湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第30節(2022年9月18日、日曜日)

 

最高クオリティーのサッカーが、ぶつかり合った・・また、ミハイロ札幌コンサドーレは、前節の立派な勝利も含め、やっと本来のチカラを発揮しはじめた・・(マリノスvsコンサドーレ、0-0)

 

レビュー
 
素晴らしくエキサイティングな、動的均衡マッチだった。

たしかに、ゴールは生まれなかったけれど、両チームが創りだしたゴール機会の量と質からしても、そこへ至るプロセスの充実度からしても、ギリギリの勝負マッチだったんだよ。

特に・・

そう、強豪(!)の、ミハイロ札幌コンサドーレ・・

実力(!)で、リーグトップに君臨する、ケヴィン横浜マリノスに対し、内容で、勝るとも劣らない素晴らしいサッカーを魅せつづけた。

彼らが魅せたサッカーは、まさに「強豪」という称号にふさわしい。

そう、シーズン当初、わたしが期待したとおりにね。

ということで・・

このコラムでは、やっぱり、このテーマに絞って語ろうかな。

ミハイロ札幌コンサドーレが魅せた、攻守にわたる、「最後の半歩」というファクター・・

まあ、優れた「意識と意志」に支えられた「最高の集中力・・」ってな表現もありかな。

ミハイロ札幌コンサドーレでは、以前には、気抜けプレーが散見された。

全体的には、とても良いサッカーを展開し、ミハイロの「攻撃性マインド」そのままに、アグレッシブにイニシアチブを握りつづけている・・

そんな優れたサッカーを展開するミハイロ札幌コンサドーレだから・・

誰もが、「よしっ、このままゴールを奪って、勝ち切ろう・・」なんて期待するゲーム展開。

でも・・

そう、ちょっとした「気抜け」で、マーキングが外れたり、カバーリングが遅れたり。

そして相手に、あり得ないくらい「残念なゴール」を献上してしまう。

大事なポイントは・・

全体的なサッカーの質には、着実で実効レベルの高い、ボール奪取プロセス(守備)が、ともなっていなきゃいけないというコト。

そう、だからこそ私は、優れたチームを、「美しい質実剛健サッカー」って称賛するんだ。

そして、その「実」の部分を、大きく左右するファクターが、ほんの「小さなトコロ」での、決定的な仕事の内実・・

わたしは、その、小さなトコロでの仕事を、「最後半歩」なんて表現する。

ミハイロ札幌コンサドーレでは、特に、最終勝負シーンにおける、粘り強い(!)最後の半歩ディフェンスプレーが、光り輝いたんだ。

たとえば、ケヴィン横浜マリノスがブチかます、レベルを超えたスピードと迫力のカウンター。

誰もが、ミハイロ札幌コンサドーレが、決定的ピンチに陥ってしまう・・と、感じていた。

そして実際に・・

わたしも、「あっ、やられちゃう・・」なんて、不覚にも、感じていた。

でも、ミハイロ札幌コンサドーレ選手たちは・・

そんな絶対的ピンチで、決定的クロスやパス、またシュートを「ブロック」するだけじゃなく・・

後方から走り込んできた相手を、粘り強くマークしつづけ、決定的な仕事をさせなかったり・・

決定的クロスやスルーパスを、ギリギリのところで伸ばし切った「最後の半歩」で、クリアしたり。

彼らは、そんな、心理・精神的なパワーを魅せつけたんだよ。

まあ、このところよく使う表現だけれど・・

「仕事」を探しまくることでのみ到達できる、「最高の主体性プレー」という高み・・ね。

もちろん、ケヴィン横浜マリノスが、その側面でも、とても高いレベルにあるコトは言うまでもない。

だからこそ彼らは、リーグトップに君臨できているんだ。

とにかく・・

両チームが、創りだしたゴール機会(決定的チャンス)を・・

両チームともに、優れた「最後の半歩」によって、最後の瞬間に「止めまくった」ってな、ギリギリの勝負シーンの連続だったんだよ。

こちらも、何度も、フリーズさせられたっけ。

へへ・・

あっと・・

最後の半歩というファクターには、攻撃の側面もあるよね。

3人目のフリーランニングとか、クリエイティブなムダ走りとか・・

でも、まあ、そのテーマは、次の機会に・・

さて、ということで、次のポイントを、簡単に。

それは、人とボールの「動きのリズム」・・

もちろん、細かな「戦術イメージングの内容」では、両チームに差異はあるんでしょ。

でも私は、基本的に、「組織サッカーを前面に押し出す・・」という意味では、両チームともに、同じ「戦術ベクトル」の方向性にあると思っている。

まあ、だからこそ・・

そう、両チームともに、相手の、人とボールの動きに「翻弄されることなく」、しっかりと、相手のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)の流れを抑制できていたと思うわけだ。

わたしは、両チームの、人とボールの動きと、その「リズム」に、目を凝らしていたよ。

どこで彼らが、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションをブチかますのかって・・ね。

でも、そんなエキサイティングな組織プレーのシーンは、数えるほどしかなかった。

それも、これも・・

そう、両チームが、最高の「集中力」で、ボール奪取プロセス(守備)を、ブチかまし合った結果っちゅうことだね。

とにかく私は・・

この、エキサイティングな、動的均衡マッチを堪能していたっちゅうコトが言いたかった。

もちろん、フリーズ&リラックスの繰り返しではあったけれど・・さ。

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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