トピックス
- 2019_U17WM・・この「イニシアチブ逆流現象」は、森山佳郎に率いられる若武者たちの意識と意志が最高潮に安定していることの証だ・・(日本vsオランダ、3-0)・・(2019年10月29日、火曜日)
- スゴイね〜、森山佳郎ジャパン。
たしかに、優勝候補筆頭の(欧州チャンピオンの)オランダが日本を甘く見ていたフシはあるけれど、それにしても、様々なタクティカル視点で、これほどオランダを凌駕しちゃうんだから、森山佳郎ジャパンの強さは、ホンモノだ。
あっと・・
強さ・・
ここで言う「それ」は、チームというニュアンスであり、もっと言えば、志向するチーム戦術イメージの質が、とても高い・・というニュアンスですよ。
そう、組織として、森山佳郎ジャパンは、とても優れているということなんだよ。
でも、「個」については、サッカーが究極の組織ゲームだから、簡単にゃ、比較できないよね。
ということで、ゲーム内容・・
たしかに立ち上がりの10分ほどは、決定的ゴール機会を創られるなど、ゲームのイニシアチブは、オランダに握られた。
でも、それが、どんどん逆流していくんだ。
私は、そんなゲーム展開を観ながら、少し考え込んでいた。
あの、ゲーム内容の逆流現象(イニシアチブの逆掌握プロセス!?)のバックボーンは何だったのか・・ってね。
そう、その逆流は、森山佳郎ジャパンによる「主体的な」イニシアチブ掌握プロセスだったんだ。
もちろん、そのバックボーンは、守備(ボール奪取プロセス)が積極的になったことで、ボールをしっかりと奪い返せるようになったところにあった。
そう、(リトリートし過ぎるのではなく!)あくまでも積極的にボールを奪い返すという、攻撃的なディフェンス姿勢が際立っていったんだよ。
「受け」ではなく「攻め」のブロック守備と、チャンスを見計らってブチかます「前からプレス守備」のメリハリが、とても心地よいバランスを魅せつづける。
そう、優れたディフェンスが、イニシアチブ逆流現象の原動力だったんだよ。
でも、それが、あれほど効果的に機能するとは・・
そこには、もう一つの隠れたファクターがあったのかも・・
そう、オランダ選手たちの「思い上がり」。
立ち上がりの時間帯に、まさに「王者のサッカー」でゲームを支配したオランダ。
そのことで、その後の、森山佳郎ジャパン守備の機能性アップに対して、しっかりと対処できなくなっていたと思うのさ。
たしかに、個人的にはオランダに分がある。
でも、不確実な要素が満載のサッカーは、究極の「組織&心理ボールゲーム」なんだ。
だから、全員の意識(戦術イメージ)と闘う意志が、うまく「共鳴」しなきゃ、途端に、人とボールの動きに支障をきたす。
そんな、意識と意志のモメンタム(勢い)が如実に影響を与えるのが、守備っちゅうわけだ。
イニシアチブを奪われてからのオランダ・・
彼らは、忠実なチェイス&チェック(寄せ)やカバーリングなど、攻守ハードワークの内実が、これ以上ないほどの勢いでダウンしていったよね。
もちろん、そのオランダにとってのネガティブ現象の背景には、森山佳郎ジャパンの攻撃が魅せつづけた、人とボールの動きの素晴らしい内実があった。
わたしは、そんな「イニシアチブの逆流現象」を観ながら、サッカーのコンセプチュアルな根源メカニズムを、再認識していたんだ。
そう、このゲームは、私にとっても、とても貴重な学習機会になったんだよ。
だから私は・・
このオランダ代表との「再戦」を、願って止まないんだ。
「そこ」じゃ、まったく違うオランダ代表チームが観られるはずだし、森山佳郎ジャパンにとっても、魅力的なチャレンジというコトだけじゃなく、世界へ向けた本物の「ブレイクスルー&アピール機会」という意味合いもあるからね。
まあ、難しいだろうけれど、サ・・
ところで・・
この「イニシアチブ逆流現象のベース」になった、とても効率的で実効レベルの高い、森山佳郎ジャパンの組織ディフェンス。
そこには、特筆の見応えがあったんだ。
チェイス&チェックにしても、「次」を狙うサポートアクションにしても、はたまた、ボールから遠いゾーンでの忠実マーキングやカバーリングにしても・・
さまざまな意味合いで、それらのアクションの「静と動のメリハリ」が、ホントに素晴らしく高質にバランスしているって感じられたんだよ。
チェイス&チェックやカバーリングでは、行くところは、行く。
そして「次」が、ものすごい勢いのボール奪取勝負をブチかます。
また、追い込みイメージをベースに、「タメる」ところは、静かに寄せながら、次のポジション取りをイメージする。
もちろん、この状況で、周りのチームメイトは、オランダ攻撃が仕掛けていこうと狙っているスペースを、そこでボールを奪い返すべく、正確に「狙って」いる。
ことほど左様に・・
選手たちは、自分たちのディフェンスがうまく機能していること、そして、それをベースに、試合のイニシアチブを自分たちが奪い返したことを、明確に体感している。
そんなだから、次の仕掛けに「勢い」が乗っていかないはずがない。
そう、攻守ハードワークとリスクチャレンジを絶対ベースに、スペース攻略へ向けた、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが冴えわたる。
もちろん、スペースを攻略できたら、そこからの勝負ドリブルだって冴えわたっちゃう。
そう、前述した「イニシアチブの逆流現象に対する体感」が、彼らの自信と確信のレベルを、これ以上ないほど引き上げたんだ。
だから、(前述した、オランダが落ち込んだ、心理的な悪魔のサイクルというニュアンスも含めて!)森山佳郎ジャパンが、「ゴール機会」という視点でも、欧州チャンピオンのオランダを、完璧に凌駕するのも、まさに道理だったというわけさ。
というわけで・・
影山雅永ジャパン(U20WM)、横内昭展ジャパン(トゥーロン)、そして言わずもがなの森保一ジャパン(南米選手権とWM予選)など、今年の日本サッカーは、その「進化&深化」を、ものすごい刺激とともに「世界」に強烈にアピールした。
ヨーロッパの友人たちも、とてもシリアスに(以前のような、軽んじる雰囲気など全くなく!!)、日本サッカーの発展を認め、(真のライバルとして!?)讃えくれているんだ。
とにかく私は、同じサッカー人(同業者)として、優れたプロコーチ、森山佳郎さんに、心からの賞賛と感謝の意を表しますよ。
森山佳郎ジャパンに、乾杯っ!!
あっと・・書き足しのようで申し訳ないけれど・・
ここまで日本サッカーのレベルを引き上げた、田嶋幸三会長をコアにまとまり、それぞれが自分主体に(!?)良い仕事を積み重ねている技術畑のスタッフの皆さんに対しても、心からの賞賛と感謝の意を表する筆者なのだ。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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