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2018_CWC・・世界トップとの最後の僅差・・「組織」では着実に縮められている・・でも、やっぱり「個」という視点では・・(アントラーズvsレアル、1-3)・・(2018年12月20日、木曜日)

スロー・スターター・・!?

いったい何だったんだろうね・・

前半立ち上がりから20分過ぎくらいまでに、レアルが「かったるく」展開していたサッカー。

もちろん、そのバックボーンは守備にあり。

・・寄せが甘い・・一度マークを外されたら、粘りの戻りがにぶい・・ボールがないところでの連動ディフェンスアクションも様子見が目立つ・・等など・・

それって、アントラーズを甘く見ていたことによる沈滞現象!?

いや・・

リーガ・エスパニョーラでも、「意識と意志の低レベル状態」で立ち上がるコトが多いから、まあ、ベンチの心理マネージメントの問題と言えるかもしれないね。

もちろん選手は・・

・・いいじゃネ〜か・・

・・肝心の(守備での)最終勝負シーンは抑えられているし、失点もないだろ・・そして、一発勝負でゴールを奪って勝利するんだから・・

・・チカラが劣る相手に、最初からガンガンと前からプレス守備をブチかます(攻守ハードワークのレベルをアップする!?)必要なんてないさ・・

・・ってな感じ!?

とはいっても、モドリッチだけは、そんな「ぬるま湯マインド」に不満だったようだけれど。

もちろん、そんなスロースタートのなかでもレアルは、個のチカラの差を魅せつけるような「一発勝負の怖さ」は、観る者に体感させてはいたけれど・・

あっと・・誤解を避けなきゃ・・

そこには、アントラーズが、レベルを超えた「強烈な闘う意志」を、キックオフ直後からブチかましつづけた・・という事実もある。

そんな「強烈な意志のサッカー」が、レアルをタジタジにさせ、彼らの守備イメージを「受け身に押し込んだ」っちゅう側面もあるんだよ。

だからこそ、立ち上がりのゲーム展開(決定的なチャンスメイクも!)による「世界へのアピール」は、アントラーズがフェアに勝ち取ったモノだって言える。

でも・・

そう、徐々にペースアップしたレアルが、ゲームを支配するなかで、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで先制ゴールをブチ込んでしまうんだ。

その先制ゴールシーン・・

そこでは、「あの」西大伍が、それが、ベイルとマルセロによる「ミエミエ」のワンツーであるにもかかわらず、完璧に置き去りにされてしまうんだ。

またそこでは、モドリッチをイメージマークしていた「あの」永木亮太でさえも、ウラの決定的スペースをケアできていなかった(最終勝負シーンでの連動守備イメージングの空白!?)。

そこにこそ、最終勝負プロセス(決定的勝負場面)でのイメージングレベルの「世界トップとの最後の僅差」が如実に表現されていた(!?)・・っちゅうことなのかもしれない。

その決定的コンビネーションで準主役になったマルセロだけれど・・

彼は、「ワンのパス」へ寄せてきたレオ・シルバの「左側」を抜いて、決定的スペースへ、ダイレクトでのスルーパスを通したんだ。

それは、まさに夢のような「ツーのパス」だった。

その瞬間だけれど・・

たしかに、そのパスを受けたベイルが、ズバッと、右ポスト直撃の、先制ダイレクトシュートを決めちゃったけれど・・

その、マルセロからの「ツーのパス」が通されたことによって、アントラーズ最終ラインの「背後」には、決定的スペース「も」生み出されていたんだ。

もちろん「そこ」には、完璧フリーになったベンゼマが満を持していた。

でも・・

そう、そんな状況で、「あの」ベイルが、ベンゼマへの「優しいバックパスを置きにいく」なんて考えられないよな。

まあ、そんなラストバックパスが返されたら、それこそ世界最高のダイレクトパス組織コンビネーションによる「美しいスーパーゴール」っちゅうことになっていたんだろうけれど。

フ〜〜ッ・・

ということで・・

その後のゲーム展開は、まあ、世界が「期待していた通り」に落ち着いたっちゅうことですかね。

でも・・

そう、それでも、この試合でアントラーズが魅せた、立派なサッカーは、日本と世界の「最後の僅差」が、どんどん縮まっていることを如実に「体感」させてくれたよね。

そこには、サッカーの進化&深化プロセスにとって(その内実の分析にとって!)、とても重要なコノテーション(言外に含蓄される意味)が内包されていたんだ。

だからこそ・・

そう、三位決定戦の「アントラーズ対リバープレート」が、ものすごく楽しみになるというわけさ。

たしかにリバープレートは、地元特別枠のアル・アインにPK戦で敗れてしまったけれど、誰もが体感したとおり、サッカーの内実では、大きな「差」があったんだよ。

そう、やっぱりリバープレートは、世界トップの強豪なんだ。

だから、三位決定戦へ向けた視点は・・

そんな強豪と、このレアル戦につづいて、自分たちの実力(全力)をブチかます機会に恵まれたアントラーズの幸運というコトさ。

もちろん、どんなカタチでも勝つことを強烈に志向するジーコは不満だろうけれど・・

やっぱり、世界トップへ向かうプロセスでは、いまのチカラの内実をしっかりと自覚したうえで、「地道な努力」をつづけていくしかないんだよ。

とはいっても、サッカーの本質である、攻守にわたる「組織プレー」という視点じゃ、日本サッカーも、かなりのレベルまで進化しているよね。

でも、「個」という視点では・・

まあ、レアルは、世界中から、そんな希有な「天賦の才」を集めた世界選抜チームだからさ・・

とはいっても・・

日本サッカーでも、古くは釜本邦茂大先輩から、奥寺康彦、香川真司、本田圭佑、もちろん長谷部誠、そして森保ジャパンを代表する「前線カルテット」等など、個の才能は輩出している。

だから・・

これからは、そんな個の才能を、ユース時代から、勘違いさせず(潰さず)に育て、本当の意味で開花させる「クリエイティブな努力」をつづけていかなきゃいけないということなんだろうな〜・・。

ということで、お互い、12月22日の土曜日(日本時間で)22時30分にキックオフされる「三位決定戦」を、心から楽しむことにしましょうね。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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