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- 2019_ACL・・美しい質実剛健サッカーで上海を凌駕したフロンターレ・・だからこそ、結果には心から落胆した・・(フロンターレvs上海上港、2-2)・・(2019年5月7日、火曜日)
- あ〜〜っ!!
そのとき、そんな頓狂な声を出してしまったと思う。
それは、左サイドのオスカルが、逆のファーポストスペースに突っ込んでいったフッキへ(実は、そこにはエウケソンもフリーで走り込んでいた!!)、これぞ本物ピンポイント(!!)ってなラストクロスを送り込んだ瞬間だった。
フッキのヘディング一閃。
そして、今度は、「フ〜〜ッ!」ってなため息が出ていた。
それは、まさに「世界レベル」の、クロスボール最終勝負だった。
オスカルの正確なクロスを「心から信頼している」最前線のエウケソンとフッキ。
そのとき、二人とも、ベストタイミングで、ウラの決定的スペースへ抜け出していたんだよ。
そして・・
二人とも、谷口彰悟と登里享平のマークから完璧に抜け出し、まったくフリーになっていた。
このシーンも、様々な意味合いで、とても貴重なイメージトレーニング素材だよね。
あっと・・その後のゲーム展開・・
でも、「2-2」となってからもフロンターレは、決して諦めない。
彼らは、それまでと同様に、立派な攻撃サッカーを貫くなかで(交替出場したプレイヤーたちも、素晴らしい躍動感を魅せながら!)、何度か、勝ち越しのチャンスを創りだしたんだ。
まあ・・
後半21分に勝ち越しゴールを挙げてから、どうも、人とボールの動きが鈍りはじめ、そのことで、上海にパスカットされる(パスレシーバーのところで奪われる!?)シーンがつづいたという見方をする人もいたよね。
それが、大島僚太の、中盤高い位置でのパスミス(相手のショートカウンターチャンス!)につながり、そこから冒頭の、同点フッキヘッドが生まれたっちゅうわけだ。
たしかに、勝ち越しゴールを奪ってから、フロンターレの人とボールの動き(その軽快なリズム)が、チト鈍った感はあった。
でも、それは、どちらかっといったら、リードされた上海が、「中盤ディフェンス」のダイナミズムが倍加させたから・・と言った方が正しい見方のように思う。
もちろん、そんな、前へのダイナミズムをアップさせた上海の勢いを「いなせ」なかったフロンターレにも、様々な課題を残した時間帯だったという見方もできる。
とはいっても・・
たしかに、中村憲剛、家長昭博が欠場という、まさに「飛車角落ち」で闘わざるを得なかったし・・
奈良竜樹もケガで数週間の離脱を余儀なくされ、知念慶も、万全の体調ではなく、結局グラウンドに姿を見せることはなかったけれど・・
にもかかわらず・・
復帰してきた守田英正と大島僚太が、前後左右に(攻守にわたって!)動き回りながら、抜群のコンビネーションでゲームを創り・・
両サイドの長谷川竜也と齋藤学が、両サイドバック(登里享平&馬渡和彰)と協力して、サイドゾーンから崩していく・・
・・ってな具合に・・
フロンターレは、彼ら本来の、人とボールを動かしながら、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで相手スペースを攻略する、美しい質実剛健サッカーを魅せたんだ。
ところで、サイドゾーンに「崩しの力点」をおくフロンターレ・・
それは、私の眼には、チト新鮮に映ったモノだった。
そんなチーム構成に、たしかに立ち上がりは、心配の方が先に立ったよね。
・・これで中盤を、どうやって機能させていくんだろう・・
・・サイドハーフが、あれだけ張り出していたら、中盤ディフェンスが薄くなっちゃうかも・・
・・等など・・。
でも、そんな心配は、まさに杞憂だった。
飛車角落ちのフロンターレは、それは、それで、攻守ハードワークとリスクチャレンジにあふれる、とても立派な攻撃サッカーを魅せつづけてくれたんだ。
ところで、相手の上海ディフェンスブロック。
中国代表で固められたそのブロックは、めちゃくちゃ、強い。
でもフロンターレは、まったく臆することなく、勇気あふれるチャレンジをつづけ、何度も決定的スペースを攻略しちゃうんだよ。
もちろん、この試合では、サイドゾーンを起点にした崩しが、比較的多かったよね。
あっと・・、
この試合では先発した、そのサイドゾーンの「鬼」ともいえる齋藤学。
よかったですよ。
とはいっても、最初は、前回のように、少し「アリバイ」の横パスやバックパスに「逃げる」姿勢も観られたよね。
でも、フッキに先制ゴールをブチ込まれてからは、どんどん「フッ切れた勝負プレー」が出てくるようになった。
それだけじゃなく、自分の判断で(!?)センターゾーンとサイドゾーンを活発に行き来することで、より多くボールに「触れる」ようにもなった。
そんな積極的な(ボールがないところでの!)仕掛けの姿勢が、「あの」レアンドロ・ダミアンの同点スーパーゴールを生み出したっちゅうわけだ。
でも・・
そう、そんな素晴らしいサッカーを魅せつづけたフロンターレだったからこそ、結果には、とても、とても落胆したんだ。
だから、鬼木達さんに質問するエネルギーも萎えてしまったっちゅう体たらくだった。
ということで、フロンターレは・・
グループ最終節の、アウェー、シドニー戦をしっかりと勝ちきり、上海vsウルサン戦からの吉報を待つしかなくなった。
とにかく、鬼木達フロンターレは、最後の最後まで、決して諦めない「魂の闘い」を魅せてくれるに違いありません。
お互い、期待しましょう。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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