湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第26節(2014年9月27日、土曜日)

 

2014_J1_第26節・・二つのゲームからテーマをピックアップ・・(FC東京vsレイソル、 4-0)(セレッソvsレッズ、 1-0)・・(2014年9月27日、土曜日)

 

レビュー
 
頸椎ヘルニア由来の神経痛だけれど、それを、これ以上悪化させないために(・・なるべく早く回復させたいから!)、今日もテレビ観戦にせざるを得なかった。

もちろんフラストレーションは溜まるけれど、テレビ(スカパー)のカメラワークが、とても心地よいことで、落ち込んだ気持ちも癒(いや)される。

要は、カメラワークが全体的に「引いて」いることで、スタジアム観戦のように、ボールがないところでのせめぎ合い(だまし合い)まで、しっかりと観察できるというわけです。

これは、本当に、とても助かる。

まあ、とはいっても・・

局面シーンに「寄る」傾向の強いカメラワークの場合、たしかに迫力ある画面作りはできるよね。

でも、それでは、ボールから離れたゾーンに満載された、攻撃側と守備側の「意図のぶつかり合いドラマ」を確認できなくなってしまう。

たしかに、「引き」と「寄せ」を、最高のタイミングと正確さで繰り返すような素晴らしいカメラワークもある。

要は、ボール絡みのプレーと、ボールから離れたゾーンのせめぎ合いシーン(ボールなしプレーの決定的コンテンツ!?)の両方を、ある程度は楽しめるような 老練なカメラワークということだけれど、それでも、完璧に、「迫力コンテンツと戦術コンテンツ」の両方をカバーできるような画面作りは、不可能に近いよね (・・まあ私の感覚的な意見だけれど・・)。

とにかく私は、今まで何度も繰り返し表明してきたように、「引き」をベースにするカメラワークを基盤にして欲しいと思っているわけです。

あっと・・カメラワークの話題が止まらなくなってしまいそう・・

ということで、FC東京vsレイソル。

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まず・・、ちょっと点差が開いてしまったけれど、レイソルのサッカー内容が「その点差ほど」劣っていたというわけじゃないという事実を指摘しておきます。

レイソルも、例によって、攻守にわたって、とても高質に「まとまった」サッカーを展開していたのですよ。

長い時間をかけて作りあげたネルシーニョのサッカー(攻守のチーム戦術イメージ!)が、選手個々とチーム全体に深く浸透し、それがグラウンド上に、とても実効あるカタチで投影されているっちゅうことだね。

でも・・

そう、この日のFC東京の出来は、攻守ハードワーク満載の実効あるサッカーを展開するレイソルを、完全に脇役に追いやってしまった。

ということで、このコラムでは、FC東京が魅せつづけた素晴らしい守備と、組織と個が素晴らしくバランスした(イメージが統一した!?)仕掛けというテーマを採りあげます。

まず、FC東京のディフェンス。

彼らの守備でピックアップするポイントは、その、イメージが統一された、「中盤から最終ラインにかけての強力なブロック」と、ボールがないところでの「イメージング能力」だね。

4人で構成する強力な最終ライン(森重真人のリーダーシップと危険察知能力!)。

その前で、攻守にわたって、素晴らしい「ハードワークとクリエイティブなボール奪取」を魅せつつける中盤トリオ。

そして、最前線から、爆発スタートとフルスプリントで、守備に(ものすごく効果的に!!)参加してくる2人のチャンスメイカー&シャドーストライカー。

とにかく、この中盤と最終ラインによって構成される守備ブロックが、抜群の、タテヨコの連動性を魅せつづけるっちゅうわけだ。

守備ブロックの組織を素早く構成し、忠実なチェイス&チェックをベースに、その周りで、とても上手く連動するボール奪取コンビネーション。本当に素晴らしい。

そうね〜・・。たしかに、彼らの守備での素晴らしい機能性を文章で表現するのは、難しいね。

まあ、とにかく、チェイス&チェックの忠実アクションを基軸に、同時のカバーリングや協力プレスのアクションだけじゃなく、相手の足許パスやスペースパスを正確に予想した、ボールがないところでの連動ボール奪取アクションが素晴らしいということです。

また、冗長になっている。フ〜〜・・。まあ、仕方ない。

そして、もう一つ、彼らの守備について、とても興味深いピックアップポイントがある。

それは、ボールがないところでの勝負所に対する「イメージング能力」。

要は、次の勝負所(パスが送られてくる勝負ポイント)について、FC東京の選手たちは、とても正確にイメージ出来ている・・ということです。

まあ、そのイメージング能力は、集中力とも言い換えられるよね。

要は、相手の決定的クロスやスルーパスなどに対して、その最終勝負シーンを、とても正確に、アタマの中にイメージ描写できちゃってるっちゅうことだ。

だから、勝負所(自分たちのピンチシーン)での守備アクションを、素晴らしく効果的に繰り出せる(相手のチャンスを潰せる!)っちゅうわけだ。

勝負はボールのないところで決まる・・

彼らは、そんな根源的なメカニズムに対する理解が、とても深い・・ということだね。

レイソルの危険な仕掛けのたびに、自分のマーク相手だけじゃなく、周りのマーキング状況やスペース状況などにも、クルクルとアタマを回しながら確認しつづけるFC東京の守備プレイヤーたちを観るにつけ、マッシモ・フィッカデンティ監督の「ウデ」を感じるじゃないか。

