トピックス
- 2019_UCL・・究極の「組織と個のバランス」・・そんな普遍的テーマに、浦和レッズも絡めて、思いを馳せた・・(バルサvsリバプール、3-0)・・(2019年5月2日、木曜日)
- 立ち上がり。
ユルゲン・クロップ率いるリバプールが、例によって、積極的に「前からプレス守備」をブチかましていく。
もちろん、対するバルサも、彼らの「勝負強さ」の絶対ベースである、創造性と粘り強さを併せもつ「連動ディフェンス」で対抗する。
この、GKテア・シュテーゲンのスーパーセーブも含めた優れた連動ディフェンスの真骨頂は、一点を追うリバプールが後半にブチかました怒濤の攻撃に対しても存分に発揮された。
そのバルサ・・
ボールを奪い返した直後から、えも言われぬほど美しい、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで、次々と「リバプールのプレス」を翻弄して前線へ攻め上がっていくんだ。
舌を巻いた。
対する、リバプール・・
もちろん彼らも負けちゃいない。
ボールを奪い返しては、これまたハイレベルな組織サッカーで攻め上がっていくんだよ。
まさに、世界最高峰の「攻防」。
ホントに、心躍らされるスーパーゲームじゃないか。
でも・・
そう、最終勝負の仕掛けプロセスに、両チームの「微妙な僅差」を感じたんだ。
そのバックボーンは、組織プレーと個人勝負プレーの「バランス」。
その「バランス」の内実で、バルサに一日の長があるって感じたんだ。
そして、その「僅差」を形作るコアが、リオネル・メッシという世紀の天才っちゅうわけだ。
もちろんリバプールにも、サラーという天才はいる。
でも、やっぱり、「組織と個のバランス・・」という視点で、二人の間には埋めがたい「差」があるって感じた。
サラーの場合は、スーパーなドリブル突破から、最後までいくのか、必殺のラストスルーパスを供給するのか、その「使い分け」に、メッシとの差を感じる。
特に、ドリブルからの「勝負スルーパスの内実」。
メッシの場合・・
そのスルーパスは、「そのままドリブルでもシュートまでいける・・」という余裕のなかから繰り出されるんだ。
そりゃ、相手ディフェンスだって、戸惑うよね。
それに対してサラーの場合は、より明確に、次の勝負プレーが読める。
もちろん、とても効果的なメッシの「使い分け」は、周りのチームメイトたちが仕掛けるボールがないところでのフリーランニングの量と質に支えられているんだよ。
そう、3人目、4人目のフリーランニング。
それがあるからこそ、メッシの勝負ドリブルも、何倍も怖いモノになるっちゅうわけだ。
ということで、バルサとリバプールの攻撃での「差」だけれど・・
それって、最終勝負プロセスにおける「共有イメージの質」で、バルサに一日以上の長があるってな表現に落ち着くのかもしれないね。
やっぱり、組織プレーでの、勝負イメージの「シェアの内実」こそが大事なんだよ。
そう、イメージ・シンクロの内実・・
だからこそ・・
個のドリブル勝負の効果レベルは、同時に創造されつづける「勝負パスの可能性」が大きければ大きいほど高くなるっちゅうわけさ。
そして、だからこそ、ボールがないところでのサポートの動きの量と質が問われる。
私には、その仕掛けプロセスについて、拙著も含め、「勝負はボールがないところで決まる・・」ってなコンセプトを、長年にわたって深化させてきたという自負があるのですよ。
そして、だからこそ、バルサが奪った先制ゴールに鳥肌が立ったんだ。
その先制ゴールだけれど・・
・・左サイドのジョルディ・アルバが、コウチーニョからのバックパスを受ける・・
・・次の瞬間、ジョルディ・アルバと最前線のスアレスが視線を交わした(アイコンタクト!?)・・
・・そして同時に、スアレスが、ウラの決定的スペースへ爆発ダッシュをブチかます・・
・・もちろん、ジョルディが、カーブしながら決定的スペースを横切る「トラバースパス」を送り込んだのは言うまでもない・・
・・そして最後は、そのトラバースラストパス(クロス!?)をダイレクトでゴールへ流し込んだ、スアレスのストライカーセンスが光り輝いた・・
・・ってな、夢のような先制ゴールだった。
わたしは、そのシーンを観ながら、スアレスがブチかました、決定的スペースへの爆発ダッシュのコノテーション(言外に含蓄される意味)に思いを馳せていた。
・・あのタイミングと状況での、クレバーなルートを突破する爆発ダッシュだったら、もう、どんなスーパーディフェンダーでもマークし切れないだろうな〜・・
・・だからこそ、パサーとパスレシーバーの「勝負イメージ」を、できるだけ高次元で「シンクロさせる」作業が、トレーニングでの最重要課題の一つなんだ・・
・・そうそう・・
・・例えば、浦和レッズ・・
・・とにかく、あまりにも頻繁に、興梠慎三や武藤雄樹の、ウラの決定的スペースへ向けた「爆発ダッシュ」が成就しないシーンを目撃させられつづけているんだよ・・
・・そう、フラストレーションが溜まる・・
・・レッズには、柏木陽介だけじゃなく、青木拓矢とかマウリシオ、はたまた槙野智章といった優秀な「後方パサー」がいるじゃないか・・
・・とにかく、彼らには、横パスやバックパスを「ダイレクトで叩く」ようなタイミングの、決定的ウラ突きスルーパスを期待したいのさ・・
・・もちろん、そのタイミングと状況を、最前線のフリーランナーと、しっかりと「シェア」する作業も含めてネ・・
ジョルディ・アルバとスアレスによる先制ゴールのシーンを観ながら、レッズの仕掛けプロセスにまで思いを馳せてしまった筆者だったのであ〜る。
まあ、それほど、スアレスの先制ゴールが、強烈に刺激的だったっちゅうことなんだ。
ということで、つれづれなるままに書きなぐってしまった筆者でした〜〜・・
へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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