トピックス
- 2024_アジアカップ(12)・・決勝コラムのツモリではあったけれど・・ソコで見出したコトも含め、やっぱり、人とボールの動きというディスカッションを深めていくことにしました・・(ヨルダンvsカタール, 1-3)・・(2024年2月11日、日曜日)
- あっ、盗まれた〜っ!!
そのとき、心のなかで、そんな叫びが響きわたった。
そう・・
イラン対日本の後半10分。
イラン、モヘビに同点ゴールを流し込まれたシーンだ。
盗まれたのは、板倉滉の「視線と意識」。
その直前、イラン、アズムンが、まさにスーパー・ワンタッチ・トラップを魅せた。
そしてアズムンは、完璧フリーで、シュート、パス等、どんなプレーでも出来るシチュエーションを創りだした。
それが、勝負の瞬間だった。
そのアズムンの左で、最終勝負アクションを起こそうとしているモヘビを、「イメージング・マーク」していたのは、板倉滉。
一瞬、アズムンの素晴らし「過ぎる」、スーパーなワンタッチ・トラップに、視線と意識が「吸い寄せられた」と、感じた。
そして、そんな板倉滉の「視線と意識のズレ」を感じていた(!?)、モヘビが、そのスキを突くように、爆発ダッシュを仕掛けたのだ。
もちろん板倉滉も、その「爆発」を予知していた。
だから、彼もまた瞬間的に反応し、これまた爆発スタートを魅せたのだけれど・・
結局は、背後の決定的スペースに走り込まれてしまうんだよ。
わたしは、そんな「ボールがないところで勝負を決まってしまった」最終勝負シーンを思いだしながら、決勝マッチを観ていたっちゅうわけだ。
そう、この両チーム(ヨルダンとカタール)の最終勝負は、まさに、個の勝負「だけ」に大きく偏っているんだよ。
たしかに、両チームともに、優れた「個の才能」を有している。
それでも、「それだけ」じゃ、決して、世界トップには追いつけない。
たしかに、ボール「は」動くよ。
でも、それは、足許パスばかり。
ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションなんて、希の希。
もちろん、ボール奪取プロセス(守備)は、徹底しているし、とても力強く、ハイレベル。
この「徹底」こそが、トップネーションと追随カントリーの「差」を縮めたといっても過言じゃない。
2年前の、カタールWMで大躍進を遂げたモロッコだけれど・・
彼らは、優れた組織ボール奪取プロセス(守備)のエッセンスを、徹底的に、チーム内で「共有」させたんだ。
それだけではなく、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも・・
「個の能力を最大限に活かし切る・・」ことを武器に、勝負強さを発揮した。
監督は、ワリド・レグラギという、モロッコとフランスの国籍を有するプロコーチ。
彼は、W杯が開幕する三ヶ月前までモロッコ代表の監督を務めていた、「あの」ヴァイッド・ハリルホジッチが、解任された後に監督に就任する。
そのレグラギの(選手に対する!?)発言で、こんな興味深いモノがある。
・・我々は、ポゼッションをするためではなく、勝つために、ここにいる・・
ちょっと要約しすぎだけれど・・
とにかく彼は、しっかり守り、鋭く仕掛けていく(堅守速攻!?)コトを旨とするチーム&ゲーム戦術(要はトーナメント戦術)の徹底を志向し、大きな成功を収めたっちゅうわけだ。
その後、昨年のドイツ国際会議で、モロッコについて、盛り上がったのだけれど・・
要は・・
・・サッカーの進化&深化は、トーナメント戦術ではなく、あくまでも、「組織と個」の継続的インテグレーションにあり・・っちゅうコトさ。
だからわたしは、今回のアジアカップでの主要ディスカッションテーマを、人とボールの動きと「その優れたリズム」ってな視座にしたんだよ。
たしかに・・
板倉滉は、「そのとき」は、やられてしまった。
そして、そのコト(心理的なダウン・・自信と確信レベルの大きな減退!?)によって、彼のパフォーマンスは、目立って落ち込んでいった。
「あの」優秀な板倉滉でも、そんなふうに、簡単に、自信と確信レベルをダウンさせちゃうんだよ。
まあ、私にとっては・・
究極の「心理ボールゲーム」であるサッカーの面目躍如・・的な、現象で「も」あったわけだけれど・・さ。
あっ、不確実であるからこその、究極の「組織スポーツ」ね・・
とても「優れた能力」に恵まれている板倉滉に対しては・・
「あれ」を、これ以上ないほどの「学習機会」として活用して欲しいと、願って止みません。
あっと、決勝・・
皆さんもご覧になった通り、両チームともに、堅いボール奪取プロセス(守備)を絶対ベースに・・
カウンター気味に、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をブチかまそうとしていた。
そう、それも、「個の勝負」を前面に押し出してね。
それが、「天才肌」の、アフロ・アフィフが、PKでハットトリックを達成する結果となった!?
わたしは、そんな決勝を観ながら・・
・・まあ、アジアカップやW杯は、基本的にはトーナメントだから、そんなチーム&ゲーム戦術も、アリだよな〜・・
・・それでも、日本、イラン、韓国には、そんな、苦々しい「後ろ向きタクティクス」を、美しい質実剛健サッカーで、ブチ破って欲しい・・
・・そう、そこが、トーナメントの場であったとしても、ね・・
日本の「J_リーグ」・・
そこでも、短期的な「勝ち点」をゲットするような戦術サッカーをするチームが出てくるでしょ。
もちろん・・
理想的な、美しい質実剛健サッカーを志向したいけれど、それじゃ勝つのが難しいし、オレ自陣が「クビ」になっちゃう。
そう考えるプロコーチもいるに違いない。
実際、求めたモノを得られず、道半ばで・・ってな憂き目に遭ったプロコーチも多いのは知っている。
それでも私は・・
そう、様々な意味を内包する「バランス感覚」を研ぎ澄ませて欲しい・・って思うんだよ。
大志を抱きながら、理想を追い求めるプロコーチたち。
そんな彼らが、「理想と現実のバランス」を、うまく執りながら、成功を収められるコトを、願って止みません。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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