湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2023年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第14節(2023年5月20日、土曜日)
- 究極の「我慢くらべマッチ」になった・・それにしても、長谷部茂利が率いるアビスパは、J2の町田ゼルビア(黒田剛監督)にも通じる、超絶「徹底サッカー」だね・・(アビスパvsレッズ、0-0)
- サスガに、優れたプロコーチ、長谷部茂利・・
とても良い仕事をしている。
特に、ボール奪取プロセス(守備)での「連動性」が、目立ちに目立っていた。
・・と、言うよりも、全員が、とにかく忠実に、しつこく、「次の!」ボールの動きを、積極的&攻撃的に「狙い」つづけているんだよ。
そう、「オレがボールを奪い返してやるっ!!」ってな、強烈な闘う意志・・ね。
その象徴が、アビスパの右サイドハーフ紺野和也だった。
とにかく、攻守にわたって、足を止めない。
また、守備だけじゃなく、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも・・
パサーになったり、バスレシーバーになったりするだけじゃなく、ものすごく危険なドリブル勝負もブチかます。
彼は、勇気の(強烈な意識と意志の!!)カタマリだね。
アビスパの「闘うシンボル」紺野和也に、乾杯!!
ところで・・
そのアビスパのボール奪取プロセス(守備)だけれど・・
素早く効果的な攻守の切り替えは、もちろん、とにかく、味方のチェイス&チェック(寄せ)に対して「連動」しつづける、リアクションの「量と質」が素晴らしい。
それは、ボールオリエンテッドな(相手のボールの動きを読む!?)、ボール奪取プロセス(守備)とも言えそうだ。
そんなだから、相手の、次、その次のボールの動きに対して、とても効果的にボール奪取プロセス(守備)を仕掛けられるのも、道理だ。
そう、レッズのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、キモになるステーション(次のパスレシーバー=ボールホルダー)に、まったく自由にプレーさせないんだよ。
そんな、効果的「チェイス&チェックやカバーリング」を引き出す、強烈な意識と意志こそが、長谷部茂利の「良い仕事」の象徴っちゅうコトさ。
あっと、対するマチェイ浦和レッズ・・
もちろん彼らのボール奪取プロセス(守備)も、いままでどおり、しっかりと機能している。
それでも・・
そう、最初の「寄せ」に連動する、周りのチームメイトたちのアクションの「勢い」や、次、その次のパスレシーバーへ「寄せ」ていくときの勢いでは、アビスパに、一日の長があった。
それだけじゃなく、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)の内実でも・・
そう、ゴール機会の「量と質」という視点でも、アビスパに軍配が挙がるという評価が、まあ、フェアだと思っている筆者なんだ。
とはいっても、一つだけ・・
シュートへの「最終勝負」プロセスでは、マチェイ浦和レッズにも光明はあった。
そう、彼らは、ボールがないところでの最終勝負の「人の動き」を、ボールの動きとシンクロさせるような決定的シーンを、つくり出したんだ。
あっ、分かりにくい・・
要は、彼らは、「個の勝負」だけじゃなく、しっかりと「組織パス」でも、シュートチャンスへ持ち込めたっちゅうコトさ。
その典型的な例が、75分のカウンターシーン。
自軍でボールを拾った平野佑一が、勇気マンマンの直線的ドリブルで、一気にアビスパ陣内へ持ち込んでいく。
平野佑一は、相手を引きつけ、左でパスを待つアレックス・シャルクへ・・
そして・・
ボールをしっかりとコントロールしルックアップしたシャルクの視線と、大久保智明の視線が、ピタリと合うんだ。
爆発・・
そう、大久保智明は、ゴールキーパーとアビスパ最終ラインの「間」にある、猫の額のような小さな「決定的スペース」へ、猛烈ダッシュを敢行したんだ。
そして、シャルクからの決定的スルーパスに追い付いた大久保智明が、そのままダイレクトで、シュートを放ったんだよ。
誰もが、「あっ・・ゴールだっ!!」って感じたでしょ。
でも最後は・・
勇気をもって飛び出してきたアビスパGK村上昌謙に、うまく「からめ捕られて」しまった。
とにかくソレは・・
このゲームのなかで、もっとも美しく、可能性の高い「ゴール機会」ではあった。
あっと・・
こんな、忍耐力を試される「我慢くらべマッチ」だから、もちろん、セットプレーには、ものすごく大きな意味があるよね。
たしかに、両チームともに、後半、決定的チャンスを創りだした。
フ〜〜ッ・・
最後に・・
後半、興梠慎三と交替出場した、ホセ・カンテ。
ナルホド・・
マチェイ・スコルジャが、彼に、「何」を期待しているのか、その片鱗は、感じられた。
たしかに彼は、創造的な「立体感覚」が鋭い。
次のパスを受けた瞬間には、味方やスペースの位置関係を、立体的に把握できているんだ。
そう、チャンスメイク感覚が鋭いんだよ。
だから、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションで、効果的にチャンスを創りだせる。
とはいっても・・
やっぱり、様々な意味合いで、興梠慎三が生み出す「価値」とは、まだまだ比べようがない。
まあ、わたし「も」、これからのホセ・カンテの進化&深化プロセスを、注意ぶかく観察することにしますよ。
ということで・・
我慢くらべマッチの観戦が、とても疲れるコトを、再認識させられていた筆者でした。
へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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