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2018_WMの2・・面白かったネ〜・・傾向としての、「ポゼッションサッカー」対「カウンターサッカー」・・(スペインvsポルトガル、3-3)・・(2018年6月16日、土曜日)

ロシアへ出発する前の「最後のレポート」っちゅうことになりますかね。

さて・・

ということで、エキサイティングな極限勝負マッチという展開になったスペイン対ポルトガル。

まあ・・、エキサイティングといったのは、書いたとおり、勝負の行方というポイントについてだけで、サッカーの内容では、完璧にスペインが凌駕していたよね。

そのコトは、衆目の一致する見方だろうけれど・・

そう、スペインは、あくまでも、イニシアチブを牛耳る「美しく勝つサッカー」を志向するという姿勢を貫いているのに対し、ポルトガルは、カウンター狙いの傾向が強い。

もちろん、リトリートして(下がって)守備ブロックを堅牢にし、ロングカウンターを狙うといった「弱者のチーム戦術」ではなく、あくまでも高い位置での「積極ボール奪取」をイメージしてはいる。

微妙なディスカッションだけれど、そんな、高い位置での「積極ボール奪取」と、次の「蜂の一刺しショートカウンター」というチーム戦術イメージこそが、世界的サッカーレベルの(個のレベルの!?)高次平準化」という傾向の定着を示しているんだよ。

そう、世界的な情報化と国際化・・

どこにいても、世界最高のサッカーをテレビ観戦できる昨今だからね。

そう、真似こそが、レベルアップの最重要エッセンスなんだ。

だから私は、そこでも「イメージトレーニングの重要性」が証明されている・・と思っているのサ。

あっと・・蛇足・・

ということで、スペインの「美しく勝つサッカー」が、勝負優先イメージのポルトガルと対峙したっちゅうわけだ。

ポルトガルは、この闘い方(チーム戦術イメージ!)で、2年前の「EURO」を制した。

そこには、「内容」と「結果」の相克というテーマが隠されていた!?

まあ、「そんなところ」も、不確実な要素が満載されているからこそ、限りなく自由な(最後は自由にプレーせざるを得ない!?)サッカーの「不定形な魅力・・」っちゅうことなんだろうね。

あっと・・またまた・・

とにかく、人とボールの動き(そのリズム)と、それによって達成されたスペース攻略の内実をみれば、両チームのサッカー内容の「差異」が見えてくるっちゅうわけだ。

もちろんスペインは、そんな組織サッカーのなかでも、局面では、ダビド・シウバとかイニエスタとかが、まさに「天才的なボールタッチ」を魅せる。

でも「それ」は、あくまでも、スペースを攻略していくための人とボールの動きに「変化を与え、加速されていく」局面ツールに過ぎないんだよ。

とにかくスペインは、「そのサッカー」で、しっかりとチャンスを創りだせるんだ。

それに対してポルトガルは、「組み立てプロセス」でチャンスを創りだすシーンは、希。

だから最後は、個人勝負という「チカラワザ」が目立つなかで勝負を挑んでいくシーンが多い。

それに対してスペインは、(繰り返しになるけれど・・)ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションでも、個のドリブル勝負でも、最終勝負(決定的チャンスメイク)の流れを創りだせる。

もちろん、組織と個の「どちらか」というのではなく、あくまでも、それらの「ミックス・プロセス」というわけだけれど、彼らは、その両方を、とても効果的にミックスするのさ。

そんな、「組織と個のバランス」が高質だからこそ、ブラジルやドイツ、フランスやアルゼンチンは強いし、人々も(エキスパート連中も)高く評価するんだよ。

換言したら・・

「天才」連中を、しっかりと攻守ハードワークにも精進させられている国が、強い・・っちゅうことかもしれないね。

ドイツの伝説的スーパープロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、若手コーチだった我々に向かって言っていた。

例のダミ声・・

・・もう戦術的なコトは、すべて考え尽くされた・・これからのオマエたちのミッションは、天才連中を、しっかりと走らせ、ハードワークに精進させることなんだゾ・・

いや・・ホント・・深いね。

まあ、そんな「差異のあるチーム戦術イメージ」の両チームだったけれど、結局ゲームは、引き分けという結果におわった。

それにしても、スペインが展開する、ものすごく爽快な、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションは素晴らしかった。

相手のポルトガルは、スペインの「トントント〜ン」ってなリズムで人とボールが動きはじめたら、まったく追うのを止め、スッと「高い位置」でのディフェンスブロックを組織していたよね。

そして、次、その次の「ボールの動き」をイメージするんだ。

そう、ボールオリエンテッド守備・・

そんなところにも、彼らの、長い対峙の歴史と、そこでの「だまし合いエッセンス」を感じていた筆者なのであ〜る。

ということで、次はモスクワから・・


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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