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2019_アジアカップ_2・・組織パスサッカーがホンモノになるには、まだ時間がかかりそうなオーストラリア・・(オーストラリアvsヨルダン、 0-1)・・(2019年1月6日、日曜日)

あらら〜っ・・

強豪オーストラリアが、足許をすくわれてしまった。

ん!?・・強豪!?

まあFIFAランキングで、アジアの2(たしかに、そのランキングは総合力を表している!)だし、これまでの実績を踏まえれば、アジアでは強豪だよね。

そう、アジアではね・・

そんなオーストラリアと格下ヨルダンとの対戦・・

それも、ヨルダンが、早い時間帯に、セットプレーから先制(決勝)ゴールを奪ってしまうんだよ。

そりゃ、その後のゲーム構図がカチッと決まるのも道理・・っちゅうわけだ。

そう・・

堅牢なブロック守備で、オーストラリアの(素直に過ぎる!?)仕掛けプロセスを潰しまくり、チャンスを見計らって必殺カウンターをブチかますヨルダン。

それに対して、ボールを保持しつづけるオーストラリア。

でも、その「保持」は、決して、ゲームの(勝負の流れの!)イニシアチブを握っている・・というモノじゃなかった。

確かに、ボールがないところで爆発フリーランニングを魅せつづけるメイビル(21番)を中心に、二度ほど、ヨルダン守備のウラに広がる決定的スペースを攻略した。

でも、全体としては、まさに「単発仕掛けのブツ切り」という印象をぬぐえない。

解説の森岡隆三も言っていたけれど、オーストラリアが、そんな組織サッカーを完璧に自分たちのモノにするには、まだ時間がかかるっちゅうことなんだろうね。

そう、人とボールの動きのイメージが、まだ十分に共有されていないんだ。

もちろん、3人目、4人目のフリーランニングを前提にする、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションによる最終勝負プロセスのことだよ。

それが、まだまだなんだ。

もちろんヨルダンのブロック守備は、チェイス&チェック、次のマーキングやカバーリング、協力プレスの動き等など、とても忠実で、ダイナミックだった。

また、局面デュエルの内実は、いつものように強力。

そこじゃ、もちろん、「中東のフィジカル」がモノを言う。

だからオーストラリアは、そんな「チカラによるデュエル勝負」ではなく、もっとスマートに、そして効果的に人とボールを動かすなかで、着実に、ヨルダン守備の「寄せの勢い」を逆手に取って裏スペースを突いていかなきゃいけなかったんだ。

でも、いかんせん、そこで決定的なファクターになる、3人目、4人目のフリーランニングが(メイビルを除いて!?)出てこない。

それじゃ、彼らが攻めあぐむのも道理。

そして・・

そう、彼らが志向する(!?)スマートな組織サッカーがうまく回らないと体感してからは(選手交代が功を奏するようになってからは!?)、サイドからの仕掛けや、アーリークロスなども活用した「チカラ業」の仕掛けでチャンスを創りだそうとするようなった。

難しいネ・・

たしかにオーストラリアは、個のチカラの単純総計という視点で、高い総合力を誇れるチームではあるよね。

でも、やはり、世界の一流と比べれば、かなり劣る。

組織にしても、個にしても。

特に、「人とボールの動きの量と質・・」という組織サッカーの視点でね。

先月にUAEで開催されたクラブワールドカップ。

そこで、レアルとかリバープレートは、世界超一流のコンビネーションの何たるかを魅せつけた。

何度も、3人目、4人目のフリーランニングが躍動しつづける、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで、相手守備ブロックのウラを攻略したんだよ。

それも、無駄な「動き」を極力排除する抜群の勢いとスピードで、タテへ。

そこで、脇目も振らずに、タテの決定的スペースへ駆け抜けていく3人目、4人目のフリーランニングを観ながら、こんなことを思っていた。

・・彼らがブチかましつづけた魅力的なコンビネーション・・

・・そこでは、ワンのパサー(次のパスレシーバー)と壁、そして、3人目、4人目のフリーランナーが、ホントに美しくコラボレートしていた・・

彼らのなかにある、(コンビネーションを成就させる強力な接着剤としての!?)イメージ的な相互信頼は、たしかにレベルを超えている。

そんな世界の超一流と比べ、オーストラリアは、その「高み」まで、コンビネーションを進化させられていないんだよ。

ということで、そんなオーストラリアに、チト落胆していた筆者なのだ。

まあ、とはいっても、彼らのことだから、次、その次の対戦カードでは、しっかりと調子をアップさせるなかで勝ち点を積み上げるとは思うけれど・・ネ。

ということは、やはり期待は、日本、韓国、イラン、そしてサウジに向けられるべきなのか!?

さて〜・・

あっと・・森保ジャパン・・

守田英正と中島翔哉が、ケガで戦列を離れたとか。

とても、とても残念。

まあ、(代替招集された!?)乾貴士だけじゃなく、原口元気、伊東純也、そして「あの」武藤嘉紀もいる。

どんな逆境にも効果的に対処できることは、(国際舞台も含めて!)もう何度も証明済みの「あの」森保一のことだから、うまく対処してくれるでしょ。

そう、「脅威と機会は表裏一体・・」という格言は、彼のためにあるようなモノだから・・ネ。

たしかに「最高の前線カルテット」の一人が欠けてしまったけれど、それでも(まあ、だからこそ!?)森保一の(抜群の心理マネージメントも含めた!)采配に対する期待が高まります。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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