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2024_EURO_5・・このゲームでは、人とボールの動きについて、チト、その表現を深めることにチャレンジしようと思った・・(ドイツvsハンガリー、2-0)・・(2024年6月20日、木曜日)

今大会のドイツは、とても、よくまとまっている。

まとまり・・

言わずもがなだけれど、とにかく攻守ハードワークとリスクチャレンジを、探しまくる、主体性プレーが、チーム全体に、浸透しているんだよ。

だから・・

そう、互いに、使い・使われるという組織プレーの基本メカニズムが、うまく機能しているんだ。

だからこそ、人とボールが、創造的に(次、その次をイメージングした創造性ね)、よく動く。

今回は、この人とボールの動きというテーマを、少しだけ、掘り下げようと思った。

ところで、古豪のハンガリー・・

わたしのドイツ留学時代(1970年代ね)のハンガリーには、まだまだ「マジックマジャール」という強豪イメージがあった。

わたしの留学仲間にも、何人か、ハンガリー人がいたけれど、とにかく、巧かったコトを覚えている。

そしてドイツのことを・・

・・ありゃ、ロボットサッカーさ・・

・・でも、組織論にだけは、大いに学ぶところがあるよな・・

・・そう戦術論ね・・

・・などと、揶揄気味に、持ち上げていたっけネ。

フムフム・・

まあ、ドイツが、本当の意味で、サッカーの進化&深化を支えられるような、「美しい質実剛健サッカー」へと、舵を切ったのは、1990年代に入ってからだったよな。

それまでは、「オレたちは勝っているんだから、周りの揶揄って、単なるジェラスじゃネ〜か・・」なんて、強がっていたモノさ。

でも・・

そう、サッカーじゃ、やっぱり、内容こそが問われるんだ。

それが、サッカーの隆盛に、本当の意味で寄与するかどうかという、一点に絞られたディスカッションへと、サッカーを取り巻く「雰囲気」が、収斂させたっちゅうわけだ。

そのプロセスが、たぶん、各国でちがう、サッカー文化の「伝統」のバックボーンなんだろうね。

フムフム・・

わたしも、クリストフ・ダウムを中心にした交友サークルのなかで交わされつづけた・・

ものすごく激しいディベートの嵐に、何度もさらされた(いや、そのディスカッションサークルに、クリストフのお陰で混ぜてもらったというのが正解!)。

だからこそ、「勝つことだけ」をターゲットにする、超絶の徹底(戦術)サッカーを、苦々しく思えるんだ。

あっと、人とボールの動きだった・・

ドイツとハンガリーの、「レベル差」のコノテーション(言外に含蓄される意味)は・・

それは、何といっても、スペースを、どれだけ効果的に「攻略」出来ているのか・・

それによって、相手ディフェンスを、どのくらい効果的に、振り回せているのか・・

そして、そのプロセスが、ゴール機会を創りだすことに、どれくらい貢献しているか・・

・・そんな根源ディスカッションだよね。

その視点で・・

やっぱりハンガリーの人とボールの動きは、足許パスが主体ってな評価になっちゃう。

もちろん・・

そう、ドイツだって、足許パスが主体だよ。

でも彼らの場合は、次、その次の「スペース攻略」が、イメージングの基本にあるんだよ。

彼らの人とボールの動き(足許パス)は、常に、次の「スペースパス」の準備段階なんだ。

そのコトは、一つ目や二つ目の「足許パス」が「入りそう」な状況で・・

いつも、3人目、4人目のフリーランナーが出てくることで、確認できるっちゅうわけさ。

だからこそ・・

究極の組織プレーである、ワンツーを積み重ねる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションという「サッカーの美学」を体現できるっちゅうわけだ。

そして、だからこそドイツは・・

そう、そんな組織プレーのなかに、満を持した、個の「突貫小僧ドリブル勝負」も、「より」効果的にブチかませる。

ということで、たしかにこのゲームじゃ、2ゴール「しか」決められなかったけれど・・

トニー・クロース、ギュンドアンなどを中心にした、ゲーム&チャンスメイクの内実も含めた「ゴール機会の量と質」からすれば、まあ、完勝って言えるだろうね。

ということで、今回のドイツは、若く、情熱的な「ストロング・ハンド」、ユリアン・ナーゲルスマンの「マインド」そのままに・・

積極的&攻撃的ボール奪取プロセス(守備)から、これまた積極的&攻撃的なスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を展開できているっちゅうわけだ。

そりゃ、魅力的な、美しい質実剛健サッカーへと、クオリティが高揚するはずだ。

ちなみに、わたしは・・

1990年代後半に、ドイツが魅せた「イメチェン」のプロセスを知っているつもりだ。

それは、クリストフ・ダウムが中心になって推進された。

クリストフは、「あの事件」さえなければ、2002日韓ワールドカッブで、ドイツ代表を率いていたハズなんだよ。

フ〜〜ッ・・

あっと、その「イメチェン・プロセス」だけれど・・

そこでのテーマは、大きな潮流としては、二つ。

一つは、「オーバーコーチングの抑制」、そして「テクニック向上」。

なんか、「えっ!?」って感じで、力が抜けちゃう、でしょ!?

でも、そんなシンプルなファクターにこそ、サッカーメカニズムの本質が内在しているっちゅうわけさ。

へへっ・・


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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