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- 2024_EURO_9・・フ〜ッ!・・ドイツにとっちゃ、ものすごく意義深い「学習機会」だったということか・・それにしても、日本とFIFAランクが同じくらいのスイスは、立派なサッカーを魅せた・・(スイスvsドイツ、1-1)・・(2024年6月24日、月曜日)
- 強者どもが、はじめから、戦術サッカーに徹する・・
そりゃ、難しいゲームになるのも、道理だ。
そう、スイスは、最初から「受ける」のを前提に、ゲーム戦術をプランしたんだ。
ドイツは、誰もが認める強いチームだし、ホストカントリーでもあるからね。
だから、スイスの前提は、ブロック守備でドイツのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を、しっかりと受け止め、ワンチャンスを狙うという「イメージング」だった。
そのブロック守備・・
もちろんファイブバックに、4人のミッドフィールダー。
そして・・
そう、決して、ドイツの人とボールの動きに、「安易に付いていかない」というイメージング。
ドイツは、人とボールを活発に動かしつづける。
それは、相手のボール奪取プロセス(守備)を「振り回す」という意味合いが大きい。
そう、ワンツーを積み重ねる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション。
でもそれが機能するのは、相手マークが、「付いてくれば」のハナシ。
もちろんスイスは、ボールがないところでのフリーランナーは、しっかりとマークする。
そして、ボールまわりでの基本は、ステイと、ポジショニングバランスの維持なんだ。
そんな強力なボール奪取プロセス(守備)に、どうも、うまく人とボールを動かせないドイツ。
そして、そんな沈滞した「静の雰囲気」のなか、コトが起きてしまう。
スイスが、先制ゴールをブチ込んだんだ。
前半28分。
ラッキーな状況で、左サイド(ポケットと呼ばれるゾーン!)にボールを回せたスイス。
もちろん、センターゾーンでは、ヌドイェが、脇目も振らずに、決定的スペースへ向けて「爆発」している。
その「決定的な動き」に、マークの、ヨナタン・ターが、一瞬、遅れてしまうんだよ。
そしてヌドイェが、これまた「脇目も振らずに」送り込まれた鋭いクロスに、ダイレクトで合わせた。
右足のアウトサイド(トーかな!?)での、「チョンッ!!」ってな、タッチ。
そしてゲームが、俄然、「深まって」いくっちゅうわけだ。
スイスの、徹底した戦術サッカーが、心理・精神的バックボーン(先制ゴールね!)の増幅によって、より強化されていくんだ。
ところで、そのゴールの直後・・
ゴールを奪われた、ドイツのスーパーGKノイヤーの顔が、大写しになったんだよ。
そのとき私は、カタールW杯の日本戦で、浅野拓磨に、左ポストのニアサイドスペースをブチ抜かれたノイヤーの顔が、重なったモノさ。
さて、ということで、その後の攻防。
もちろんドイツの、タテへのダイナミズムは、がんがんアップしていく。
でも、スイスの「徹底ブロック」は、まさに浮沈戦艦ってな感じ。
タテへ鋭いパスを出しても、そのほとんどが、インターセプトされちゃう。
そりゃ、そうだ。
そんな仕掛けのタテパスを通すためには、事前の「準備」が必要なんだよ。
そう、スイス選手の「イメージング」を、逸らすような、人とボールの動きが・・ね。
その「準備」がなく、シンプルな状態でのタテパスだから、スイスに「読まれ」てインターセプトされちゃうのも道理ってワケだ。
攻めあぐむドイツ。
観ているコチラも・・
・・変な工夫なんてせず、もっと放り込みや、ミドル弾をブチかませよっ!!・・
・・そんな、感情的な声だって出ちゃうさ。
あっと、スイスの守備ブロックの「位置」だけれど・・
それは、ボールの位置と、両チーム選手たちの位置関係に応じ、とても柔軟だった。
彼らは、決して、リトリートしっぱなし(下がりっぱなし)というわけじゃなかったんだよ。
もちろんスイスは、「あわよくば」ってな感じで、高い位置でのボール奪取&ショートカウンターを狙っているっちゅうわけだ。
決してスイスは、自軍に「閉じこもる」ような、愚を犯さかなったんだよ。
