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2024_EURO_11・・高次平準化する、世界サッカー・・もちろん、その傾向は「J」においても・・(予選グループ、C&D)・・(2024年6月26日、水曜日)

ブランド国を中心に、簡単にまとめます。

まずフランス。

昔、ポーランドに、ヤン・トマシェフスキーというスーパーGKがいた。

いまでは、ポーランドで、サッカー解説をやっているらしいけれど・・

1973年10月17日。

サッカーの聖地(イングランド)ウェンブリーで行われた、W杯、最終地域予選でのイングランド戦で、スーパーセーブを連発し、彼らの、本大会出場を阻んだときのヒーロー、その人だ。

わたしも、1974W杯西ドイツ大会の後、彼と、ドイツで接点があった。

彼は、わたしよりも、四つ、年上だ。

・・オマエ、日本人なのか?・・

・・それにしちゃ、背がデカい(190p)な〜・・

・・ところで日本でもサッカーは、やっているのかい?・・

・・(私)オレたちの国でも、サッカーは、やっているんだよ・・

・・(これも私)そして、オマエは、日本でも、有名人だぜ・・

・・イングランドを、予選で葬り去ったGKとしてね・・

そして、今回も、そんなスーパーGKが気を吐いた。

ポーランドGK、ウカシュ・スコルプスキー・・

彼は、いったい何度フランスのゴール機会を阻止したことか。

そう、全体的なゲーム内容では、フランスに軍配が挙がるんだ。

それでもポーランドは、ウカシュ・スコルプスキーの活躍もあって、今大会、唯一の「勝ち点1」をもぎとった。

たしかに、ポーランドは、次に進めなかったけれど、勝ち点「ゼロ」で大会を去るよりも、彼らにとっては、何百倍もポジティブな結果なんだよ。

そうそう、このグループステージ最終日には・・

もっとビックリするコトが、このグループで、起きたんだ。

そう、オーストリアが、「あの」オランダを下し、グループトップに躍り出たんだよ。

この試合・・

ゴール機会の量と質では、たしかにオランダに分があったけれど・・

オーストリアは、ものすごくシンプルなスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をブチかましつづけることで、オランダのミスを誘った。

オーストリアは、ドイツの兄弟国っていってもいいかもしれない。

その兄弟が、大会屈指の強豪、オランダを「ねじ伏せた」んだ。

ちょっと興味深い「グラウンド上」の現象ではあった。

もちろん・・

そう、オーストリアは、伝統的に、ボール奪取プロセス(守備)が強いよね。

わたしは、そのバックボーンに、優れた「考えるチカラ」を挙げたい。

だから・・

相手が強ければ強いほど、仲間内での「協力ディフェンス」が、威力を発揮するんだ。

この試合でも、守備のハードワークは当たり前として、とにかく、ボール奪取プロセス(守備)での、互いの「イメージング」を調整しながら、素晴らしい寄せ(局面デュエル)に、持ち込んでいた。

それに対して、オランダは・・

普段は、組織サッカーを標榜する、ハイレベルサッカーを展開するんだけれど、徐々に、個の勝負プレーに、イメージングが「偏っていった」と感じたモノさ。

だから、彼らの専売特許である、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションなんて、ほとんど観られなかった。

そこでは、究極の心理ボールゲームというサッカーの真実を、噛みしめていた。

フ〜〜ッ・・

でも、まあ、オランダも、フランスも、しっかりと決勝トーナメントへは、駒を進めた。

ということで、グループ「C」・・

そこの目玉は、何といっても、イングランド。

でも、このグループには、デンマーク、スロベニア、そしてセルビアという、曲者がいるんだ。

最終戦、イングランドは、その曲者の一角、スロベニアと対戦した。

スロベニアだけれど、ものすごい紆余曲折を経て、1991年に、ユーゴスラビアから独立し、ひとつの国となった。

それまでは・・

そう、「あの」ユーゴスラビアの一員だったんだよ。

だから、サッカーのレベルについては、推して知るべしでしょ。

そんな「曲者スロベニア」と対峙したイングランド。

まず感じたコトは、とにかく、人とボールの動きが、鈍重。

一つひとつの動きが「単発」なんだよ。

なんか、以前の、放り込みサッカーが、彷彿してきちゃったりりして・・

一つの例だけれど、こんなシーンがあった・・

左サイドの後方から、一発「必殺クロス」を、ファーサイドゾーンにいる、ハリー・ケーンへ送り込んだシーン。

たしかに惜しかったけれど・・どうも、ネ・・

また、たしかに何度か、ウラの決定的スペースを、うまく突いていけたシーンはあったけれど、それも、典型的な「単発の仕掛け」ってな感じ・・

また人とボールの動きを駆使した「崩し」だけれど・・

後半ロスタイムにはいってからブチかました、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションは、素晴らしかった(しっかりとゴール機会までいった!)。

でも、目立ったチャンスメイクが「ソレしかない」というのでは、寂しい限りだったね。

さて、ブランド国。

世界サッカーは、情報化、国際化の進展によって、「高次平準化」しているっちゅう、ディスカッション。

そのことは、昨年の、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟主催の国際会議でも、講義の休み時間に活発におこなわれた「行間のディスカッション」で、何度も語り合った。

とにかく、その傾向は、もう誰にも、変えられないというのが結論。

そして、そのトレンドのなかに・・

たまに、「あだ花」のように、勝つこと「だけ」をターゲットにする、徹底サッカーが、現れては、消えていく。

これまでの世界サッカーの歴史を、みるまでもなく・・ね。

何か、今日は、世界サッカーの「縮図」を、俯瞰して、見つめているような・・

ということで、お互い、これからの決勝トーナメントを、とことん楽しみまょう。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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