聴き、すぐに「いいですネ〜・・よければ、今度セッションを組みませんか・・」と、オファーしたんだそうな。
「あの」藤原清登だからね、宮崎友紀子さんの実力については推して知るべし・・だよね。
ということで、彼女の最新アルバムのカバー写真も載せておきます。
また、ギタリスト&シンガー(&パーカッション&マウス・トロンボーンなどのマルチ音楽家)として活躍するホブソン・アマラウさんとのコンビがパフォームするYouTube動画へも「リンク」を張っておきま〜す。
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- あっと・・
- 私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」。
- ちょっと、プロモートさせてくださいね。
- この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」。
- とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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