湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2023年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第18節(2023年6月24日、土曜日)
- 秘術を尽くした、エキサイティングなせめぎ合いだった・・堪能した・・(レッズvsフロンターレ、1-1)
- スターティングメンバーを確認したとき、目を疑った。
マチェイ・スコルジャは、ホセ・カンテに、一体何を期待しているのだろうか・・
たしかに、もう何度も書いているように、「立体センス」は、悪くない。
パスを受ける前の、自分の周りの状況についての「イメージング」には、確かなモノがあるんだ。
だから、素早い、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションの「起点」には、なれる。
もちろん、もし周りの「人の動き」が、その「流れ」に乗ったとしたら・・のハナシではあるけれどネ。
でも、いまのレッズには、ホセ・カンテを中心にしたコンビネーションのイメージングは、確立していないでしょ。
また、ホセ・カンテは・・
スピードがないし、スキルが十分じゃないから、ドリブル突破など、期待できない。
また、局面でのコントロールスキルも確かじゃないから、効果的な「タメ」を演出できるようなポストプレーの量と質についても、期待薄。
何せ、今日のゲームの相手は・・
「あの」鬼木達フロンターレなんだからね。
そして結局、時間の経過とともに、前線オリジナル・フォーに、落ち着いていったんだよ。
そう、興梠慎三、大久保智明、関根貴大、そして小泉佳穂。
たしかに、小泉佳穂については、感覚的に、「フッ切れた勝負」は、まだできていない。
それでも、ゲームの流れとして、オリジナル・フォーが出てきたことで、期待が高まったモノさ。
ただ、信じられないコトに・・
その交替プロセスのなかで、いまのレッズの屋台骨とも言える、岩尾憲と伊藤敦樹のダブルボランチを、交替させちゃうんだよ。
ゲーム&チャンスメイクの、「勝負イメージングの核」とも言える、このダブルボランチ。
そして・・
彼らが抜けたあとのレッズは、わたしの目には、まさに「攻守イメージングの核」を失った「彷徨チーム」のように映っていた。
まあ、マチェイ・スコルジャの采配に対して、アンチの意見をぶつけるのは、これくらいにしよう。
何せ、現場で何が起きているのか・・
ドイツでの体感も含め、その裏側を知っている私だから、逆に、外部には、そこで為される判断と決断のバックボーンなんて、決して分からないという事実「も」分かっているわけだからネ。
フ〜〜ッ・・
ということで、ゲーム(勝負)展開・・
たしかに、全体的には、とてもエキサイティングなゲーム展開だったし、両チームともに、ゴールには、少しずつ「近づいて」はいたけれど・・
でも・・
そう、結局は、両チームともに決め手を欠いて、引き分けという結果に落ち着いた。
あっと、そこじゃ、こんな決定的シーンもあったね・・
フロンターレの小塚和季がレッドを喰らった後の72分、交替出場した瀬川祐輔が、完璧なカウンターチャンスで、まったくフリーでレッズゴールに迫ったんだ。
でも結局は、飛び出してきた西川周作の「勢い」に、シュートをミスしてしまうんだよ。
とにかく、両チームともに、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)に、繰り返しチャレンジしていったコトだけは確かな事実だった。
それは、それで、心躍らせるプロセスだったんだよ。
そう、そんなチャレンジがブチかまされるたびに、前のめりになったんだ。
でも、両チームのボール奪取プロセス(守備)は、とても強い。
特筆だったのは、ボールがないところで(ラストパスで!)勝負を決めようとする両チームに対し、両チームのデイフェンスブロックが、ものすごく効果的に対処できていたっちゅうポイント。
それは、それで見応え十分ではあったけれど・・
やっぱりゴール機会は、体感したいよね。
でも・・
まあ、仕方ない。
ということで・・
両チームの、とても高質なスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)と、ものすごくステディーなボール奪取プロセス(守備)は、心から堪能させてもらいました。
最後に・・
フロンターレの、「超」天才、家長昭博。
彼について、こんな経験をしたことがあった。
ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟(BDFL)が主催する、サッカーコーチ国際会議。
久しぶりに、来月、コロナ後はじめての、「対面」での会議が、ブレーメンで開催されるんだ。
あっと・・
言いたかったのは、今年の会議じゃなく、以前の国際会議でのコトだった。
そこでは、色々な「異文化」の人たちと知り合ったわけだけれど、そのなかに、一人のスペイン人プロコーチがいたんだ。
ソイツ・・
マジョルカに雇われていたことがあり、当時「RCDマジョルカ」で「異彩」を放ちつづけていた家長昭博を知っていたんだ。
コーチとして、家長昭博と直接関わったかどうかは、知らないけれど、ソイツに、こんなコトを聞かれたんだよ。
・・アキは、ホンモノの天才だよ・・
・・スペイン人にも、あんなレベルの天才は、そうは、いない・・
・・でも、ハードワークが足りないから、このままスターになっていけるかどうかは疑問だけれどね・・
・・それでも、アキの才能は、ホントに別格だった・・
・・日本には、あんな天才が、ゴロゴロしているんだろ??・・
だから、言ってやった。
・・何を言っているんだよ、アキは、日本でも、特別な天賦の才なんだ・・
・・そのコトもあって、彼の才能を「使いこなす能力のあるプロコーチ」に恵まれなかったんだ・・
難しいネ、ホントに、「超」天才を、使いこなすのは。
でもやっと、ホントにやっと、鬼木達フロンターレにめぐり会った。
今の彼は、攻守ハードワークにも「主体的」に勤しむほどの「大人」になったけれど・・
要は、彼のプレーは、全てが、攻守ハードワークも含めて(!!)、自身のイメージングによる「主体性プレー」というわけだ。
そこに至るまでの(スペインも含む)紆余曲折を考えたら、ホントに、惜しいことをしたって思うのは、私だけじゃないでしょ。
ということで、また〜・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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