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2021_なでしこ・・「本領」発揮の、池田太ナデシコ・・主体性プレーを絶対ベースに、課題はあったにせよ、全体的には、とても良いサッカーを展開した・・(オランダvsなでしこ、0-0)・・(2021年11月30日、火曜日)

池田太ナデシコが、本領発揮・・

もちろん、ボール奪取プロセス(守備)が、その絶対ベースさ。

強烈な「意識と意志とイメージング」を込めた、まさに忠実そのものの連動アクション。

それは、「ボール狩り」とも呼べるような・・

素早い(攻守の)切り替えからのチェイス&チェックやカバーリング、マーキング、協力プレスへの集散、そして、意志の爆発とも表現できる「最後の半歩チャレンジ」まで・・

とにかく、互いのイメージが実効的に「連鎖」しつづける、素晴らしい「主体性プレー」のオンパレードだったんだよ。

ところで、この「ボール狩り」という表現。

元日本代表監督と日本サッカー協会会長だった、故長沼健さんが創りだした造語です。

そうそう、私、長沼健さんには、平木隆三さんとともに、お世話になりました。

あっと、ボール狩り・・

それは、1974年の西ドイツW杯において、スーパーサッカーで世界を魅了したオランダ代表について、長沼健さんが、チーム戦術の骨子を表現したモノです。

まさに、言い得て妙・・

監督の、故リヌス・ミケルスは、わたしのサッカーの師匠でもあるのですが、彼については、「このコラム」もご参照あれ。

もちろん・・

池田太なでしこのボール奪取プロセス(守備)は「前からプレス」ばかりじゃない。

そう、彼らは、ブロック守備でも、とても高いテンション(緊張感)で、次、その次と、全員が、自分たち主体で「仕事」を探しつづける(アクションが連動する!)んだよ。

ポジショニングバランス(その感性!)をベースに、徐々に、強豪オランダ(世界ランキング4位・・ナデシコは11位)の人とボールの動きを(そのイメージングを!)抑制していく。

とても高質な、組織的ボール奪取プロセス(守備)ではあった。

要は・・

どんなときでも、それぞれの状況に見合った、効果的なボール奪取プロセス(守備)を、柔軟に展開できているっちゅうことさ。

そう、それこそが、守備ハードワークを自ら「探しまくる」ような、究極の「主体性プレー」っちゅうわけだ。

いいね〜〜・・

さて、ということで、次の攻撃(仕掛け)。

そこでのキーワードは、やっぱり、「空気投げ」だよな。

柔道の用語で、「隅落とし」とも呼ばれるんだけれど、ソレについては、ご自分で調べて下さいネ。

要は・・

相手が繰り出す「守備のアタックエネルギー」を逆手に取り(その勢いを逆利用して!?)、そのアタックをすり抜けて背後スペースを突いていく(攻略していく)っちゅうわけだ。

もちろん、アタックしてくる相手の「逆を取るドリブル」で置き去りにするコトもできるけれど、我らがナデシコは、やっぱり、コンビネーションだよね。

そう、ワンツーを積み重ねる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション。

強力パワーの相手との「フィジカル・コンタクト」を、できるだけ回避するような、スマートで巧みな、人とボールの動き・・ね。

そんな仕掛けこそが、ナデシコ伝統の「空気投げ」っちゅうわけさ。

とはいっても・・

そう、わたしも現地でレポートしつづけた、2011年ドイツ女子W杯よりは、「個のチカラ」が、かなり進化&深化しているって感じる。

強力パワーの相手に「局面デュエル」へ持ち込まれても、巧みなボールコントロールだけじゃなく、スクリーニングも駆使して、ボールを失わない。

そんなシーンを観ながら、瞬間的な(!?)隔世の感でアタマが一杯になってしまった・・なんていうコトもあったよね。

スミマセンね、現状認識が甘くて。

それでも・・サ・・

男の韓国とか、東南アジア諸国にしてもそうだけれど、実際の対戦では、どうしても「大昔」の印象がアタマをもたげてくるんだよ。

だから、そんな、アタマに残っている昔の印象との瞬間的なミックスアップ(現状とのミスマッチ!?)が起きちゃう。

へへっ・・

あっと、ナデシコの仕掛け・・

良かったと思いますよ。

組織プレーと個の勝負プレーを、とても高い次元でバランスさせられていた。

とはいっても・・

そう、最終勝負シーンでは、やはり、ボールがないところでのサポートの動き(フリーランや微妙なポジショニングなど!)が、甘い。

そう、「トン・トン・ト〜ン」ってなリズムで決定的スペースを突いていく、最終勝負コンビネーションね。

その最後の「ト〜ン」に内包されているのが、例によっての、3人目、4人目の「動き」っちゅうわけだ。

まあ、イメージングの内実・・というテーマね。

ソレを、もっと研ぎ澄ますためにこそ、うまく編集されたビデオを駆使するんだ。

そんな「イメージ創り」のプロセスがうまくいけば・・

そう、肝心な「瞬間」に、考えなくても、身体が動くようになるんだよ。

最終勝負シーンでの、オートマティゼーション・・ね。

ということで・・

プロ監督として、スーパーな実績を積み重ねている池田太に対する期待が、膨らみつづけるじゃありませんか。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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