湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2023年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第16節(2023年6月4日、日曜日)
- イニシアチブの揺動があった・・そのバックボーンは?・・(レッズvsアントラーズ、0-0)
- 両チームの強者どもが、最高の「意識と意志パワー」で、ギリギリの闘いを披露した。
もちろん、その絶対ベースは、強固なディフェンス。
そこでは、受け身なプレー姿勢など、微塵も感じさせない。
両チームの強者どもは、常に、積極的&攻撃的に、ボールを奪い返そうとするんだよ。
ものすごく微妙なニュアンスだけれど・・
この両チームは、「寄せ、命」ってな「徹底サッカー」とは一線を画すると思うわけだ。
彼らは、あくまでも、チームメイトと、イメージング連動させながら、ボールを(良いカタチで!?)奪い返そうとするんだ。
そうね〜・・
忠実な「徹底サッカー」に、とてもハイレベルなクリエイティビティ(創造性)という「味」を加えた・・とかさ。
彼らが魅せつづけたのは、創造的な「連動ディフェンス」だったというコトが言いたかった。
そう、まさに、生き物のように変化しながらも、しっかりとした「イメージング核」が備わっている。
いや、ホント、堪能させてもらったよ。
ということで・・
両チームの強者どもは、精魂込めて、自分たちのサッカーを貫きながら、勝利を目指した。
そこからは、まさにホンモノの「勝者メンタリティー」が、迸(ほとばし)りつづけていた。
まあ、ピックしなきゃいけない最重要テーマは、それだけではあるんだけれど・・
時間を追って観察することで、なかなか面白いトコロも見えてくる。
たとえば、「あの」ホセ・カンテ。
後半ロスタイムで飛び出した、絶対的ヘディングゴール機会は、見応え十分だった。
彼は、組み立て段階でのヘディングの競り合いじゃ、あまり良いシーンを演出できない。
でも、「ここに来いっ!!」ってな、最終勝負シーンでは、よい「スペース感覚」を魅せる。
もちろん、優れた「空間センス」を駆使した、ボールの展開力も、魅力だね。
彼を中心にする、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション・・とかね。
でも、やっぱり、足許スキルやボールキープは、そんなに得意じゃないようだ。
さまざまな意味合いを含む、ゲームコントロールという視点で、興梠慎三との「価値の差」は、とても明白だよね。
キープ力とか、展開力、はたまた、ウラ取りの決定的フリーランニングといった、決定的な仕事のコンテンツでは、まだまだ比べようがない。
まあ、とはいっても、特に、ボール奪取プロセス(守備)でのハードワークをサボらなくなったコトは、ポジティブに捉えられる。
しっかりと「寄せ」るようになったし、「行け」そうなトコロでは、「爆発」まで魅せることで、味方のボール奪取プロセス(守備)を、効果的にバックアップできるようにもなった。
でも、この事実は、残る。
そう、彼に対する、期待値(ワクワク)コンテンツを、正確、具体的にイメージできるようになるのは、これからっちゅうコトね。
ところで、安居海渡・・
ボランチ採用の前回では、満足いくパフォーマンスを魅せられず仕舞いだった。
にもかかわらず、この試合でも、またまたボランチに採用された。
まあ、そこそこ「ステディー」なプレーではあったけれど・・
ボール奪取プロセス(守備)では、「読みベース」の、ギリギリのカバーリングとか・・
次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け&ゲームメイク)でも、ソレを、効果的に加速させるというポイントで、不満が残った。
でも後半・・
ブライアン・リンセンと交替して、「いつもの」岩尾憲が出てきてからというもの・・
チーム全体の、攻守にわたるダイナミズムが、大きくアップしたよね。
そこには、安居海渡が、前線メンバーとして2列目に入ったコトも、ポジティブに作用していたって思う。
そして、試合イニシアチブが、どんどんレッズへと傾いていくんだ。
後半からの選手交代は、とても優れた采配だったと思った。
また、後半20分過ぎには、「あの」ホセ・カンテと、ダヴィド・モーベルクが登場してくるんだ。
まあ、彼らの登場で、ゲームの流れが大きく(ポジティブに!?)進展したというわけじゃなかったけれど・・
そこからも、ゲームは、レッズが支配しつづけたコトは確かな事実だったし、選手たちのなかに残る、その成功イメージは、ポジティブに残るよね。
あっと、アントラーズ・・
「あの」鈴木優磨だけれど・・
この試合での彼は、レッズ守備陣の対応によって、そんなに効果的な仕事ができたとは言い難かった。
まあ、ある状況でボールをもったときは、それなりの危険オーラは振りまいていたけれどね。
それよりも、とにかく、ディエゴ・ピトゥカ。
攻守にわたる、彼のダイナミズム(効果抜群の仕事ぶり!!)は、レベルを超えていた。
ホントに、素晴らしい「バリュー・フォア・マネー」のプロプレイヤーだと感じた。
それ以外にも、左サイドの安西幸輝、ストッパーの関川郁万、目立たない実効プレイヤー、佐野海舟とか、アントラーズは、ホントにハイレベルな「仕事人」を擁している。
これからの岩政大樹アントラーズにも、注目しよう。
ということで・・
今日は、こんなトコロですかね。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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