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2024_EURO_14・・これで、この優れたベルギーが、トーナメントから姿を消しちゃう・・何とも惜しい・・そんな、とても複雑な「後味」を残した、スーパー勝負マッチだった・・(フランスvsベルギー、1-0)・・(2024年7月2日、火曜日)

すごいテンション(緊張感)だった。

ここまでで、最高の、実力チーム同士の、激突。

互いに、フランス語圏という背景もある。

両チームともに、ボール奪取プロセス(守備)が、強い、堅い。

相手の、世界トップレベルのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を、ことごとくはね返してしまう。

ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションに代表される、危険な組織プレーにしても・・

「それ」を絶対ベースにする、個のドリブル勝負(ムバッペね)に対しても・・

とにかく、両チームの守備は、強い、堅い。

だから、両チームともに、簡単には、ゴール機会を創りだせない。

観ているこちらも、手に汗にぎるばかり・・

へへっ・・

でも、両チームともに・・

そう、ツボにはまったら、ゴール機会を創りだすトコロまで、いってしまう。

ツボ・・

シンプルな、カウンター気味の仕掛け(勝負ドリブル)やセットプレー、そして仕掛けの「大きな展開」などが、「ツボ」になり得る。

その本質は、相手ボール奪取プロセス(守備)のイメージングを超越する仕掛け・・ね。

やっぱり、インテリジェンス・ボールゲームであるサッカーじゃ、「思考」の、広さ、深さが、最後はモノを言うっちゅうわけだ。

そのツボにはまったシーン・・

・・フランス、ムバッペの、パスを受けてからの「静」のキャノンシュート・・

・・ベルギーのセットプレー(デ・ブルイネの強烈FK)・・

・・また同じベルギーがブチかました、流れるような、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションからの、ダイレクトシュートなど・・

いろいろと創り出されたけれど・・

そのなかでも、「ザ・ゴール機会」って呼べるようなチャンスメイクがあった。

例えば、前半34分のフランス。

チュアメニから、正確で鋭い、大きなサイドチェンジパスが、上がっている右サイドバックのクンデへ、ベルギー守備のイメージングを「超越」するように、飛んでいく。

そしてクンデは、ワンタッチトラップから、間髪を入れずに、必殺クロスを送り込むんだよ。

もちろん、そのクンデには見えていた。

ベルギーのゴール前で、マーカーの「背後」にポジショニングしていたチュラムが、一瞬の動きで、そのマーカーの「眼前スペース」へ飛び出す「動き」が・・

そしてクンデからの、鋭い「ラスト・クロス」が、その相手マーカー眼前スペースへ、正確に、鋭く飛んでいったっちゅう次第。

それは、チュラムは、もう、決めるしかないという、最高テンション状況だった。

でも・・

そう、チュラムの「走り込みヘッドシュート」は、僅かに、ほんの僅かに、ベルギーゴールの右上角を外れていったんだ。

そのとき、わたしは、完璧にフリーズしていた。

フ〜〜ッ・・

そんな、興奮させられるシーンがあった前半だったけれど・・

でも後半は・・

そんな前半にも増して、もう、フリーズの連続ってな、両チームの仕掛けが、目の前で展開しちゃうんだ。

両チームともに、まさに「ゴール機会」と呼べるチャンスメイクをブチかましつづけたんだよ。

その立ち上がり・・

ベルギーのペナルティーエリアの「枠外」で、ボールを動かしつづけたフランスが・・

最後は、チュアメニの「ミドル弾」で、そんな「静」のボールの動きを、仕上げた。

直後の54分、そこでは、ムバッペが、際限のない「天賦の才」を披露する。

そう、突貫小僧ドリブル勝負。

「マタギフェイント」から一人を置き去りにし、そのまま、ドリブルで突進してシュートまでいっちゃうんだ。

最後の瞬間に、ベルギー守備が魅せたスライディングは(アベマ解説の槙野智章が言っていたように!)、ムバッペのスーパーシュートの「軌道」を、微妙にズラしたと感じた。

素晴らしい、最後の守備アクションだった。

でもベルギーも黙っちゃいない。

そう、そんなピンチから、デ・ブライネのタテパスから、タテへ「爆発ダッシュをつづけていた」カラスコへの必殺スルーパスが決まったんだ。

フリーでパスを受けたカラスコ。

でも、最後の、最後の瞬間、追いついたフランス守備テオ・エルナンデスが、必殺スライディングで、そのシュートを弾くんだ。

もう、スーパーとしか表現のしようがない、テオ・エルナンデスの実効スライディングだった。

また71分、これまた、デ・ブライネからの必殺スルーパスから抜け出したマンダラ。

そこから、ルカクとつないで、必殺ミドル弾が、ブチかまされた。

83分には、それまで「黒子」としてチャンスを創りつづけていたデ・ブライネが、今度は、主役に踊り出す。

ルカク、ドクとボールが「動き」、最後は、ドクからの必殺「横パス」を受けたデ・ブライネ・・

彼の実力を知る誰もが、「アッ、ゴールだっ!!」と、信じて疑わないシュートを放ったんだ。

でも・・

そう、このルカク(71分)とデ・ブライネ(83分)の必殺シュートは、フランスGKメニャンが、まさに神がかりなセービングで防いだんだ。

観ているこちらは、もちろん、フリーズ。

そんなギリギリのゲーム展開が続いていた、85分。

コトが起きる。

フランス。

例によっての、ベルギーのペナルティーエリア「外枠」エリアでボールを動かし・・

そして、必殺のスルーパスを飛ばしたんだ。

最後は、交替出場した、コロ・ムアニにボールがわたり、シュートっ!!

蹴られたボールが、ベルギー選手のヒザに当たってコースが変わり、そのままゴール。

結局、ベルギーの自殺点というコトで、劇的ドラマの幕が下りた。

あっと、このシーンでは・・

アベマ解説の槙野智章も語っていたけれど・・

シュートを放ったコロ・ムアニへ、ダイレクトで、ラストパスを通したカンテに、0.5点あげなきゃ、いけない。

それほど、素晴らしいラスト・ダイレクトパスではあった。

ということで・・

フィジカル、テクニック、攻守の巧みな戦術プレー、心理・精神的バックボーン、そして「最後の半歩」など、世界超一流の両チームが展開した、スーパー・テクニカル・ドラマの幕が下りたっちゅう次第でした。

ものすごく堪能したけれど・・

これで、このスーパーなベルギーが、トーナメントから姿を消しちゃうのは、何とも惜しい。

そんな、とても複雑な「後味」を残した、スーパー勝負マッチではありました。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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