トピックス
- 2019_ACL・・知念慶がもたらした「動き」の活性化・・そして齋藤学についても・・(フロンターレvsシドニー、1-0)・・(2019年3月13日、水曜日)
- チト、フラストレーションが溜まった。
知念慶が交替出場してくるまでは・・ね。
それまでのフロンターレの攻め。
たしかにボールは動くけれど、スペースの攻略(ゴール機会の演出)につながっていくような雰囲気が、ほぼ皆無だったんだよ。
要は、人の動きが活性化していかなかったから、どうしてもボールの動きも、足許パスが多くなることで単調になってしまっていたっちゅうこと。
緻密な組織サッカーと、アバウトなチカラ業のコラボレーションが、うまく機能せず!?
へへっ・・
たしかにボールは動く。でもそれは、シドニー守備が、明確に「次を」予測できるような単調なものだったということだね。
それじゃ、ダイレクトパスを織り交ぜた、スムーズな組織コンビネーションを繰り出していけるはずもない。
そう、相手ディフェンダーのボール奪取イメージを超越する「人とボールの動き」によるスペース攻略なんて、ブチかませるはずがなかったんだ。
とはいっても、長谷川竜也と登里享平が中心になって仕掛けていく、見応え十分の、サイドからのドリブルやコンビネーションは、危険なニオイを放ってはいたけれど・・さ。
そう、そこから、何度かゴール機会が生まれそうな雰囲気はあったんだ。
でも・・
そう、シドニー守備は、そんなサイドアタックには強いよね。
ということで、結局、本当の意味で効果的な「スペース攻略」の流れを演出できずに、時間だけが過ぎていったっちゅうわけだ。
こちらのフラストレーションが、溜まりに溜まりつづけるのも道理でしょ。
でも・・
そう、知念慶の交替出場で、そんな「沈滞した人とボールの動き」が、どんどん活性化していったんだよ。
それは、まさに、「目に見えるほどの変化・・」ではあった。
そんなポジティブ変化のバックボーンは、やはり、知念慶が入ったことによってアクティブになった人の動きだったんだろうね。
それまでは、レアンドロ・ダミアンが、最前線センターゾーンを「占有」し過ぎていた。
だから、その周りの人の動きが活性化していかなかった。
もしかしたら、足許パス「だけ」が活発に回りつづけるってな、ある意味の「心理的な悪魔のサイクル」にはまってしまっていたのかもしれない。
それが・・
そう、知念慶の登場によって、周りの人の動きが活性化し、それによって(必然的に!?)ボールの動きが、前後左右に、よりスムーズに動きはじめたんだ。
そんなポジティブな「変化」のなかで、一瞬の爆発ダッシュを仕掛けた知念慶に、スパッという鋭いタテパスが通ったりもした。
そんな、本物の「タテへのスペース攻略パス」が出されるシーンなんて、全くといっていいほどなかったわけだから、そりゃ、観ているコチラもエキサイトさせられるさ。
フロンターレの場合・・
何といっても、「トントント〜ン」ってな特徴リズムで送り込まれる、ダイレクト縦スルーパスが、崩しの大きな武器だよね。
そう・・
軽快なリズムの、ヨコ、ヨコやバックパスから、急にダイレクトで、(爆発ダッシュのフリーランニング合わせて!?)タテの決定的スペースへ送り込まれる必殺のスルーパス。
そんな仕掛けコンビネーションが、知念慶が出てくるまでは、ミスになったり、相手のインターセプトの餌食になっていたんだよ。
そんな、ゲームの流れの変容を観ながら思っていた。
やっぱり、組織コンビネーションの「キモ」は、人の動きなんだよな〜〜・・
ところで・・
そう、後半に交代出場した齋藤学。
決勝ゴールを挙げたことで(!?)MVPに選ばれ、鬼木達監督と一緒に、会見に臨んだ。
だから、我慢しきれなくなって、聞いた。
・・齋藤さんは、最初のコメントで、このゲームでの出来に、満足できないと言われた・・
・・実は、私もそうなんですよ・・
・・やっぱり、マリノス時代の、自由自在で危険なドリブル勝負を観たい・・
