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2018_WMの6・・素晴らしい攻撃サッカーをブチかましたモロッコ・・でも、ローマは一日にして成らず!?・・(ポルトガルvsモロッコ、1-0)・・(2018年6月20日、水曜日)

あっ!!

そのとき頓狂な声を出してしまった。

何せ、夜行寝台特急から降りるとき、そのベッドサイドに眼鏡を忘れてきちゃったんだから・・。

プラットホームを既に100メートル以上も歩いてしまったとき(わたしが乗った車両は最後尾から2番目)、なんか「変な感じ」に苛(さいな)まれていたんだ。

視界全体が、ボケている。そしてハッと気付いたわけさ。

直ぐにとって返したんだけれど、数十メートルいったところで、ルームメイトだったコロンビアのジャーナリストが私のメガネをもって近づいてきてくれたんだ。

そしてメガネを渡しながら、「これで一つ貸しができたぜ・・次の日本との対戦じゃ、オレ達に勝ち点をくれよな・・」なんてウインクしながら言うんだ。

いいね〜・・サッカー・・

人類史上、最大パワー秘めた「異文化接点ツール」・・

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その後、ルジニキ競技場がある地下鉄駅(スポルティーヴナヤ駅)まで後藤健生さんと連れ立ち、わたしは民泊へ、後藤さんは直接スタジアムへ向かった。

わたしの民泊は、その地下鉄駅から、徒歩5分のところにあるのだけれど、そこからルジニキ・スタジアムのメディアエントランスまでは、30分の道程になるんだ。

毎日、とても良い運動ができるっちゅうわけさ。

そして今日も、まずメディアセンターで、さまざまな雑用を済ませてからメディアトリビューン(観客席に設けられた記者席)へ登っていったっちゅうわけだ。

ということで、ポルトガル対モロッコ戦・・

まずは、記者会見の全体的な雰囲気から・・

とにかくそこでは、モロッコに対する賞賛が止まらなかったんだよ。

質問のほとんどは、「モロッコは素晴らしいサッカーをやった・・にもかかわらずの敗戦・・その背景要因は?・・クリスティアーノ・ロナウドのような点取り 屋がいれば、まったく違った展開になるのか?・・これからは、強豪国ともタメを張る勝負を挑めると思うのだが?」などといった、モロッコを賞賛するニュア ンスだったね。

ということで、このコラムでは、全体的なサッカー内容では、強豪とタメを張るまでに成長した「セカンドラインの国々」が抱える「最後の僅差」っちゅうテーマをピックアップしようと思ったんだ。

以前は、日本をモチーフに、同じタイトルのコラムをアップしたことがある。

でも、ここでは、もう少し論を深められるかもしれない・・と、キーボードに向かった次第。

もちろん、短くまとめますよ。

ということで・・

たしかにモロッコは、フィジカルでも技術的にも、はたまた戦術的にも、とても優れている。

そのことは、彼らのサッカーを観ていれば、すぐに体感できる。

でも・・

そう、攻撃でも、守備でも、「勝負の瞬間」に、何か、最後の半歩を出し切れていない・・と感じさせられるんだよ。

とにかく彼らのテクニックは超一流。

そのことは、「北アフリカ諸国」に共通している。

そう、モロッコ、チュニジア、アルジェリア、そしてエジプトといった北アフリカ諸国。

ヨーロッパとのつながりが深い彼らは、技術的な側面だけじゃなく、戦術的にも、とてもスマートなサッカーを魅せるんだ。

そう、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションに代表される「組織プレー」と、状況とタイミングを見計らった「個のドリブル勝負」が、とても素敵にバランスしているんだよ。

フィジカルとテクニックが優れている彼らのことだから、そのサッカーが、とても魅力的なコトには疑いの余地などない。

でも、それにしては、伝統的な強豪国に対して勝負に弱い・・

美しいサッカーはするけれど、それを「勝利」に結びつけられる「確率」が、低いんだよ。

だから世界の大会では、地域予選も含めて、結果を残せない。

そしてこの試合のコンテンツを追いながら、世界の一流どころと対峙したときの「勝負弱さ」の本質的なトコロが見えてきたように感じたわけさ。

要は、攻守にわたる「最後の勝負の瞬間」におけるアクションの「実効レベルの微妙な差異」とでも表現できるかもしれないね。

たとえば攻撃・・

・・素晴らしい組織サッカーで右サイドへボールを持ちだし、そこで攻撃の起点(フリーでボールを持つ選手)を創りだしたモロッコ・・

・・完璧な「最終勝負クロス」を送り込める状況だ・・

・・でも、そこで狙う「勝負スポット」は、すでにポルトガル守備も、完璧にイメージしている・・

・・そして、正確なクロスは送り込んだけれど、結局ポルトガル選手に、余裕をもってカットされ、クリアされてしまう・・

・・そんな状況では、その勝負スポットとは別に、もう一つの勝負プロセスの可能性をもっているべきなのかもしれない・・

・・最初の「最終勝負スポット」に走り込む味方プレイヤーは、潰れ役・・

・・そしてその「こぼれ球」を狙う、もう一人が、忠実に走り込んでいる・・

・・そんな、最終勝負イメージのオプションも用意できているのが世界の超一流ってことだね・・

また守備についても、効果的なカバーリングにつながる「最終勝負シーンのイメージング」が持てているか・・というテーマで、微妙な「差異」を感じていた。

「底力」と呼ばれるモノを形作る「微妙な差異」の本質・・例えば、こんな表現・・

・・攻守にわたる、ボールがないところでの動きの量と質・・

・・最後の勝負所で発揮される、攻守にわたる、効果的な「スペース感覚やスポット感覚」・・等など・・

・・最後のトコロで「やり切れない」、サブ強国(北アフリカ!?)の仕掛けコンテンツ・・

・・対して、世界の強豪ディフェンスは、最後のトコロで「やらせない」・・

・・攻守にわたる「ここぞっ!!」のイメージを、チーム全体で共有できていないサブ諸国・・

・・だからこそ、最終勝負プロセスを明確にイメージし、必要な勝負アクションを、効果的にブチかましていくのに四苦八苦する・・

・・そう、最終勝負シーンでの、最高の集中力とイメージング力という決定的ファクターで、まだまだ課題が見え隠れしているサブ諸国・・

・・例えば、我(理性)を忘れるほどの激情が、自然なアクションを誘発していく先進国・・

・・そう、「ワンチャンス」を逃さない、積み重ねた感覚と強烈な意志に支えられた、ボールがないところのフッ切れた最終勝負アクション・・

・・それに対して、最後の瞬間での「勝負勘とか強烈な意志」という視点で、課題をかかえているサブ諸国・・

・・また、そんな「ワンチャンスの芽」を創りだすまでの「忍耐」という視点もある・・

・・そんな「差異の本質な部分」に対する鋭い分析と、それを克服していくための、日々の地道な努力・・

やはり、「ローマは一日にして成らず・・」なのだ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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