そして、ドイツのフラストレーションが、つのっていく。
だから、彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも、「我慢」が足りなくなっていくんだ。
とても良くない、心理的な「悪魔のサイクル」に、はまりかけていたドイツ。
フ〜〜ッ・・
でも、そんな雰囲気のなかでも・・
スイスが守備ブロックを維持している状況であるにもかかわらず・・
ドイツが、まさに、針の穴を通すようなゴール機会を創りだしちゃうんだ。
50分。
例の、若手ホープ、フローリアン・ヴィルツが、中盤でボールをキープしながら、フッと、前戦へ視線を飛ばす。
そのとき、コトが起きた。
その視線が飛ばされる「直前」のタイミングで、最前線のジャマル・ムシアラが、中央の決定的スペースへ、「爆発」したんだ。
そう、斜めへの、決定的フリーランニング。
そして次の瞬間、フローリアン・ヴィルツの右足が、うなった。
素晴らしい、アウトサイドでの、キャノン・グラウンダー・タテパス。
そして、それを、ワンタッチトラップしたムシアラが、そのまま、右足で、強烈なミドル弾を見舞ったというわけだ。
でも、そのシュートは、スイスGKに弾かれ、そのこぼれ球を叩いたギュンドアンのダイレクトシュートも、ゴール左へと外れていった。
それまでの展開からは、イメージし難いゴール機会ではあった。
でも私は・・
そう、そんな一発タテパスってな「目」もあるよな・・なんて考えたモノさ。
そして、そのゴール機会を体感しながら、こんなゲーム展開での「ワンチャンス」の可能性に思いを馳せたモノさ。
その後、トニー・クロースのミドル弾、フローリアン・ヴィルツの持ち込みからの、キミッヒの決定的シュート場面など、ゴール機会はあった。
でも・・
そう、リードするスイスのプレー姿勢も、素晴らしかったんだ。
彼らは、決して、「こもって」守ろうとはしていなかった。
そうではなく、しっかりと、攻め返そうとしていたんだよ。
そんな「流れ」って、たぶん、彼らのサッカー文化からすれば、自然なモノだったように思う。
そう・・
・・リードしているからといって、相手のドイツに、イニシアチブをにぎられっぱなしなんて、我慢できない・・
・・オレたちにだって、ブライドがある・・
・・ふざけるなよ・・
・・そんな、狩人のマインド。
イイネ〜・・
もちろん、攻め上がるスイスではあったけれど、それでも、次のボール奪取プロセス(守備)へは、ものすごい「勢い」で戻り、素早く、効果的に「ブロック」を整備しちゃうよ。
そんな、優れた主体性プレーにも、舌つづみを打っていた。
その後は、もう、何があっても止まらないってな感じで、両チームともに、ゴール機会を生み出しつづけるんだ。
こんなエキサイティングなゲーム展開になろうとは、思ってもいなかった。
とにかく・・
スイスには、1点を守り切ろうなんていう「守りのマインド」なんて、1ミリもなかったっちゅうコトだ。
そんな、心理・精神的バックボーンにも、フットボールネーションの「伝統」を感じたモノさ。
これまで、「J」も含め、数限りない「ドラマ」を体感しつづけているわけだけれど、一度だけ、「大逆転ドラマ」をストーリーにまとめたことがあった。
興味のある方は、その「ドラマ」も、ご堪能あれ。
へへっ・・
あっと、勝負マッチ。
そして、そんなギリギリのゲーム展開のなか、延長1分に、コトが起きた。
シンプルなタイミングのクロスボールを、中央で待ち構えていた、ニクラス・フュルクルクが、ヘッド一発。
放たれたボールは、スイスゴールの左上角に、吸い込まれていった。
わたしは、その瞬間、まさにフリーズしてしまったよ。
このゲームについては、もう、これ以上語るパワーが残されていない。
ということで、ドイツとスイスが、決勝トーナメントに駒を進めるという結果に落ち着いた。
フラストレーションと驚き、ホープと落胆・・
そんな、激烈な「情緒」のアップダウンの連続ではあった。
フ〜〜ッ、疲れた・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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