湯浅健二の「J」ワンポイント


2021年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第16節(2021年5月27日、木曜日)

 

徳島ヴォルティスを率いる新任のダニエル・ポヤトス・・そのサッカー内容とパーソナリティーに惹かれた・・(ガンバvs徳島ヴォルティス、2-1)

 

レビュー
 
とても内容のある、エキサイティング勝負マッチだった。

両チームともに、攻守にわたって、自分主体で「仕事」を探しまくっていたんだよ。

だから、昨日の、サンフレッチェvsレッズ戦同様に、ある意味で、とても「動的に均衡」した、魅力的な勝負マッチになったというわけだ。

堪能させてもらった。

その両チーム。

やっとチームに合流し、7試合をこなしたヴォルティス監督、ダニエル・ポヤトス。

またガンバの松波正信も、解任された宮本恒靖から引き継いで、まだ日が浅い。

・・という背景があるわけだけれど・・

まあ、この試合に限っては、サッカー内容的に、ダニエル・ポヤトスに軍配が挙がるよね。

しっかりと確立した「サッカーコンセプト」をベースに、人とボールが、広く、素早く、そしてクリエイティブに、動く、動く。

浦和レッズのリカルド・ロドリゲスの後継として、ヴォルティスの更なる発展を志向するダニエル・ポヤトス「にも」大いに期待がもてそうだ。

その、ヴォルティスの、攻守にわたる「動き」・・

守備では、積極的&攻撃的な「主体性」ボール奪取プロセス(守備)が、連動性という視点でも、とてもうまく機能していたということなんだけれど・・

その後のオフェンスでの「動き」もまた、とても魅力的だった。

部分的には、フロンターレの「人とボールの動き」を彷彿とさせられたぜ。

そんな「動き」に対する「自信と確信」があるからなんだろうね・・

・・その心理ベースこそが、ダニエル・ポヤトスのウデの骨子(!!)というわけだけれど・・

とにかく、ボールがないところでのサポートの動きが、とても美しく連動しつづけるんだ。

だからこそ・・

たまに魅せる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが冴えわたる。

そして、そんな「組織」でスペースを攻略するシーンも創りだしていた。

まあ、最後のトコロでは、創りだした「ゴール機会」を活かし切れなかったけれど・・

それでも、仕掛けプロセスは、十分に魅力的だし、とても危険だと感じた。

要は、選手たちの「仕掛けプロセスでのイメージング」が、とてもうまくシンクロしているっちゅうコトだよね。

ストロングハンド、ダニエル・ポヤトスの面目躍如。

実は、今日はじめて、彼がテイクオーバーしてからの徳島ヴォルティスを、しっかりと観察したんだ。

そして、(自分の学習機会として!)惜しいことをした・・って感じていたのさ。

ダニエル・ポヤトスが徳島ヴォルティスを実際に指揮しはじめてからのプロセスを「追って」いたら・・

そう、とても貴重な「チーム進化&深化ブロセス」を、わたしの記憶タンクに収納できたはずなのに・・。

まあ、仕方ない。

ところで、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション・・

両チームの、ボール奪取プロセス(ゲーゲンプレスも含む前からプレス守備)やブロック守備は、キッチリと機能している。

だから、両チームともに、「組織」でスペースを攻略していくのに苦労していた。

でも、だからこそ・・

そう、たまに魅せるダイレクトパスの「有効性」が、際立っていたんだ。

ガンバ先制ゴールのシーンにしても、徳島ヴォルティス同点PKのシーンにしても・・

もちろん、ワンツーを積み重ねるコトで(そのイメージングを数人がシェアすることで!!)、その実効レベルは、極限までアップする。

やっぱり、ダイレクトパスこそが、現代サッカーで成功を収めるための「KFS」なんだよ。

そう、「キー・ファクター・フォア・サクセス」。

そんな、古くて、新しい「コンセプト感性」にスボットライトを当てられた(思い出された!)だけでも、このゲームに深く入り込んだ価値があった・・と思う。

そんなテーマにも、思いを巡らせていた筆者だったのであ〜る。

へへっ・・

それにしても、ダニエル・ポヤトス。

試合後のダゾン・インタビューでの言葉、そのしゃべり方や雰囲気も含めて、(日本の生活文化にも柔軟に順応できるという意味合いでも!?)タダモノじゃないネ。

これからは、徳島ヴォルティスにも、注意を向けていくことにしますよ。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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