次が、攻撃。

この試合では、ワントップのエドゥーに、攻守にわたって、まさに自由に動き回り、効果的なパフォーマンスを魅せつづける2人の「突貫小僧」が、抜群の機能性で絡みつづけていた。

そう、武藤嘉紀と河野広貴。

この「突貫小僧コンビ」は、まさにレベルを超えた存在感を発揮しつづけた。

この2人の素晴らしいところは、組織プレー(ボールがないところでの動きの量と質!!)を絶対的ベースに、チャンスとなったら、勇気をもってブチかますドリブル突破能力もそうだけれど、そんな仕掛けクオリティー以上に、最前線からの守備のハードワークに「も」ある。

とにかく、実際にゴールに結びついた前線でのボール奪取だけじゃなく、相手ボールホルダーを全力でチェイスすることで、「次」で、チームメイトにボールを奪い返せさせる忠実ディフェンスが群を抜いているんだよ。

以前、マッシモさんに、こんなことを聞いたことがある・・

・・河野広貴・・私は、ヴェルディ時代から彼のことを見ている・・だから、彼のプレーイメージが、攻守にわたって大きく進化し、深化していることを実感できる・・一体、どのようにやったのか?・・

そんな質問に対し、マッシモさんは、例によって真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

・・彼は、素晴らしい才能に恵まれた選手だ・・そして、このところ、攻守にわたって素晴らしく発展していると思う・・私が、どのようにマネージしているの かって?・・それは、やはり、忍耐づよく、実のある込みにゅ2ケーションをつづけるしかないだろうね・・そう、忍耐づよく・・そして、分かりやすく・・そ れを繰り返しているウチに、インテリジェンスを持ちあわせているからこそ、大きく発展したということだと思う・・

いいネ・・マッシモ・フィッカデンティ。

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さて、セレッソ対レッズ。

この試合についても、レッズを主体にした視点でコメントさせてください。スミマセン・・

ということで、試合後の印象は、「まあ、仕方ない・・これもサッカーだ・・」ってなモノでした。

何せ、レッズは、あれ程の決定的チャンスを作り出しつづけたんだからね。ロジカルに観れば、「少なくともドローがフェアな結果・・」という結論になるでしょ。

まあ・・タラレバ・・だけどサ。

それにしても、西川周作を中心にしたレッズのディフェンスは充実している。この試合でも、何度も、危急状況を、ギリギリのカバーリングやスライディングブロックで乗り切った。

でも、まあ、そのことは、セレッソ守備にも言えるよね。

彼らもまた、GKキム・ジンヒョンのスーパーセーブや勇気ある「飛び込み」も含め、ものすごく「粘り強く」、最高の集中力(意志)で、最後の瞬間まで、レッズのチャンスをブロックしつづけ、「虎の子」を守り切った。

それはそれで、心からの拍手に値する「意志の闘い」だったということだよね。

レッズ守備にもどるけれど・・

やはり、鈴木啓太と阿部勇樹のダブルボランチにスポットを当てなきゃいけない。彼らの献身的なカバーリングやバックアッププレー(ハードワーク)にはアタマが下がる。

もちろんこの2人だけではなく、レッズ守備ブロック全体に言えることだけれど、彼らは、最後の瞬間に、常に半歩先まで足が出ていたと思う。

私は、「イメージング力」なんて表現するけれど、そのチカラが本物であるからこそ、ギリギリの危急状況でも、瞬間的に湧き出してきた守備イメージに突き動かされるように(!?)本当に危ないトコロへ「自然と」身体が動き、足が出るんだよ。

前節コラムでは、関根貴大と森脇良太の、一瞬の「イメージ空白」現象について、批評した。

また、この試合でも、何度かは、そんな「イメージ空白」状態(≒ボールウォッチャーとか状況の推移に様子見になってアクションが止まること・・)に、瞬間的に陥ったシーンを目撃した。

もちろんそれは、誰にでも起こりえる。

まあ、危急状況でのイメージング力とか、「読み能力」とか呼ばれているモノのレベルが、最終的には、世界での評価の基準になるわけだけれどネ。

このテーマについては、当HPの新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照して下さい。そこでのモデルは、フランコ・バレージです。

あっと・・脱線。

ここで言いたかったことは、選手たち自身が、「アッ・・いま、イメージが空白だった・・」とか、「アッ、ボールを見ちゃった・・」とか、「アッ・・状況が どうなるかを待ってしまった・・」等などという状態を、(後から!)しっかりと意識し、それを学習機会として活用できるかどうか・・ということなんだよ。

もちろん、そのバックボーン「も」また、意志のチカラ。それがあって初めて、最終勝負を乗り切るためのイメージング力をアップさせられる。

この試合は、そんな強烈な意志が、極限レベルでぶつかり合うという、ものすごくエキサイティングな勝負マッチだったということだね。

とにかく、リーグの終盤へ向けて必ず遭遇する「紆余曲折」を乗り切っていくためにも、様々なミスや失敗をビデオで確認しながらの「イメージトレーニング」を、効果的に積み重ねていくことが、とても大事だと思っている筆者なのです。

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ところで、ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を介して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。

その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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