・・でも、この試合では、チャンスがありながら、横パスやバックパスで勝負を回避するシーンの砲が目立っていた・・
・・だから、不満・・
・・たぶん齋藤さんも、自分のプレーが出来ていないって不満だったと思うのですが、ご自分で、その要因を、どのように分析されますか??・・
そんな私の質問に対して齋藤学は・・
ケガ(リハビリ)、(ドリブル勝負を挑んでいくときの!)リスクの意味合いなど・・
とても興味深い様々なテーマに言及するなかで、チラッと、フロンターレのチーム戦術に絡む、バックボーン・エッセンスを匂わせてくれたんだ。
あっと・・
齋藤学は、心理的、戦術的なモノも含めて、ホントによく考えているし、その考えを、分かりやすい表現に変換できる言葉をもっている。
チト、感心していたっけネ。へへっ・・
あっと、戦術的なバックボーン・エッセンス・・
そのチーム戦術のベースは、言うに及ばず、フロンターレが志向する、とても活発な人とボールの動き(ポゼッション・サッカー)だよね。
齋藤学は、まず、そんなチーム戦術のベースに効果的に乗ることを志向しているらしい。
そして、そのなかで、(マリノス時代のような!?)個のドリブル勝負を仕掛けていくチャンスを(イメージを!)構築しようとしているのだという。
フムフム・・
でも私は、そんな、齋藤学の「イメージング構築プロセスでの葛藤」はよく分かるけれど、その理想型を追求していくプロセスは、やっぱり、人それぞれだと考えるね。
そこでは、やはり、自分主体のチャレンジこそが優先されるべきだと思うんだよ。
そう、齋藤学は、もっと、もっと積極的に「自己主張」していいと思うわけさ。
いや、もっと、ガンガン主張していかなきゃダメだと思うよ。
それは、この、組織(協調)とエゴとのバランスを高次でコントロールするのは、とても難しい作業だから・・サ。
だから・・
あくまでも、そのチャレンジは、自分主体でなきゃ、いけないと思うんだよ。
それに・・
もし、そのチャレンジを、スペースの攻略(&シュート)という「結果」につなげられれば、そのプレーには、チームにとって、とても大きな価値があるわけだから・・ね。
まあ・・ね・・サッカーは、その意味で、とても理不尽な側面も内包しているっちゅうことさ。
そして・・
そんな、組織とエゴのバランスを「自分主体」でコントロールする(チームメイトからレスペクトされ頼りにされる!?)ために、もっとも重要なファクターが・・
攻守ハードワークを、いまの何倍も積極的にブチかますコトなんだよ。
特に、ボール奪取プロセスでの効果的な「汗かきハードワーク」が大事なんだ。
それを効果的にブチかませられれば、たぶん、チームメイトからのサポートも含め、「エゴの勝負プレー」を、より有利なカタチでブチかましていけるようになる。
そう、攻守ハードワークを基盤としているからこそ、自信と確信をもって、次の仕掛けでのリスクチャレンジプレー(強烈な闘う意志のプレー!!)が、自然と出てくるようになるんだ。
それも、周りのチームメイトたちも、「それ」を期待する雰囲気のなかで・・ね。
イレギュラーするボールを足で扱うサッカーは、最後は、自由にプレーせざるを(リスクにチャレンジしていかざるを)得ない、自己主張のボールゲームなんだよ。
たしかに齋藤学は、家長昭博や牛若丸よりも若い。
でも、積極的な攻守ハードワークとリスクチャレンジを(強烈な闘う意志を!)ブチかましつづければ、どんな結果におわったとしても、チームメイトたちは、そのリスクチャレンジを、心からレスペクトすると思うよ。
とにかく・・
齋藤学には、攻守にわたって、もっともっと積極的にプレー(リスクチャレンジ)することを、心から期待している筆者なのであ〜る。
ホントだよ・・
だって齋藤学は、類い希なる天賦の才に恵まれているんだから・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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