トピックス
- 2018_米国ネイションズ杯・・やっぱり、守備こそが!!・・(ブラジルvsなでしこ、2-1)・・(2018年7月30日、月曜日)
- 平均身長で「8センチ」も違う。
また「なでしこ」は、対アメリカと同様に、スピードでもパワーでも不利。
だから「なでしこ」は、この試合でも、そんなフィジカル劣勢を、前からの積極的「協力プレス」、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで補おうという姿勢でグラウンドに立った。
特に、前からの積極的な協力プレス守備が、前半は、とてもうまくハマっていた。
数日前のアメリカ戦では、立ち上がりの、積極的な協力プレスの勢いが落ちたことで、完璧にアメリカにイニシアチブを握られ、「ジリ貧・・」ってなゲーム展開に追い込まれた。
でも、高倉麻子監督の采配(効果的な選手交代)で、前からの協力プレスの勢いが息を吹き返し、たしかに負けはしたけれど、ある程度の「ポジティブ感触」をもってゲームを終われたんだ。
ということで、アメリカ戦は、様々な意味合いで、とても有意義な「学習機会」でもあったわけさ。
そして、ブラジル戦。
そこでは、うまくペースを取り戻したアメリカ戦での交代メンバーから、菅澤優衣香、横山久美、隅田凜を先発させた。また籾木結花も先発させた。
ということで(!?)前半は、積極的な協力プレスが功を奏し、終始なでしこが全体的なペースを掌握し、何度か惜しいチャンスも創りだしたんだよ。
そこまでは良かったけれど・・
そう、後半は、完全にブラジルに主導権を握られてしまったんだ。
たしかに岩渕真奈の代わりに長谷川唯が入ったけれど、後半立ち上がりからの「ゲームの流れの変容」については、その選手交代じゃなく、逆に、ハーフタイムでのブラジル監督の「檄」が効いたということなんだろうね。
あっと・・
ブラジル監督は、「檄」だけじゃなく、具体的に3人もの選手も、一挙に交替したよね。
フムフム・・
とにかく、後半ブラジルの「守備に対するプレー姿勢」が見違えるほど積極的になったという事実は、その後のゲーム展開変容の決定的なバックボーンだったと思うわけさ。
そう、彼女たちも、前半のなでしこ同様に、前からボールを奪いにいったんだよ。
そしてイニシアチブを完璧に把握した。
私は、そんな「ゲームの流れの変容」を観ながら思っていた。
・・やっぱりサッカーは、守備がすぺてのスタートラインなんだ・・
・・それは、ボールを奪い返さなきゃ攻撃を始められない・・という物理的なロジックだけじゃなく・・
・・そう、「良いリズムと位置」でボールを奪い返せることには、次の攻撃での「流れ」を加速させるなど、多くの価値が内包されているんだ・・
・・ボールを奪い返す位置が高く、そこに人数が掛けられている・・
・・要は、後方からの守備サポートが活発ということだけれど、その状況でボールまで奪い返せたら、次の攻撃の仕掛けが、ものすごく有利になる・・
・・そう、人数的にも、後方からの押し上げてきた勢いを維持できるんだ・・
・・そして、その勢いに乗ってスペースへ抜け出していく(ボールがないところでの勝負のフリーランニング!)という意味でも・・
私は、そんな「ゲームの流れの変容」を観ながら、サッカーの「ゲーム戦術的なメカニズム」に思いを馳せていたっちゅうわけさ。
逆に「なでしこ」は、良いカタチで協力プレスを機能させられず、ボール奪取がままならなくなったことで、攻撃への人数も、うまく掛けられなくなっていったというわけだ。
ここでも、次の攻撃の流れに大きく影響するのは、守備プロセス(ボール奪取プロセス)の内実に拠るという原則に思いを馳せていたというわけさ。
「なでしこ」は、ボール奪取プロセスが、うまく回っていないと体感した。
そのことで前へいく心理的エネルギーが殺がれ、「注意深く、落ち着いた心理」でプレーするようになってしまったというわけだ。
それは、言うまでもなく、受け身で消極的なプレー姿勢に陥ってしまったコトを意味する。
そんな流れでは、もちろん、ブラジルとの「フィジカル有為差」が際立ってくるのも道理だよね。
そして・・
まあ、仕方ない。
「なでしこ」が陥った、そんな心理的な悪魔のサイクルを体感しながら、「なでしこ」が優勝した、今年4月の女子アジアカップのコラムを読み返していた。
そこで私がピックアップしたテーマ「も」、やっぱり守備の姿勢(ボールを奪い返そうとする姿勢)だったよね。
それが活性化し、決して「引かなかった」ことが、優勝という果実につながったんだ。
そのときの「中国戦コラム」と「オーストラリア戦コラム」も、ご参照あれ。
さて・・
ということで、最後の3戦目は、とても強いオーストラリアとの勝負マッチ。
そこで高倉麻子監督は、どのようなチームを、どのように鼓舞して送り込むのだろうか?
We will see____
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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